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夜間中学その日その日 (820)  夜間中学資料情報室

  • journalistworld0
  • 2022年5月2日
  • 読了時間: 5分

 2022年4月 4校の公立夜間中学開校    2022.05.02

 2022年4月、4校の公立夜間中学(三豊市立高瀬中学校夜間学級、札幌市立星友館中学福岡市立福岡きぼう中学、相模原市立大野南中学分校夜間学級)が開校した。1990年の札幌遠友塾自主夜間中学開校からの歳月、学習者の立場に立って、粘り強く行政に働きかけ、教育行政の理解を取り付けていく開設運動は、夜間中学のあゆみに大きな一歩を記されたと考えている。「札幌市における公立夜間中学の在り方検討委員会」に加わり、自主夜間中学の実践に裏付けられた、さまざまな提言は星友館夜間中学の性格付けに大きな役割を果たしたのではないだろうか。開設開校は通過点であり、とりくみは続いていく。

 義務教育制度の中に位置づくと、運営するのは学校教員。自主夜間中学「運動」とは一線を引き、公教育制度にのっとり、変質していく例がこれまでも、多くあった。夜間中学のPTAとして、運動体として現場や教育行政をリードしていく役割をぜひお願いしたい。




 4校の公立夜間中学の開校の様子を伝える新聞、テレビ等マスコミの報道が続いた。

 三豊市立高瀬中学校夜間学級(2022.4.14)16~85歳の9人が入学。通常3年で卒業をめざし、最長9年かけて「教育課程の修了をめざす」。入学者を代表して「もう一度勉強したい、学び直したいと強く願っていた。充実した学校生活をめざし努力する」と挨拶。三豊市長は「学校という概念でなくて、われわれが一緒に学びながら寄り添える場所にしていきたい」「ここで学び、自由をとりもどしていきましょう」と挨拶を行った。不登校特例校として学齢の中学生も受け入れるが、9名の入学者には学齢者はなかった。共同通信が配信をし、全国で開校の様子が報道された。NHK,岡山放送、瀬戸内海放送、山陽放送がテレビニュースを報道した。




 札幌市立星友館中学(2022.4.19)は10~80代66人が入学、スタートコース、スタンダードコース、ベーシックコースなど6コースを設け、1年33人、2年18人、3年15人、で開校した。「不登校だけでなく、外国にルーツのある人、学校がバリアフリーではないため、通えなかった人たちも学び直す場です」と説明がある。ここにも公立夜間中学の在り方検討委員会での議論が生かされている。

 校長から「夜間中学が『学びのセイフティーネット』でありたいと思っている」とのコメントがあった。不登校生であった15歳の女性。7歳から24歳まで入院生活を送ったという男性は「(学ぶことは)人生を楽しくする、ひとつです」。自主夜間中学から入学する聴覚障害の男性は教員から事前に学校生活上の「配慮」について話合い、入学式を迎えられた。

 新聞報道も5紙が8本の記事を、テレビでは5本が放送され、NHKが「学ぶことをあきらめない」①②の特集を報道した。


 福岡市立「福岡きぼう中学」(2022.4.20)15~82歳の30人が入学。習熟度別のクラス編成で、6年かけて義務教育の修了をめざす。テレビ報道では4人の入学生がカメラの前に立った。母親の入院で婦たちの妹の子守をして十分学べなかった25歳の山田さんは「夜間中学で学んで、子ども食堂を立ち上げたい」と話した。二分脊椎症の車いすの男性はいじめで小学5年生から不登校であった。「このきぼう中学校が山田さんのこれからの道を照らす第2の人生の出発点です」とコメントがあった。校長は「新たな学びそれから学び直しをする機会でもありますし、そこでの出会いもありますので、学びや人との懸け橋となるような学校づくりをしていきたい」と語っていた。

 毎日新聞の特集記事を入れ5本の記事、西日本新聞が社説「公立夜間中学 学び直す場を九州全域に」を掲げた。テレビでは9つの放送があった。


 相模原市立大野南中学分校夜間学級(2022.04.23)は10~60代18人が入学。めざす学校像として「自分らしい生き方を実現するための力を身につける学校」を掲げられている。

 新聞報道は6つの記事がある。その中に相模原自主夜間中学を設立4月より開始(神奈川新聞 2022.04.17)の報道があった。「毎日通うのは難しいけど、学びたいという人はいるはず」とコメントがあった。

「現時点で相模原市と14市町が協定を結ぶ(略)新入生18人の内訳は相模原市10人、厚木市3人、座間市2人と藤沢、平塚、伊勢原市が各1人」(朝日2022.04.24)。と報道があった。

 神奈川県内の川崎、横浜の夜間中学は在住在勤が入学条件になっていて、他の市町村から入学するために、県教育委員会・相模原市と14市町が協定を結び、入学を可能にしたとのこと。結ばなかった市町村は入学できないのだろうか。県立神奈川総合産業高校の校舎を使い、教員も県や政令市負担であり、あと運営費用が必要だと思うが、入学に当たって一人当り、相当の負担金が必要だとお聞きした。単年度なのか、在籍期間に関係なくなのか、分からないが、負担金を納めることで他市町から入学できる。夜間中学は昼の学校と異なり、通学校区は圧倒的に広域で、通学費用も高額になる。居住市が支払う負担金も、安上がりにするため、回り回って、早く卒業しなさいという卒業勧奨、欠席を認めないなど、窮屈な夜間中学に変質していかないか、懸念をもつ。

 これらの負担を夜間中学生一人ひとりに求めるのではなく、安心して学びがつづけられるよう、夜間中学生の就学援助制度の制度作りが急がれる。


 夜間中学の役割のひとつが、夜間中学の学びを通して義務教育や学校教育全体そして社会を問い返す作業がある。テレビカメラの前に立つどの夜間中学生も顔を隠すことなく、夜間中学にたどり着く自分史を語っていた。夜間中学はこの人たちを全力で受け止めて、制度に夜間中学生をあわすのではなく、夜間中学生にあうように制度を変化させていく、そんな創造的な夜間中学をめざしていただきたい。

 
 
 

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