夜間中学その日その日 (893) 砦通信編集委員会
- journalistworld0
- 2023年6月25日
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54回天王寺夜間中学同窓会総会 2023.06.26
1969年6月5日、天王寺夜間中学が開校入学式を迎えた。それから54年の歴史の「わだち」が深く大きく、大地に刻みつけられている。2023年6月4日、開かれた天王寺夜間中学同窓会総会に、卒業生・教員・在校生など70名が出席した。この日、韓国から駆けつけた卒業生が打つチャングの音が響いた。夜間中学開設運動を実行した髙野雅夫氏の姿もある。

活動報告があった。同窓会役員を中心に記録された活動日数は73日を数える。なんと1年365日の2割にもなる。夜間中学の廃校は絶対阻止する行動が報告された。夜間中学の生徒募集活動も、9回、同窓会独自でとり組んだこと、そのビラをもって、最終日に訪れ、入学出来た新入生のことが学校から報告があった。
統合移転に反対する陳情書を9月・11月に4通、市議会議長に提出。市議会の「教育こども委員会」の委員を中心に12人の市議会議員に面談、働きかけを行なった。「どの党も、私たちの要望を好意的に受けとめ、維新でさえ、「個人的にはよく分かります。しかし。党が決めることなので・・」であったと報告があった。
新聞の声の欄に投書するとりくみも行った。「学びの場 夜間中学をつぶさないで」〔朝日2022.11.22〕が掲載。同窓生の思いが全国に報道された。市議会「教育こども委員会」を傍聴するとりくみも報告された。天王寺夜間中学の校長と話し合うとりくみもあわせて6回行なった。校長は「この天王寺夜間中学が、ここで続けられるように。校舎を建て替えるが一番いいとずっと思っている」と話しがあったと報告があった。この大西校長は、4月、大阪市教育委員会指導部長として転勤になった。
活動報告のあと、出席者はマイクリレーを行ない、想いを語った。
「この夜間中学で学ぶ楽しみを知った。しかし、今行っている学校では、本当の学びは感じられない」(52期生)。
「大正区や東住吉で、ビラを配って、募集活動を行なった。そのビラをもって入学されたと伺った」(40期生)。
「決まってもないことを入学生に云うことは不安を与えるだけで、教育的でない、在校生は9年間学ぶ権利がある。力をあわせて学校を守っていこう」(元教員)
「小学校も行ってないのに中学校なんて無理といっていた私が4月9日の生徒募集活動に参加し訴えることができた。私もこんなことができるんや。学校で学んで身につけることができた。夜間中学は大事なところです」(42期生)
「天王寺、文の里が廃校になる計画は絶対阻止する。去年の9月から、毎日4時から6時、大阪市役所前で、ビラ配りをしている。いつもビラをもって、歩いている。天王寺、文の里はなくしたらあかん。絶対諦めない」(42期生)。
「天王寺夜間中学は生徒たちが切り拓いてきた歴史がある学校だ。天王寺・文の里夜間中学は絶対守っていく」(髙野雅夫)
近畿夜間中学校生徒会連合会が学習会で採択した(2022.11.5)近畿夜間中学「50年」生徒会連合会宣言を基に検討した天王寺夜間中学同窓会宣言を朗読、採択した。
天王寺夜間中学 同窓会 宣言
家が貧しくて「学校」へ 行けなかった わたしたち。
さまざまな 差別や いじめで 苦しんできた わたしたち。
戦争で「学校」や 教育を うばわれた わたしたち。
「障がい」があることで、「学校へ来なくてもいい」と 言われた わたしたち。
日本にきて ことばがわからず ずっと孤独だった わたしたち。
学校に行きたいけれど、学校に なじめなかった わたしたち。
そんなわたしたちが、夜間中学と 出会った。
文字が 書けない 読めないことを ひた隠しにしてきた わたしたちが、
本音で 語り合える 仲間に 出会った。
学校に行っていないこと、つらかったことを 堂々と 語れるときがきた。
文字や ことばの 大切さを 知ることで、
まるで 少女や 少年のように ワクワクし、心がはずむ。
いろいろな国の言葉もとびかい、ゆたかに まじりあう。
そして、いろいろな文化をもつ国の人たちが 出会い、語りあう。
ものごとの見方や 考え方も 広がっていく。
わたしたちは えんぴつを持ち、文字を書き、ことばを 学んだ。これまでの苦しかった思いを 表現することで、「私が 悪いのではない」と 確信できた。そして、大きな一歩を 踏みだすことが できた。自分の可能性が 広がる。文字から 逃げてきた わたしにも 何かができると 自信がもてた。それが「学校」で あった。
悩みながら 苦しみながら、まだ 夜間中学に たどりついていない 多くの仲間が、大阪にも、近畿にも、 全国にも、そして世界にもいる。
まだ学校に たどりついていない 多くの仲間に、この喜びを、伝えたい。
わたしたちの先輩が、54年間、闘い続け、守ってきた 天王寺夜間中学校を、これからは わたしたちが守っていく。
一人ではできないが、みんなが 力を合せれば、大きな力に なる。
同窓会は そんな場である。
この歴史を わたしたちは 忘れては いけない。
あとに続く後輩のために「学びの灯」を 絶対に 消してはならない。
「夜間中学はなんであるか」「原因はだれがつくったか」
ほんとうはあってはならない「学校」。
しかし、今はなくてはならない「学校」。
「学ぶことは 生きること」
「学ぶたびくやしく 学ぶたびうれしく」
2023年6月4日
天王寺夜間中学「同窓会」
*「天王寺夜間中学、廃止を26年度末に延期 大阪市教委」 (朝日新聞 2023年6月21日)
2023年度末で廃止が予定されていた大阪市立天王寺中学校夜間学級(夜間中学)について、市教育委員会は26年度末まで期限を延ばす方針を固めた。在校生が卒業するまでの経過措置で、教育委員会議を経て正式に決定する見通し・・新聞報道があった。夜間中学生は、方針撤回をねばり強くとり組んでいく闘いに立ち上がっていることを報告し,闘いの様子も、このコラムで報告していきます。
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