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夜間中学その日その日 (835)   砦通信編集委員会

  • journalistworld0
  • 2022年8月2日
  • 読了時間: 4分

『天王寺・文の里夜間中学の存続を!

-生きる権利と学ぶ権利はすべてに優先する-』

                 2022.08.02

国内のみならず、国外からも寄せられた廃校反対の署名にお礼も含め、夜間中学生のとりくみと現状況をお伝えしようと、編集作業を急いだが、8月の声が聞こえてしまった。早くから原稿をお寄せいただいたみなさんには本当に申し訳なく思っている。

 夜間中学生が鉛筆を握り、記した文章や握ったマイクを通して語った言葉をできる限り収録し、50名を超える夜間中学生、卒業生の声や文章を掲載することができた。遅れた時間は無駄でなかったと考えている。




 ある市会議員は、廃校ではない、統合だと言っていた。この人たちは夜間中学生は「わがまま」だと、ひょっとしたら心の中で思っているのでは?さらに、夜間中学を「つくってあげている」という夜間中学観があるのではと考えてしまう。夜間中学は義務教育を保障する最終の場所であり、学習権保障の場であると私たちは考えている。

 ここの学校しか通えない、ここの学校だから通えるという夜間中学生の発言に対し、「一駅だけ遠くなるだけ」と、あるコメンテイターの発言があった。「スクールバス」を出したらと次善の提案をこの方はしておられたが、毎日、時間的にギリギリの生活を送っている夜間中学生の実態はどうして理解できないのだろう?


 編集作業を行なっていて、執筆者の主張に「夜間中学生であることの誇り」のキーワーズがあることをふれておきたい。髙野さんは「東京の夜間中学卒業生・髙野雅夫です」と自らをこのようにいって話しはじめる。1993~94年に多くの夜間中学で髙野さんは「夜間中学生との対話」と題して出前授業を行なった。このときのテーマが「夜間中学で学んでいることの誇り」であった。教師も「夜間中学の教員であることを誇りに思っているのか」との問いかけがあった。


 本著に寄稿いただいた金城実さんの文章の中に、次のような「直訴状」がある。


 最後に私、金城実は、元夜間中学教師として、夜間中学統廃合問題にかかわり、現役教師、校長に直訴状を提出します。

               

               直訴状


一、先生たちは夜間中学が何たるかをご存知ですか。この学校が開設された経過について考えられたことがありますか。私が今更云う必要はないと思いますが、夜間中学の生徒は被差別部落、在日コリアン、障碍者、中国残留孤児、移民の人たちが学んでいた。そして金城実が夜間中学に勤めることになったいきさつは、南米移民の三世たちが、大阪に多く住んでいる。成功して沖縄には帰られずこの大阪にとどまり、沖縄語、スペイン語を話す生活をしていた。彼らが学校生活ができるように「沖縄コトバ」が理解できる金城が勤めることになった。

 夜間中学が何たるか、その歴史の重みと人間としての尊厳をもって生きていく生徒たちのために夜間中学があるわけである。この歴史に無関心である教師は恥を知れ!私のコトバに傷つけられた、あなたたちが立ちあがるのか否か、私は沖縄から見ておく!

辺野古の基地反対闘争で排除する米兵に私は英語で言った、「オレたち、沖縄の人間は武器を持っていない。しかし、お前らのないものをオレたちは持っている。それは、沖縄の誇りだ!」と。


 3月、原稿執筆の依頼のため、来阪中の金城さんを訪ねたとき、私の話を聞いて、金城さんが最後に語った内容が、現役教師、校長宛の「直訴状」であった。

 はじめはノ-トに書き留めようとしたが、手が動かなくなって、十分に書き留めることができなかった。記憶にとどめようとしたが。次々にでてくる重い直球を受け止めることができなかった。送られてきた原稿に、この直訴状も書かれていたので少し肩の荷が下りた。



 問題の所在は夜間中学生と向き合っている夜間中学の教員そして管理職にあるということだ。夜間中学の歴史の中でいつも問われているのは「先生は教育委員会の味方か?私たち夜間中学生の味方か?立場をはっきりしろ!!」ということと通底する。

 ある方は、別の言葉で、「義務教育制度の枠を超えて培ってきた(夜間中学)独自の文化を継承していくことができるのか」と書かれている。

 夜間中学に突きつけられた、2校廃校の策動は、「夜間中学生であることの誇り」「夜間中学の教員であることの誇り」が糾されている。


 第一次署名を届けるため、大阪市役所を訪れた、2月24日、この日はロシアのウクライナ侵攻の報道があった。「私たちとおなじ人生を送ることになる子どもたちをまたつくりだすのか!!」夜間中学生の声が聞こえてきた。2003年、人道支援だと称して、自衛隊をイラクに派遣することを決めた時、夜間中学生徒会は派遣反対の行動に立ち上がった。さまざまな意見があった。難しいこともあるが、いま声を挙げなかったら、私たちは夜間中学で学んでいる意味がないと。

夜間中学生や同窓会の立ち上がりや行動は、義務教育制度の枠を超えて培ってきた(夜間中学)独自の文化を継承していくことができるのかとの問いかけの夜間中学生が出した回答だと考えている。

 

『天王寺・文の里夜間中学の存続を!

-生きる権利学ぶ権利はすべてに優先する-』  夜間中学卒業者の会編

                   解放出版社刊 価格1800円+税  2022/08/05発売


出版記念会 夜間中学卒業者の会第3回総会 第2部として行ないます。

          日時  2022年8月3日午後4:30~6:30

          会場 大阪府東大阪市立文化創造館(近鉄八戸ノ里下車)


 
 
 

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