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夜間中学その日その日 (869)  夜間中学資料情報室

  • journalistworld0
  • 2023年2月10日
  • 読了時間: 7分

  夜間中学報道 2022年 (下)        2023.02.10

 2022年9月

 夜間中学資料情報室で確認できた9月の新聞報道は49である。

 新たな学びの場について21件の報道(佐賀・宮崎・熊本・鹿児島・鳥取・石川・群馬・静岡・仙台)。新設なった夜間中学の様子を伝える報道7件(高瀬・星友館・福岡きぼう中)。国勢調査結果分析の報道2件。不登校2。産経新聞の連載「夜間中学はいま」は奈良春日夜間中学を取り上げている。

 「日本全国の『小学校卒』の人たちは推計およそ100万人」(ニュースウイーク2022.09.07)の記事は注目したい。「夜間中学その日その日 842」でも書いたように「2020国勢調査分析(7)義務教育未修了者は 104万人」とするべきだという、論拠を述べている。

 国勢調査で「卒業した」と回答はしたが、どこを卒業したのかを回答しなかった人は「不詳」の欄に一括して入れて統計処理をしている。その人数、15,059,305人になる。15才以上の学校卒業者100,763,239人の14.9%を占める。不詳の人たちの中に、相当数の小学校卒の方が入っているとの見立てである。小学卒/中学卒/高校・旧中卒/短大・高専卒/大学卒/大学院卒の人数で15,059,305人を按分すると141,325人が小学卒の人数が浮かび上がってくる。

804,293人+141,325人=945,618人となる。

 記事では「メディアでは『小学校卒80万人』という見出しになっているが、『小学校卒およそ100万人』としてもいいと思う。結構な数で、多くは義務教育を終えられなかった高齢者や外国人等で、彼らが学ぶ夜間中学の整備が求められる」としている。説得力のある主張だ。

 夜間中学資料情報室で、大阪府下の国勢調査結果分析の図表化を行なった。各地域で行なっていただけたらと思う。




 2022年10月

 夜間中学資料情報室で確認できた10月の新聞報道は58である。

 新たな学びの場について27件の報道(佐賀・群馬・三重・岩手・姫路・岡山市・北九州・長野)。

 文部科学省は 2022年10月27日、2021年度に30日以上登校せず「不登校」とされた小中学生は、前年度から24・9%(4万8813人)増え、過去最多の24万4940人だったと発表した。初めて20万人を超え、増え幅も過去最大となったとの報道だ。2つの社説も含め、夜間中学と関連させ、10件の報道があった。

 夜間中学についての研究集会がもたれたとの報道が5件。研究集会に参加した人が夜間中学で喫緊の課題は、夜間中学の学びの創造ではないかと話していた。夜間中学生の実態とかけ離れた授業内容で、模索が続いている中、昼の学校のカリキュラムにこだわる授業に、夜間中学生が失望感をいだき始めている実態があるとの分析だ。学校現場は、夜間中学生の実態をふまえず、「あなたは学齢の時、中学2年生の途中まで在学されていましたから、来年3月には卒業して下さい」と教育委員会の意向を受けた、卒業指導を行なっている学校があるとのこと。全夜中研大会の議論に反映させていただきたいテーマではないか。

 日中国交回復50年に関連して、中国引揚げ帰国者と夜間中学の報道があった。その中で、奈良市春日夜間中学の「夜間中学『卒業後も学びたい』高齢者がつながる月1回の学習会」 (産経新聞 2022/10/18)は卒業後の夜間中学生を繋げていく、とりくみの創造の報道があった。今後の展開に期待したい。


 2022年11月

 夜間中学資料情報室で確認できた11月の新聞報道は57である。

新たな学びの場について28件の報道(沖縄・鹿児島・宮崎・熊本・福岡・和歌山・京都・愛知・岐阜高山・群馬・栃木・群馬)がある。

 4月に船出した夜間中学の半年後の報道があった。「星空の下の学びや/公立夜間中学開校半年」(2022.11.01~03)北海道新聞の連載記事だ。「生徒の手で行事を開きたいと発案」。「星友館は勉強だけでなく、いろんな人たちとの出会で世界が広がるんです」。「成り立ちも異なる『星(生徒)』が互いを尊重し助けあう『友』として『館』で集い学ぶ。生徒たちが校名を体現し始めた」と夜間中学の学びの創造を伝えている。

 不登校であった学齢の子どもが不登校特例校を申請した香川県三豊市立高瀬夜間中学に入学し、学び始めた報道が新聞やテレビで報道があった。全夜中研大会でもそのとりくみ報告が分科会であった。評価、授業時間数について議論があった。「夜間中学初」との表現もあったが、昼のカリキュラムの流用を乗越える夜間中学の学びの創造の観点からも議論の深まりをお願いしたい。

