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夜間中学その日その日 (857)   砦通信編集委員会

  • journalistworld0
  • 2022年12月11日
  • 読了時間: 4分

 大阪市議会「教育子ども委員会」         2022.12.12      

 大阪市議会の常任委員会「教育こども委員会」(2022年9月21日)で陳情書の審査がおこなわれた。「天王寺・文の里夜間中学の統合移転(廃校)」の撤回を求める3件の陳情書の審査である。

 前回は2022年2月18日、近畿夜間中学校生徒会連合会が提出した、「陳情第128号、天王寺夜間中学校(天王寺中学校夜間学級)と文の里夜間中学校(文の里中学校夜間学級)の廃校に関する陳情書」の審査を別室で傍聴した。

 教育長や教育委員会担当課長の説明も答弁も原稿を読み上げていた。議員の質問も事前に通告した質問をし、答弁調整を行なった答弁を読み上げる方法で行なわれていた。こんなやり方で、決められていたのかと愕然とした印象であった。上滑りの説明で、夜間中学生の想いが反映されていないやりとりであった。

 夜間中学で教育委員会担当者の答弁を行なったとしたら、夜間中学生の半生の経験に裏打ちされた、教育委員会の姿勢を問い質す質問の矢が一斉に放たれるはずだ。

 新設する不登校特例校に夜間学級を併設する議案に対し、ある議員は「夜間学級とのコラボが功を奏するといった結果も洛友さん(京都市立洛友中学)で出ているという報告もありましたから、ぜひともわが市でもそのような結果が出ることを期待し、そのために環境整備にはしっかりと取り組むように要望している」と発言していた。「報告もありました」「期待し」の発言に対し、「その程度の把握で特例校に併設する夜間学級をつくるのですか?」との夜間中学生の声があった。大阪の夜間中学は50年にわたる実践と検証に基づいても「コラボが功を奏す」という軽さでは表現できない不登校の子どもたちの実情がある。



 9月21日の教育子ども委員会で、夜間中学関連では、陳情第244号 天王寺・文の里夜間中学の統合移転(廃校)問題に関する陳情書。陳情第245号 天王寺・文の里夜間中学の統合移転(廃校)問題の解決策に関しての陳情書。陳情第246号 天王寺・文の里夜間中学の統合移転(廃校)に関する陳情書に基づいて質疑が行なわれている。

 車椅子で通学した卒業生は「重度の障がい者の私が電動車いすで9年間通えたのは、交通の便の良さがあったからです。仕事の都合や体の具合で、地下鉄、バス、JRなど、いろいろな方法で通わなくてはならないことが多かったのです。障がいのある人、高齢者、働きながら通う外国人にとって、こんなに条件の良い天王寺夜間中学校を残すよう大阪市教育委員会に働きかけてください」と実際に浪速区の学校に車椅子で移動を行ない、陳情書にこのように書かれている。

 議会の議論では地下鉄恵美須町駅のホームの照度、広さ、バリヤフリールー

トについて、交通局の担当者に答弁させている。担当者はいずれも条件を満たしていると答弁したが地下鉄だけではない、地下鉄天王寺などターミナル駅の便利さとは比較にならない、条件の劣悪さは歴然だ。

 広報についても陳情書では「市ホームページやポスターだけでなく」さまざまな方法を指摘しているが、教育委員会の答弁は「ホームページや大阪府作成の共通ポスター、チラシを使って」「周知、工夫、改善し市民に伝わるように」に止まり、どのような工夫、改善をしたのかをたずねているのに、従前同様の答弁でさしたる努力をしていないことは明らかだ。

 陳情書は「天王寺夜間中学校を今と同じ場所に建て替えることを議論してください。そして市教育委員会にも建て替えを訴えてください。たとえ今より規模は小さくなっても、交通の便のいい、今の場所に夜間中学があることが大切なのです」と同じ場所での建て替えを求めている。

 夜間学級が在る天王寺の校舎は東側にある道路の騒音を避けるためか、約15m西に寄せ建てられている。騒音対策を講じると、東に15m移動でき、夜間中学校舎をもう一棟建てる敷地面積がある。また、夜間中学の入学開校式を行なった、木造の講堂の敷地の活用を考えると、陳情書にある「今より規模は小さく」なっても現在地でということは追求すべきではないか。第一次廃校騒動(2013.12~2014.2)時にも夜間中学生は校舎耐震対策、建て替えを訴えたにもかかわらず、だんまりを決め込んだのは大阪市教育委員会であった。そして、今になって校舎の老朽化を廃校の理由にしてきている。

 答弁では夜間の生徒数の減少、昼の生徒数の増加を考え、教育環境の改善に取組むことが大切だと答え、建て替えは難しいと答えている。

 そうだろうか、昼の学校であればさまざまな工夫をして、授業を行ないながら、建て替え工事を行なっているではないか。その期間の昼間・夜間生徒の「教室共用」を議員は提案していたが、「共用は困難」との答弁で切り捨て、廃校ありきの答弁であった。

 2020国勢調査結果を施策に反映すべきではないかとの陳情に対し、教育委員会の分析と見解と対応は聞く事ができなかった。

 夜間中学生の一人ひとりと面談し、その想いや願いを聞き取り、それを反映した、大阪市教育委員会の答弁を聞く事はできなかった。ひき続き審議をすることでこの日の教育子ども委員会は終わった。12月7日にも夜間中学に関して出された新たな陳情書について審議が行なわれる。教育委員会は夜間中学生の訴えに、真正面に向き合わないといけない。あなたたちは「教育者」ではないんですか。


 
 
 

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