top of page

夜間中学その日その日 (814)   砦通信編集委員会

  • journalistworld0
  • 2022年3月20日
  • 読了時間: 4分

  夜間中学卒業者の会の決意              2022.03.20


 夜間中学がどんなあゆみを続けていくか、教育機会確保法が公布されたことにより、夜間中学を開設することが地方自治体の義務となった。行政の対応はそれまでの「無視」、「見て見ぬふり」から正反対に舵を切ることになった。

 夜間中学開設運動のなかったところで、夜間中学のあゆみの認識もなく、昼の中学校と同じ内容を提供すればよい、夜の時間帯に学ぶ場所を提供すればよいとの考えが、地方自治体の施策担当者の常識になっていないかと危惧する。

長く夜間中学に関わってきた元教員は全都道府県への夜間中学の設置を急ぐ国の姿勢に疑問も感じるとして、「夜間中学は多様な学習要求にきめ細かく応える学びの場であり、小学校の経験もない生徒が来ることもある。ところが昼間の学校と同じ教科書を配り、脱落してしまう生徒が各地で出ている。限られた人数や予算で見切り発車に近い状態で進むことがあってはならない」と懸念を表明している。

 いま大阪市で生起している、不登校特例校に夜間中学を併設し、文の里、天王寺、2校の夜間中学を廃校にする大阪市議会の議論も、この動きの背景に「経営」「費用対効果」の考えを優先し、夜間中学の社会的存在意義の議論が大変弱いと感じた。

 夜間中学を廃校するという動きは二度目である。前回は、2013年12月、天王寺夜間中学の校舎が耐震基準を満たしていないこと、生徒数が減少していることを理由に2015年末で廃校にするとの教育委員会作成の文書を夜間中学生に配って明らかになった。近畿夜間中学校生徒会連合会の素早い行動により、2ヶ月後、大阪市教育委員会は夜間中学生に文書で「耐震工事が必要は勘違い、確認不足としか言いようがないミス。ご迷惑をおかけし、反省する」と陳謝した。



 もう一つの理由、生徒数減少も、9年の修業年限を6年目以降、管理職が直接面接を行ない、卒業を勧奨し、一方で日本語が理解できない人は入学を断るという手法で在籍生徒を減らした人為的結果である。

グラフ「夜間中学生数の変遷」で示すように、2001年から2004年にかけての急激な減少は卒業勧奨と入学制限が意識的に行なわれたことを物語っている。それを省みることなく、20年後の現在、行政担当者はそれを、「生徒数が減少していますから」とまるで自然減少のように、廃校の理由に使っているのだ。

人為的に、意識的に減少させてきた操作を止めさすことができなかった責任の一端は私たちも含め、夜間中学教員にある。

 今回の2校を廃校にする策動は、今に至るまで、教育委員会から示された文書は一切ない。大阪市教育委員会で方針が出されたのは8月中旬だ。9月中旬になって、1校の校長は教員に、夜間中学生には箝口令を引き、口頭で内容を伝えている。夜間中学生が知ることとなったのは、それから一カ月もたった、10.24の近畿夜間中学校生徒会役員代表者会の席であった。このときまで、一切明らかにされなかった動きも、夜間中学卒業者の会は理解できない。



 近畿夜間中学校生徒会連合会会長は「憲法にも『学ぶ権利はある』とうたっている。それが奪われようとしてる。大阪市教育委員会が『等しく学ぶ権利』を私たちから取り上げようとしている。これが許せない。やっとたどりついた中学校です。皆さんのお話聞いても、皆そうです。それを公権力が奪い取ろうとする。これが許せん」「やるのは主役である我々。主役にしてくれるのは先生。肝に命じて頑張っていきたいと思っています」と発言、夜間中学生の立ち上がりを訴えた。

 生徒会連合会は考えられる、夜間中学生のとりくみを創造し、実行していった。市会議員団の事務室を訪問し、説明と要請を行なう。そこで陳情書を議長宛に出す方法があることを聞き、さっそく陳情文を起草する鉛筆を握った。先頭は夜間中学生が走り、教員がその想いの実現にむけ、縁の下と力持ちになる。同窓会も、夜間中学卒業者の会も自前のとりくみを実行することとなった。

 全国の関係組織、団体、個人から届いた署名も含め、一次集約した署名数43903筆と91団体から団体署名がある。2022年2月24日、署名とともに送られてきた励ましの手紙を紹介した後、署名の重みを大阪市議会の議論に反映していただきたいと述べ手交し、大阪市教育委員会と話合いを行なった。

各夜間中学は卒業式、そして間もなく年度末を迎える。新型ウイルスの新たな株の蔓延状況は一向におさまる気配がないなか、夜間中学生のとりくみは半ばである。支援いただいたみなさまに、とりくみ状況をお知らせする。

 夜間中学生は夜間中学の生きた学びを、天王寺・文の里夜間中学の存続にむけたとりくみを実践することで、獲得していっていただきたい。夜間中学卒業者の会もこのとりくみに全力で参加していく。


 
 
 

Comentarios


Featued Posts 
Recent Posts 
Find Me On
  • Facebook Long Shadow
  • Twitter Long Shadow
  • YouTube Long Shadow
  • Instagram Long Shadow
Other Favotite PR Blogs
Serach By Tags

© 2023 by Make Some Noise. Proudly created with Wix.com

  • Facebook Clean Grey
  • Instagram Clean Grey
  • Twitter Clean Grey
  • YouTube Clean Grey
bottom of page