夜間中学その日その日 (830) 夜間中学資料情報室
- journalistworld0
- 2022年6月26日
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2020国勢調査結果(4)「大阪市教育委員会は教育の立場から、国勢調査結果を分析し、見解を明らかにすべきではないか」 2022.06.26
先月27日公表された。2020国勢調査 関係のマスコミ報道がではじめた。
・「義務教育未修了者は約90万人 うち小卒は約80万人」(教育新聞 2022.06.09)。
・「夜間中学設置促す、文科省が通知 小学校卒、国勢調査で80万人」(日本教育新聞 2022.06.10)。
・「義務教育未修了、道内5万8444人 全国最多、70歳以上が9割」(北海道新聞 2022.06.10)。
・「数字が語る日本の教育 高齢者の教育機会」(日本教育新聞 2022.06.13)。
・「『最終学歴は小学校』8000人 公立夜間中学のニーズ調査へ 山口県教委」(中国新聞2022/6/14)。
・「国勢調査の学歴に『小卒』新設したら全国で80万人…50代以下は外国人が過半数の2万人」(讀賣 2022/06/20)。
・「最終学歴『小卒』が80万人余 10、20代も 学びの確保が課題に」(NHKテレビ2022年6月18日)朝5時台のニュースで放送していた。
いち早く通達を出したのは文科省。「夜間中学の設置・充実に向けた取組の一層の推進について(依頼)」(2022.06.01)を各都道府県教育委員会 と各指定都市教育委員会に依頼文書を出し、「令和4年5月27日に、総務省統計局より令和2年国勢調査(就業状態等基本集計)の結果が公表されました。その中で、令和2年10月時点において、未就学者は9万4千人(前回約12万8千人)、最終卒業学校が小学校の者は約80万4千人(今回初めて調査)ということが明らかになりました」と記している。公表になる前に総務省から資料をえて、分析と資料作成を行なったと考えられる。
1991年だったと思う。国際識字年推進中央実行委員会が文部省と交渉したとき、「義務教育未修了者数が明確に出る、国勢調査に改める」ことを総務庁に申し入れよと要求した。このときも「調査項目は一貫性が求められる。これまでの調査と比較検討するために、途中で変える事は出来ない」と以前と同じ回答であった。「それなら、最初からいままで一切の変更はしていないのか?」と再質問したが、担当者はだんまりをきめこんでいた。
文部省とりわけ、学校教育の部署が一番、堅かった。話を聞いて、賛意を表し、何とか考えたいと言ったのが外務省であった。国際関係や協調を第一に考えるということが、われわれとの応接でも姿勢としてあったのだろうか。その際立った違いがいまも頭に残っている。最終卒業学校として「小学校卒」の項目を設けたのは今回、2020年の国勢調査からとなった。文科省は、公表から4日後に国勢調査結果を図式化して、夜間中学開校を急ぐように、「依頼文」を出す変わり様は何と表現すればよいか。
統計局ホームページで/2020年国勢調査で外国人61-2「男女,国籍,職業(大分類)別就業者数(15歳以上)-全国,都道府県,21大都市,特別区,人口50万以上の市」のデーターの分析を行なった。結果を次ぎの表にまとめた。2000人以上の東京、静岡、愛知、大阪の4都府県が色づけられた。
表 1 外国籍 義務教育未修了者数 (都道府県別) 2020国勢調査


人口50万以上の都市では東京区部と大阪市が1500人を超える結果だ。
表2 外国籍 義務教育未修了者数 (50万以上都市別) 2020国勢調査

*公立夜間中学を開設している行政はゴジックで表示している。

母国を離れ、日本で暮らすようになった人たちは、215万4891人。その1.33%の2万8755人が義務教育未修了だと国勢調査で回答している。「日本人なら保障しないといけないが、母国で義務教育を保障されなかった人をどうして日本が保障しないといけないのか?」と発言をした行政担当者も一人二人でなかった。大阪市の夜間中学の入学受付担当者はごく最近まで、「日本語がわかるようになったら来てください」と入学を断っていたそうだ。しかも、それを糾そうとした教員に、この管理職は「そんな人が入学されたら先生方が困られるでしょう。先生らのことを想っていっているんです」といったという。何をか云わんだ。この姿勢を黙認している行政が見え隠れする。そして、生徒数が減ってきましたからと、まるで自然減であるかのように説明をし、廃校の理由につかっている。
2020国勢調査結果を考えるなら、大阪市教育委員会は決して2校の夜間中学を廃校にしますとは言えない実態ではないか。その見解を問う。
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