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夜間中学その日その日 (821)   砦通信編集委員会

  • journalistworld0
  • 2022年5月9日
  • 読了時間: 5分

夜間中学生の主張 (2022.02.24 大阪市教育委員会)その1 2022.05.09


 連日、ロシアによるウクライナ侵攻の報道が続く。テレビに映しだされる画面を夜間中学生はどんな想いで見ているのだろう。2022年2月24日、ロシアはウクライナに対し大規模な軍事侵攻を開始した。この日、夜間中学生は大阪市教育委員会担当者に話合いを求め、大阪市役所に出向いた。


 2003年12月、「自衛隊がイラクへ派遣されようとしている。私たちは戦争を体験した世代として、二度と戦争によって人が殺され、人を殺すようになっていくことは黙って見過ごすことはできない。反対の声をあげよう」。役員代表者会で議論が起った。夜間中学生の主張は、自分たちと同じように、学びを奪われた人たちがつくりだされる、戦争は絶対反対。それに「人道支援」と理屈をつけて、自衛隊を派遣することは憲法違反ではないか、認められないと声をあげた。

 自主・自立・自治の夜間中学生徒会を巡って、いろんなところから、圧力が加わった。近畿夜間中学校生徒会連合会は、口惜しさをバネに、この経験を次の闘いに生かしていった(『生きる 闘う 学ぶ』217~231頁 解放出版社)。


 この通信の原稿を書いているとき、「夜間中学の教室を歴史と憲法に位置づける」「夜間中学の学びと東アジアの歴史」について論じた記事(大門正克;「生きる現場からの憲法」『世界』 2022年5月号)が掲載されていた。小泉首相が自衛隊の派遣を提案した日の夜間中学の授業は、用意していった授業内容は吹き飛んでしまった。上に書いた主張が夜間中学生から突きつけられた。教員は自分の考えることを、夜間中学生と共に思いを述べた。議論は教室から、生徒会にそして近畿夜間中学校生徒会連合会の議論と行動につながっていった。




 大阪市教育委員会が「検討中」として2校の夜間中学廃校策動を口頭で進めようとする手法に2022年2月24日、夜間中学生の主張をぶつけた。その主張を紹介する。



(司会):生徒会員自らの手で5962筆、同窓会2169筆、そして全国からあわせて、43943筆、北は北海道、南は沖縄まで団体署名91筆です。


(代表者)全国から届けられた署名です。この想いを受け止め、天王寺と文の里の廃校は絶対やめてください。-手交する-。


(司会)これからも届く署名を改めてお渡しするその機会もお願いします。

要望書の1点目、文の里・天王寺を廃校にしないでくださいの回答について


 連合生徒会会長:学びたい人がいる天王寺・文の里2校を廃校にしないでということにっついて回答をいただきました。市教委のこの短い文章、はっきり云うて、何が云っていただいているのか分かりません。この文書は報道の方にも公開しますけど、この文面ではわけ分からん。今どのように考えているのかお話しいただきたい。聞き取りされ、その声を生かして今後どうされようとしているのか、回答ください。


(同窓会):天王寺42期生の山田です。私は71になりました。生まれながらの障がい者で、学校も行かれず、夜中(やちゅう・夜間中学のこと)に行くまで、義務教育は全く受けられませんでした。52歳でやっと夜間中学に巡り会えて、9年間天王寺夜間中学で学んで社会に出ることができました。ローマ字も分からなかったけど、学んだ結果、街や駅に書いているローマ字を読めたときの喜びは今でもはっきり覚えています。天王寺夜間中学はJR天王寺から5分で行くことができます。私は9年間、車椅子で通いました。エレベーターや駅員さんに助けられて、介助の人が行けないときも学校に通うことができたのは、やっぱり天王寺やったからだと思います。

 いま、学校に行けていない子どもさんがたくさんいると聞いています。その人達が大人になったとき、学びたいと思うときが来ると思います。その時、夜間中学に行けるようにしておいてください。私たちのように、学びたいと思ったとき行けなかった想いを二度と繰り返してほしくない。どうか、天王寺・文の里夜間中学を絶対に、絶対になくしてほしくありません。私は死ぬまで、夜間中学を自分の母校やと思って生きて行きたいと思います。


(司会)山田さんは車椅子で夜間中学に通われた。もし旧日東小学校(市教委が云う不登校特例校の設置場所)になると天王寺で乗り換え、動物園前で乗り換え、車椅子で果たして通えるか。石川さんは富田林からの通学だった。夜間中学が終わって、富田林に着くと、帰りはバスがなくなっているんです。


(同窓会):2011年3月、夜間中学を卒業した同窓生が、集めた署名と一緒にこの手紙を送ってきてくれました。その手紙を紹介します。この方は小学校2年生の3学期から不登校になり、学校に行けませんでした。ほとんど学校には行けないまま中学校を卒業したことになった方です。

 「同窓会通信を送っていただき、ありがとうございます。遅くなりましたが署名が集まりましたので同封しています。天王寺夜間中学がなくなってしまうかもということを新聞で知り、僕は怒りがこみ上げてきました。天王寺夜間中学ができるまで、多くの人たちの闘いや、努力を学んできました。できてから、天王寺夜間中学は大きな役割を果たしていると思います。本当に学びたい人、努力してやっと天王寺中学にたどり着いた人たちにとって、天王寺夜間中学は行政の人たちの都合で勝手に統廃合したらいけないと思ったのです。不登校生のための中学校をつくっても、天王寺夜間中学はなくしてしまう必要は全くありません。この署名で天王寺夜間中学の統廃合が白紙になることを望みます。みなさんがんばりましょう」

 こんな手紙と一緒に多くの卒業生が同窓会に署名を送ってくれています。私も同窓会に入っています。天王寺夜間中学は駅から近いし、いろんな乗り物に乗って通うことができます。天王寺は大事な学校です。


(夜間中学生):私たち生徒は昨年10月文の里と天王寺2校の夜間中学の統廃合が進められていることを知らされてから、私たちは反対の署名活動やさまざまなことをやってききています。そして統廃合するダメな理由を訴えてきました。しかし、今回の要請書の返事を見る限り、私たちの声は全く届いていないように感じました。12月から1月にかけて委員会の人たちが私たちの学校に生徒一人ひとりの声を聞きに来られましたが、その時私たちが伝えたこと、意見や想いは上の人にちゃんと伝えてくれたでしょうか。また現在まで私たちが聞かされたときから何も変化がないままなのでしょうか?(つづく)

 
 
 

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