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夜間中学その日その日 (870)   夜間中学資料情報室

  • journalistworld0
  • 2023年2月12日
  • 読了時間: 4分

校門くぐったときが入学式」          2023.02.13

 大阪府下では夜間中学の入学受付は、前の年の12月1日から4月末日と2学期に入って、9月10日までが受付期間だ。夜間中学に転勤した1987年頃、夜間中学現場では「校門くぐったときが入学式」という考え方があった。夜間中学生の実態を考えるとなるほどと思った。教員から言うと、4月から学習が進んで、年度途中から、受け入れると授業の組み立てができなくなる。教育行政の立場からも「学校は4月に始まり、3月までだ」という“常識”がある。「受付期間が終わりました、入学できません、来年4月に来て下さい」と返事されることだろう。しかし、これは夜間中学の常識にしてはいけない。

 やっと夜間中学に通えるようになりました。永年の夢であった学校の机に座って今から勉強したいんです。勉強が進んでいて、わからないことのほうが多いことはわかっています。しかし、やっと通えるようになったんです。一日でも早く勉強したいんですと入学希望者。これに対し、何と勝手なことを、あなたはいいかもしれないが、困られるのは授業をされる先生や、クラスで勉強される人たちなんですよ、と受付担当の管理職。こんなやりとりが想像される。

 対応できる教員が、入学希望された方に時間をかけて話を聞き、状況をできるだけ把握しようと教員間で共通確認していた。筆者は年下の初対面の教員に、半生を語られる場面に何度も出会った。一人だけで聞くのはもったいない話しを語られた。話を聞いたあと、夜間中学の授業を体験してもらって、様子や感想を聞き、その日は帰っていただくが、入学希望者の多くは次の日も来校される。「わからないことも多いですが、後ろの方で座らせて下さい」そんな返事が返ってくる。受け入れることで、懸念されることもある。入学者の健康、結核なども大丈夫か?通学途中の事故、通学費用など。しかし入学して学びたいという想いを最優先に考えよう。そんな積み重ねの中から「校門くぐったときが入学式」となったんだと理解した。

 この例のように、夜間中学の常識は、昼の義務教育制度での常識とは異なることがある。もう一つ例を挙げると、出席率がある。筆者が小学時代の学校では「皆勤賞」「精勤賞」というのがあった。その意味もわからず、賞状を学年末に受け取った記憶がある。学級別には出席率98.何%といって、学期ごとに発表があった。おそらく夜間中学では、よくて70%を超えるか否かではないだろうか。夜間中学生本人の健康だけでなく、家族の健康、子育て、勤務先の状況によって、休まざるをえないのだ。

 夜間中学は授業の組み立ても、長い欠席を余儀なくされ、やっと登校できた夜間中学生に、発言を引き出し、達成感が感じてもらえる、授業になるように心がけた。夜間中学生はさまざまな職業を経験した、いろんなところで暮らしてきた経歴の持ち主が多い。その体験経験を学習の内容と関係があることを質問することをやった。それが難しい教科もあるが、その日の一コマの勉強で、完結する学習の組み立てを考えた。そんなとき、他の夜間中学生も助け船を出して、次の日にも出席しやすいような言葉かけがある。「先生そんなに急がんと、そこんとこ、わたし合点がいきません。もう一度説明して下さい」。久しぶりに登校できた仲間の表情を察して、夜間中学生からそんな声がかかる。そんなとき、きまって、熱が入りすぎて、夜間中学生の姿が見えなくなっているときだ。本当にありがたかった。

 夜間中学の授業で言ってはいけない言葉が一つある。「前に勉強したでしょ」この言葉は聞いた夜間中学生にはとても辛い、傷つける言葉だ。教える人と教えられる人をきっちり線を引く言葉だからだ。


 学校教育として義務教育の完全保障の場である夜間中学は、その制度上さまざまな制約がかかる。夜間中学生の実態とあわない例が生じてくる。「中学校ですから昼の中学生が使っている教科書を使ってください」、「3年で卒業」などがそうだ。

「テストや入試の問題に答える知識を要求され、成績で序列化をし、人と人をひきさく」ことを迫られている学校教育に対し、「生活の現実から出発し、孤立してきた人と人を結び、知識を知ることを通して、社会の矛盾に気づき、行動する」「生きる 闘う 学ぶ」夜間中学の役割は重要性を増している。

 「校門くぐったときが入学式」の考えにたいし、大阪府教育委員会は設置市教育委員会との間で入学時期を4月末日までと一方的に決めてしまった。1993年9月のことだ。このことを知った私たちは、この方針を凍結し、大阪府教育委員会と協議を再開した。1994年2月22日、大阪府教育委員会と部落解放府民共闘会議との長い話合いの結果、「夜間中学の重要性を守るため」上の入学受付期間となった。しかし、どうだろう?いまだすっきりしない、2/22合意だ。




学ぶことができなかった人、夜間中学で学ぶことができます。私たちといっしょに学びませんが


私たちは夜間中学生です。夜間中学生を募集しています。このビラを届けてください。


のぼり旗を立て、ゼッケンをつけ、夜間中学生は、ビラが仲間に届くことを信じて、街頭に立っています


  写夜間中学生募集ビラ

 
 
 

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