夜間中学その日その日 (916) 砦通信編集委員会
- journalistworld0
- 2023年9月19日
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大阪市議会議長に提出した陳情書 2023.09.19
夜間中学卒業者の会は9月4日、大阪市議会議長に陳情書を提出した。9月22日午後1時~教育子ども委員会でその内容が審査される。提出している陳情書(陳情書には一定の書式がある)を紹介する。

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大阪市教育委員会議 55号議案「本市における中学校夜間学級の再編にかかる方向性について」 56号議案「『識字・日本語教育基本方針』について」の審議に関する陳情書
〔陳情趣旨〕
第9回教育委員会会議(2023.06.27)を私たちは傍聴しました。55号議案「本市における中学校夜間学級の再編にかかる方向性」で4人の教育委員が、提案説明に、質問と意見を発表されました。どちらかと言えば、もっと考えるべきだとの意見だと私たちは受けとめました。議長である教育長は議案に反対の挙手を求め、手が挙がらなかったとして、提案議案が承認されたとまとめられました。
56号議案は『(仮称)大阪市識字・日本語教育基本方針素案(案)』(39頁)として非公開で6月13日の教育委員会議にもかけられ、その際の議論を受け、「夜間中学」に関しては「追記」し、この日は公開議案として提案されました。
しかし、素案内容には誤った認識に基づく記述があります。
「中学校夜間学級国籍別在籍者数・外国人率」図表(24頁)は日本:45人(22.0%)。外国(8カ国)160人(78.0%)。計205人(2022年5月1日)としている点ですが、大阪市内4校に通学している、夜間中学生のことしか頭の中にないのかという疑問です。
夜間中学の校区は府下全体です。大阪市民も府下の夜間中学に、府民も大阪市内の夜間中学に通学しています。
2022年9月10日統計を見ると、市内4校の在籍数213人のうち市内在住188人、府下在住23人、府外在住2人。府下7校の夜間中学は624人在籍しています。内訳は大阪市在住者140人、府下在住478人、府外6人です。市内在住の夜間中学生は188+140=328人。うち140人(43%)が大阪市外の夜間中学に通学しています。
2002年の統計は市内在住の夜間中学生は915人。うち174人(19%)が府下の夜間中学に通学していました。19%から43%へと2.3倍になっています。この数字の示す意味は、大阪市内から、府下の夜間中学へ大きな移動が起っていることの表れです。
当事者(識字学習者、夜間中学生など)に真摯に向き合い、当事者の声や想いに応える基本方針(素案)にしていただきたいと考えます。
55号議案では夜間中学を廃校にする提案(ブレーキ)。56号議案は識字施策を推進しようとする提案(アクセル)です。25頁には「差別や貧困、不登校など、さまざまな理由により義務教育の場を得られなかった方や学び直しを 希望する方々などの学習の場が必要なことも明らかです」 とあり、32頁には「従来からの識字・日本語学習機会に接点がある学習者だけでなく、学習情報にアクセスできていない潜在的な学習者に対するアウトリーチが求められます」と記述されています。そして、アウトリーチについて「支援が必要であるにもかかわらず届いていない人、自ら支援を求めるのが難しい人に対し、積極的に働きかけて情報・支援を届けるプロセスのこと」(33頁)と脚注をつけておられます。
〔陳情項目〕
夜間中学も含めた識字施策についてブレーキ(55号)とアクセル(56号)、全く正反対の施策を説明し、教育委員に判断を求めておられます。この二つの議案について審議を尽くし検討し直してください。 2023年9月4日
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大阪の夜間中学の校区は大阪府全域であり、さらに在勤の人たちも入学できる。大阪市在住の人たちは市以外の府内の夜間中学にも通学している。基本指針案は大阪市内4校の在籍夜間中学生のみの分析であり、市在住で府下の夜間中学に通っている人たちのことは眼中にない。さらに、住所に近い夜間中学の入学を希望しても、入学を断っている実態がある。20年前との違いは明瞭で、はっきり現れている。
大阪市教育委員会は、生徒数は減少していると自然減を強調しているが人為減は明らかである。56号議案の主張を是とするなら、国勢調査の結果をふまえ、夜間中学の増設の施策を打ち出すのが大阪市教育委員会ではないのか。55号議案は直ちに撤回すべきではないか。
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