夜間中学その日その日 (844) 夜間中学資料情報室
- journalistworld0
- 2022年9月18日
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夜間中学の生徒会組織の重要性 2022.09.19
「先生はいったい、教育委員会の味方か?私たち生徒の味方か?立場をはっきりしろ!」夜間中学生からこのような告発を教員は受けることがある。夜間中学のあゆみの中で何度かこの発言の記録がある。夜間中学生の主張をそのまま進めると、抜き差しならない状況になる(と先生たちは先を読んでしまう)。そうならないように、夜間中学生や生徒会の動きを無視したり、押さえ込んでしまったり、時には夜間中学生の間に分裂を顕在化させ、動きをコントロールするようなこともあゆみの中であったこと、私たちは知っている。
生徒の自治組織・生徒会といえど、学校では「教師の指導の上での生徒会活動で、それを逸脱することは認められない」という教師側の考え方が意外と根強い。自由に意見を発表したり、グループを作ったりすることができる(参加する権利)。子どもは自分に関係する事柄について、自由に意見を示すことができ、周囲の大人はその意見を十分に考慮することが必要である(子どもの意見の尊重)など子どもの権利条約には4つの原則があるにもかかわらずだ。夜間中学生の多くは大人でもある。にもかかわらず、それを突き進むと生徒が不利益を被るという理由で押さえ込んだり、無視したりする手法を用いるのだ。「先生たちは私たち生徒の味方をすれば、教育委員会から処分されるんですか?」日頃、授業でいっている元気な語り口と比べ、だんまりを決め込んでいる姿勢を見抜いて、夜間中学生はこのように意見を述べた。
かつてある教育委員会が夜間中学を統廃合する方針をだしてきたとき、一部の教員は生徒会として取組もうとする動きを支援するどころか、その動きを押さえ込む動きをしたことがある。夜間中学生同士の十分な話合いの機会を保障せず、教科の授業を進めていく方法がその例だ。「勉強」と「運動」を別個のものとして「学校に勉強に来られていますから」と授業を進めていく方法だ。
私は、勉強と運動を二分せず、「学びは運動」「運動は学び」という考えで、統一的に考え、手法を考えるようにしてきた。それには教師集団の話し込みがポイントになる。職員会議や校内研修の機会はたいへん重要だ。
生徒会が就学援助補食給食継続のとりくみを終え、学校に戻ってきたとき、ある教師は一人の夜間中学生の要求を受け、個別授業を行なっていたことがあった。その場面を見て、学校に戻ってきた夜間中学生はだれも、何も言わなかった。教師間でそのことのもっている意味を話しあったが、「教えてほしいとの願いを受けて何が悪い」がその教師の最初の反応であった。
各夜間中学は多くの非常勤の教員が入って授業を行なっていることが多い。生徒会の話合いも、短い時間で行ない、夜間中学生が未消化の形で教科の授業に入っても、夜間中学生の理解を得るように、授業の組み立てを工夫する。しかし、夜間中学生が今どんなとりくみをしているか、すべての教員が理解しているかといえば大変心許ない。夜間中学生に配っている資料は、すべてお渡ししているが、理解の程度はバラバラというのが現状だ。ある非常勤の先生は、休日にもかかわらず、夜間中学生が活動している現場に顔を出して、とりくみの意味を熟知して授業を行なっていただいていることも知っている。

9/4に行なわれた、近畿夜間中学校生徒会連合会の役員代表者会の議論の中で、夜間中学生が集会に参加して、意見発表をするという原案にたいし、出席した教員から「自分の学校では意見発表はむつかしい、できない」 という発言があった。直ちに夜間中学生は反論した。「生徒に諮らず、先生だけで決めてはいけない。生徒会は生徒のもの、先生のものでない」。「生徒の考えを大切にして」「生徒を信用して」「生徒に教えてもらって、共に成長していくという考え方が大切ではないか」と意見が深まっていった。私は、夜間中学の「自律性」を追求する、思想を表現するコトバだと想った。
「半年間の全国行脚の中で俺たちの進むべき道をはっきり自覚する。今のような社会体制の中で中立は絶対にありえない。-搾取する体制側で生きる-搾取のない社会をつくるため生きる―このどちらかだ。28年間受け続けてきた差別の歴史の中で 俺はぜったい後者を選ぶ。なりふりかまわず―生きざまをさらして 開きなおるのだ‼」(わらじ通信 1968.1.1)。
夜間中学を卒業し、証言映画「夜間中学生」の制作を推進し、完成した映画フィルムをもって全国行脚をしながら、上映活動を実行する。一日も欠かさず、母校にその日のとりくみを綴った「わらじ通信」を送り届けながら、青森北海道の54日。岡山の72日で髙野雅夫さんが到達した考えが、わらじ通信 1968.1.1の記述に凝縮されている。
この想いに応え、夜間中学生は各夜間中学生徒会の連合組織、近畿夜間中学校生徒会連合会を結成(1975年)夜間中学を育てる会(1970年)を結成、自立した活動を開始した。
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