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夜間中学その日その日 (866)   夜間中学資料情報室

  • journalistworld0
  • 2023年1月29日
  • 読了時間: 4分

    2022夜間中学新聞報道(2)             2023.01.30

 2022年の新聞報道については(1)で述べた。従来のテレビ、ラジオに加え、SNSの情報も無視できない。多くの人たちに届いているはずだ。この記事を書いている時(2023年1/22)、NHKテレビが夜間中学の放送をやっているとの連絡を夜間中学卒業生から頂いた。「沁(し)みる夜汽車 2022追想 『83歳の通学電車〜大阪メトロ 御堂筋線〜』」で2022年10月24日放送の再放送であった。義務教育を受けることのできなかった人たちに、夜間中学で学べる事が届くはずだ。心に沁みる番組内容だった。夜間中学のテレビ放送のリスト作りも始めている。

 2020年(29)、2021年(79)、2022年(154)とニュース番組や少し時間の長い特集番組と増えてきている。夜間中学開設の動きを伝える地域の放送が放送数に現れている。

 2010年代以前の状況と現在とはマスコミに夜間中学が登場する機会は格段に異なる。多くに人たちに夜間中学があることが伝わり、入学者が増えるはずだと考えるのだが、現実はそうではない。少なくとも、2015年以前に開校した夜間中学ではその傾向が表れてこないどころか、逆に減少しているのだ。


 68回全国夜間中学校研究大会資料集(2022.11)に収録されている統計資料で分析を行なった。統計資料の誤謬の指摘が大会議論の中であったが、まだ訂正は届いていない。学校現場にはいない私たちに大会記録誌が届くにはまだ時間が要すようだ。夜間中学在籍数がどのようになっているかに注目している。

 学校数と在籍生徒数の推移のグラフをみると1603名から1702名と昨年より99名増加(?)している。学校数も36校から40校と増えている。しかし、この数字は次の理由から単純比較ができない問題点がある。

 文科省が形式中学卒者の夜間中学入学を認める通知を出した(2015.7)。教育機会確保法の公布(2016.12)。横浜市の統計が入っていない時期もある。新開設(陽春、みらい、水海道、しらさぎ、高知国際、星友館、大野南、高瀬、福岡きぼう)の在籍数が入っていなかったりして、単純比較ができないのだ。

 2015年の31校1825名を基準に2015年の条件(形式中学校卒の入学はできない)で、31校の在籍数にどんな変化を及ぼしたかをみると、

  2016年 1860名が1806名。      2017年1826名が1739名。  

  2018年 1698名が1538名。      2019年1742名が1496名。      

  2020年 1554名が1286名。     2021年1603名が1213名。      

  2022年 1702年名が1162名。


 初めと終わりの差、1162-1825=マイナス663名。


 2015年から2022年の変化をみると31校の夜間中学では全体で663名在籍が減っていることになる。これはどう解釈すればいいんだろう?夜間中学を必要としている人は確実にいる。その人たちには夜間中学で学べるという情報が届いていないことになる。

 この分析を説明しているとき、ある参加者から、この変化とは別に、人為的な作用が働いているとの指摘を受けた。大阪市内のある夜間中学では、入学を求めて訪れた希望者に、日本語が理解できないことを理由に断っていることが分かり、市教委が4校の管理職に是正を求めたとうかがった。限られた教員体制の中で、十分対応できないからだという背景があるのかもしれない。市教委がその対策は取らず、現場に是正を求めたならこれも大きな問題だ。

 夜間中学はそれを入学拒否で判断してはいけない。先ず受け止め、教育条件の充実を、現場の取り組み内容の資料を、行政にぶつけ教育条件環境の充実の実行を教育行政に要求し、教育行政は速やかに実行し、現場の要請に応えなければいけない。


 夜間中学への入学につながったきっかけについて調べた聞き取り調査結果がある。近畿夜間中学校連絡協議会が2018年6月に公表した資料だ。

夜間中学生320人聞き取り調査をした(2018.6.8)。


 「人からの紹介」224(70.0%)、 「ビラやポスター」25(7.8%)

 「広報」    24 (7.5%)、 「ホームページ」 8 (2.5%)

 「テレビ、ラジオ、映画」7(2.2%)、 「新聞、書籍」 7(2.2%)

 「その他」  16(5.0%)、  無回答 9(2.8%)  


 人からの紹介によって入学したが圧倒的な割合を占めている。人といっても家族、友人、親戚、相談窓口、様々考えられる。



 日韓識字文解(ムネ)交流で各地の夜間中学生が来日された安養市民大学(韓国京畿道安養市にある識字学級)の学習者と交流したとき、市民大学の生徒会長が次のような出来事を紹介した。毎日夕方になったら店の前を足早に出かけていくわたし(生徒会長)に友人が、これからどこに出かけるのかと尋ね、「市民大学で勉強している」と答えると、「なんで私にも声をかけてくれなかったか」。「学校は卒業されていると思っていた」というと、その友人も朝鮮戦争で「学校へ行けなかった」と答え、今、その友人も一緒に通っていると紹介した。夜間中学生も「わたしたちと同じや」と返した。そんな出来事があった。

 人といっても、この話のように夜間中学に通っているひとの場合もあるだろうし、自分の子どもから夜間中学に通うことを勧められた例など、いずれにしても、夜間中学が存在し、そこへ行けば学べることをひろく伝えていくことが必要ではないだろうか。「一枚のビラのおかげで入学できた」。引き出しの奥に大切にしまっていたビラを改めて見つめ、入学を決意している仲間もいるはずだ。その思いをしっかりと受け止める夜間中学であってほしい。



 
 
 

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