夜間中学その日その日 (783) 蟻通信編集委員会
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- 2021年10月23日
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2021.10.23
近畿夜間中学校生徒会連合会が開催した、この日の役員代表者会がよみがえってくる。出席者は、天王寺夜間中学から参加した、15人の夜間中学生から驚くべき報告を受けた。報告を受け止めた役員代表者の立ち上がりも早かった。夜間中学の主役は夜間中学生、このことを実証する夜間中学生のとりくみが展開された。そのとりくみを再掲する(その1)。
(2021.10.23 夜間中学資料情報室 白井善吾)
夜間中学その日その日 (329) 蟻通信編集委員会
2013.12.28
近畿夜間中学校生徒会役員代表者会
「横浜の話を聞いたばかり、今日は大阪・天王寺」「絶対認められない」「絶対つぶしてはならない」「こんな無責任な文書、突っ返すべきだ」「弱いものを助けるのが行政でしょ!その行政が弱い者いじめをする!許せない!」「要望書を出そう」「私たちの力を合わせて要望をしていこう」「早くやろう。ぐずぐずしていたらあかん」(夜間中学生の発言)
2013年12月15日、岸和田市立岸城夜間中学で開催された近畿夜間中学校生徒会連合会役員代表者会に参加した夜間中学生と教員合わせて93人は「天王寺夜間中学がなくなる」という驚くべき報告を耳にした。
天王寺夜間中学の報告は「2年後までに耐震工事ができないなら校舎は使えない」「学校がなくなる」と12月9日突然、校長先生から話があったとの内容だ。この報告を受け、天王寺から参加した15人の夜間中学生はひとりひとり発言、参加者に訴えた。「閉校するともとれるあいまいな文書だ」「落ち着いて勉強も手につかない」「興奮して、眠ることもできない」「悔しい、やっと入学できた夜間中学だ」「頭がよすぎると時々おかしなことを考える」「大阪に初めてできた夜間中学だ。交通が便利で入学者も多い」「絶対認められない」「皆さんの力を貸してください」
これを受け、各校の夜間中学生は意見を述べた。「この文書にはなくすとは一切書いていない。どうしたら続けられるか、力を合わせて取り組んでいこう」「行政は義務教育の大切さを認識していない」「何のための憲法か?憲法を守れ、26条(教育を受ける権利、教育の義務)を守れと訴えていこう」「義務教育を何と考えているのか、乱暴な文書だ」‥発言は続いた。
この日、会議に駆けつけた卒業生も発言した。「天王寺は夜間中学の母屋だ。怒りを覚える。力を合わせて継続させていこう。夜間中学に来れていない人がたくさんいるそこに夜間中学を知らせていくとりくみも力を入れないと。生徒会連合会全員で取り組んでいくことは大変な仕事だ。しかしやらないといかんことだ。頑張りましょう」と団結し、取り組むことが重要であると訴えた。
近畿夜間中学校生徒会連合会は天王寺夜間中学生徒会と力を合わせ、天王寺夜間中学で続けて学べるよう、様々な取り組みを行っていくことを決定した。
(資料 1)
役員代表者会で配られた、大阪市教育委員会が天王寺に届けた文書
宛名は大阪市立天王寺中学校夜間学級に入学を希望されるみなさまと在籍される生徒のみなさまへの二者、作成者は大阪市教育委員会。日付は平成25年12月。文書のタイトルは「大阪市立天王寺中学校夜間学級について」
本市では、様々な事由により義務教育未修了のまま義務教育年齢を超えている方で、進学や就職または資格取得のために中学校教育を希望する方に、中学校教育を行うことを目的として中学校夜間学級を設置しており、現在、天王寺中学校、天満中学校、文の里中学校、東生野中学校に夜間学級を設置しています。しかしながら、ここ数年、本市の夜間学級において生徒数が減少し続け、天王寺中学校、夜間学級でも10年前に比べると3分の1以下になっております。また、天王寺中学校夜間学級で使用している校舎は、昭和30年代に建設されたものであり、国の法令により平成27年度末に耐震工事期限を迎え、そのままでは校舎を使用することができなくなります。したがいまして、天王寺中学校夜間学級に入学を希望される皆様や在籍される生徒の皆様で、平成28年度以降も中学校夜間学級での学習を希望される場合は、学習場所が変更になる可能性がありますので、ご理解いただきますようお願いいたします。〈お問い合わせ先〉大阪市教育委員会事務局指導部 中学校教育担当 06-6208-9187

(資料 2)
夜間学級:天王寺、生徒数減り閉鎖 大阪市教委が検討−−15年度末
毎日新聞 2013年12月26日 大阪夕刊
大阪市立4中学校で実施されている夜間学級のうち、市教委が天王寺中学校(天王寺区)で実施する夜間学級の15年度末での閉鎖を検討していることが分かった。老朽化した校舎の耐震補強が必要だが、生徒の減少で来年度予算案への工事費計上を見送る方針。市教委には市民団体などから夜間学級継続を求める要望が届いている。
同校の夜間学級は1969年に市内で最初の夜間中学として開校。市教委によると、生徒数は10〜80歳代の82人で平均年齢は50代後半。生徒はこの10年間で3分の1に減った。
夜間学級の校舎は、昼間に中学生が学ぶ校舎とは別の鉄筋コンクリート3階建て。昭和30年代に建てられた。市教委は15年度末までに市立学校の耐震補強を終える計画だが、約2000万〜3000万円とみられる校舎の耐震工事費の予算計上を見送る方針だ。
市内の夜間学級は他に天満(北区)、文の里(阿倍野区)、東生野(生野区)の3中学校。市教委は天王寺中の生徒に3校に通ってもらうことも検討している。【山下貴史】
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