 「新渡戸稲造の『夢』 映画に 私費投じた夜学校追う 埼玉の監督ら23年秋公開」(北海道新聞2022年11/29)この記事には「『教育を受ける権利はどんな状況の人にも与えられるべきだ』『人格を高めることこそ最も大事な教育の目標』といった新渡戸の精神を体現した遠友夜学校や札幌遠友塾に着目した」とある。

 大阪市の夜間中学廃校阻止のさまざまな行動を夜間中学生徒会、同窓会などがとりくんでいる。『天王寺・文の里夜間中学の存続を』(解放出版社)の書評記事、世論に訴えることを追求した夜間中学卒業生の投書記事「学びの場 夜間中学つぶさないで」李光變(朝日新聞 11/22)。近畿夜間中学校生徒会連合会会長 門脇勝さんを紹介する記事で、「仲間と学ぶ喜び教わる 生き方変えてもらった」(毎日新聞 11/2)と語っている。

 学びは続く「また明日」尼崎市立成良中学校琴城分校㊦(産経新聞2022/11/29)に夜間中学生の作文「私が学校に通う理由」が紹介されている。作文は次の文章で終わっている。「・・・『こんにちは』や『また明日』。ささいな挨拶でも私にとっては大切です。言葉を交わすことは自分がここに存在しているのだと分かるから、『こんにちは』から『また明日』まで、学校にいることで、できる会話がある。それが学校に通う理由です」。

 近畿夜間中学校生徒会連合会の学習会(11/5)で意見発表をした方で、「人と話しがしたい そう思って通っている」「学校が私の中で大きくなる」とても印象深い、気になる発表であった。その時も思ったが、夜間中学生が語る「夜間中学の存在意義」の主張ではないだろうか。全夜中研で議論になった「授業時間数や評価、・・」を凌駕する提起がなされていると受け取った。


 2022年12月

 夜間中学資料情報室で確認できた12月の新聞報道は52である。夜間中学の開設にむけた報道23(岡山市・滋賀・長野・鳥取・愛媛・愛知・熊本・石川・三重・姫路市)。

 産経新聞の大型連載「夜間中学はいま」は大阪府岸和田市立岸城夜間中学を取り上げた。「関西国際空港が近くに立地することも影響してか、多国籍化が際立つ。日本をはじめ、アジアや中東、アフリカ、南米の15カ国に及び、中には紛争地域で生まれ育った生徒もいる」として、3人の作文紹介も含め、新しく日本で暮らすようになった人たちが中心の紙面になっていた。

 河北新報は「重い障害で義務教育を受けられず、学齢期(6~15歳)を大幅に過ぎて就学した『学齢超過者』への教育が、東北で成果を残している。多くの卒業生を出し、一部の県では既に役割を終えつつある」と障害で義務教育受けられない「学齢超過教育」を紹介している。

 名古屋の夜間中学の連載報道(中日新聞)があった。1973年スタートし、毎週月、水、金曜の午後6〜8時半、県教育・スポーツ振興財団が、科目ごとに県教育会館と北山中の二施設を使い、授業をする「中学夜間学級」で、「夜間中学は社会教育で」と当時の国の考えを先取りする形で発足した。

 新聞報道記事を夜間中学の学習にとり入れる。夜間中学の授業について報道記事があった。「夜間中学の授業で新聞の活用検証 神戸で教育関係者ら視察」 (神戸新聞 2022.12.04)この授業展開は各夜間中学でよく実践されていると思う。守口夜間中学では2002年4月から1年にわたって50回連載された『こやしの思想を語るー髙野雅夫との対話』(産経新聞)記事を授業に取り入れた。多くの教員が、受け持ちの授業に、教科の枠にとらわれず、授業を組み立てた。髙野さんの人となりと、疑問点を出し合い、来校あった時に、直接その疑問点を髙野さん本人にぶつけ、夜間中学で学ぶことの意義を深めることができた。生徒会活動をはじめ、夜間中学生が自信を持ってとりくみが進んだことを想い出す。

 学齢の子どもが夜間中学に在籍し、学ぶ姿の報告記事がある。子ども、他の夜間中学生、保護者、元の在籍校、入学を躊躇している学齢の子ども、夜間中学の学びと、昼のカリキュラムに拘束される授業など、ケーススタディーとして現場や夜間中学関係者内で掘り下げた議論をお願いしたい。まもなく発行される、全夜中研大会の記録誌に掲載される議論にも注目したい。


 
 
 

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