夜間中学その日その日 (861) 夜間中学資料情報室
- journalistworld0
- 2023年1月1日
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2022年天王寺・文の里夜間中学の存続の闘い 2023.01.01
新しい年を迎えました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
まず、天王寺・文の里夜間中学の存続を求めるとりくみの報告から。
夜間中学生、生徒会、同窓会を中心にねばり強いとりくみが展開されている。署名活動、天王寺駅・市役所周辺の街頭署名活動、ビラ配り、市会議員事務所の訪問、大阪市議会各派への話し込み、市議会へ陳情書、意見書提出、市教委との話合い、マスコミへの働きかけ、『天王寺・文の里夜間中学の存続を』(解放出版社)の出版など、考えられるさまざまな行動を実行している。夜間中学生のとりくみに応えて、全国から5万を超える個人署名、100の団体署名が寄せられた。これ等を大阪市に手交し、教育委員会の考え方を糾す行動を実行している。
11月5日、近畿夜間中学校生徒会連合会は学習会と決意集会を開いた。そこで「『学ぶことは 生きること』『学ぶたびくやしく 学ぶたびうれしく』 近畿夜間中学50年の歴史を誰もが忘れてはいけない。夜間中学校の『学びのあかり』を今は絶対に消してはいけない」を柱とする、「近畿夜間中学『50年』生徒会連合会宣言」を採択した(夜間中学その日その日 856 )。

これ等行動を反映して、教育委員会が考えた当初のもくろみ通りには進めることができない世論の深まりができてきていると考えている。しかし、大阪市教育委員会は「廃校」を断念するとはいっていない。「廃校」のことばを言い換えて、「廃校」の流れをつくろうとしている。
各組織から出された6通の陳情書は2/18、9/21、12/7大阪市議会の常任委員会「教育子ども委員会」で議論、審査され、継続審議となっている。そこでの議論と教育委員会の答弁を紹介する。
山本教育長:本市では、夜間学級を4中学校に設置し夜間学級における教育内
容の充実に取り組んでまいりましたが、天王寺中学校夜間学級では校舎が老朽化しており、文の里中学校夜間学級では在籍者数が減少しているなどの課題がございます。これらの課題を解消し本市の中学校夜間学級における教育活動の充実が図られますよう、不登校特例校に夜間学級を併設するなど、多様なニーズを持つ生徒に対する中学校夜間学級の在り方を引き続き検討してまいります(2022.2.18)。
多田教育長:在籍者数は減少しており、天王寺では日本語指導が必要な生徒が
増加、校舎も老朽化が進んでいる。2024年度に設置を予定の「特例校」に夜間学級を併設することで、教員体制、施設面が充実し、多様なニーズに対応する新たな中学校夜間学級を開設できる(2022.09.21)。現在 、中学校夜間学級においては 、義務教育を未修了のまま学齢を超過した生徒を中心に在籍数が減少しており、天王寺中学校夜間学級においては校舎の老朽化が進んでいる。現在の教育環境を維持することが困難。そのため2つの中学校夜間学級統合し、2024年度に設置を予定している 、開校予定の「特例校」に夜間学級を併設することにより、教員体制や施設を充実させるとともに多様なニーズに対応する新たな夜間学級を開設できる (2022.12.07)。
中道課長:築60年をこえる校舎で永続的な使用が困難である。現地での夜間学級の校舎の建て替えは夜間部の生徒数の減少や昼間部の生徒数の増加により、夜間学級校舎をそのまま建て替えることはむずかしい。生徒の新たなニーズに対応した教員体制の充実の課題を解消するため、浪速区に開校予定の「特例校」に統合移転し、新たな夜間学級を併設したいと考えている(2022.09.21)。夜間学級の教室においても生徒の実態に応じた教室の机の配置変更や備品の管理、個人情報を含めた掲示物の課題等があるため教室を共用で使用することは困難な状況(2022.09.21)。今後、どのようにその教育の営みという歴史を残すかという点につきましては、在校生 や卒業生の意見もふまえながら検討を進めていく(2022.09.21)。「特例校」に天王寺中学校と文の里中学校の両夜間学級を統合移転し、併設する計画を 進めている。(2022.12.07)
武井施設整備課長:国の補助制度上、夜間学級校舎をそのままの規模で建て替えることはできず。昼間部の生徒数が急増し、教室不足等による教育環境悪化が危惧される。将来校舎増築が必要と考えている。昼間部と夜間学級双方の課題を総合的に勘案し、教育環境の改善にとりくむ必要がある。2024年4月までに卒業できない方の経過措置の状況や昼間部の生徒数の推計をふまえ、可能な限り早期に進めていきたい (2022.12.07)。
夜間中学生がこのことを知った2021年10月、教育担当者から出てきた言葉は「検討中」「検討中」「何も決まっていません」「文書もありません」を繰り返していた。しかし私たちが、2022年7月7日、教育委員会をたずね、話合いの文書や2020国勢調査の分析資料を渡し、教育委員会からの資料は?とのわたしたちの問に対し、休憩時に1枚の文書を出してきた。いつ出された文書かと聞くと、あとで調べて返事しますと明確には応えなかった。そして連絡があったのは11/18だとの回答。「文書もありません」といっていた時の文書だ。よほど注意しないと、と想いを新たにした。
教育子ども委員会の答弁を聞いても、夜間中学生から託された署名の重みを受け取った答弁ではないことが直ぐ分かる。「永続的な使用が困難」の答弁は2013年12月の第一次開校騒動の時、耐震基準をクリアしていないといって、天王寺廃校をするとの文書を配った。夜間中学生が反対運動に立ち上がると、一月後、「『耐震工事が必要は』は勘違い 大阪市教委『言い伝えで・・』」と文書を撤回した。それから10年近く時間が経過したが、今回も「永続的な使用が困難」の言い回しだ。「夜間学級校舎をそのまま建て替えることはむずかしい」という言い方で答弁している。わたしたちは「そのまま建て替えを」とはいっていない。400人を超える夜間中学生が在籍していた、2000年頃の天王寺夜間中学は12ク以上以上であった。 現在、府内で最大の夜間中学の在籍数は145人だ。今在る校舎の場所に、昼の子どもたちが使う教室と、夜間中学生が使う教室のはいった、校舎の建設はできるのではないか。文の里も同様だ。
天王寺夜間中学は54年、文の里夜間中学は50周年を迎える記念の年だ。卒業生は500人を超える。後に続く夜間中学生のためにも、今、闘いに立ち上がっている。
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