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夜間中学その日その日 (938)  砦通信編集委員会

  • journalistworld0
  • 2023年12月30日
  • 読了時間: 3分

  第69回全国夜間中学校研究大会(4)       2023.12.31

 夜間中学卒業者の会は全夜中研大会(奈良)に参加するにあたり、事務局会で議論した内容を機関誌「砦」14号にまとめ、「69回全夜中研大会への提言」を発行した。

 夜間中学をとりまく社会の動きが速く、それを乗越える夜間中学からの主張が打ち出せていないことに、夜間中学卒業者の会として責任の一端を感じていることを先ず申し上げておきたい。



 夜間中学の開設の胎動が全国各地から届く中で、夜間中学廃校の方針を大阪市の教育委員会議が決めるなど、夜間中学として許すことが出来ない動きがある。ところが、69回大会資料の天王寺夜間中学(192~193頁)、文の里夜間中学(200~201頁)が執筆された記述に「廃校反対」の一片の記述すらないことも資料集を手にして抱いた疑問である。

 大会2日目、全体会Bで大会実行委員会の報告で天王寺・文の里夜間中学存続のとりくみの報告があった。近畿夜間中学校生徒会連合会の夜間中学生本人が参加している場面で、事前に録画撮りした映像を流すやり方は大きな疑問だ。何より夜間中学生の主張を大切にし、夜間中学のあり方を考えていくという全夜中研が、とるべきやり方ではなかった。

 2015年以降、日本の教育全体でとりくむべき課題が、何もかも、夜間中学に託されているという感が私たちにはぬぐいきれない。大阪市のある行政担当者は「(夜間中学で経験を積んでいただいた先生たちには)不登校、多言語の母語、さまざまな教育課題と向き合い努力いただいている。そのノウハウを(新しくつくる不登校特例校で)発揮いただきたい」と述べ、(天王寺・文の里夜間中学の先生たちに)昼の時間も夜の時間も担当することを求めるだけで、教育条件の改善をする努力を放棄している。夜間中学は万能ではない。夜間中学現場はもっと怒らないとという思いがする。

 大阪市の教育行政担当者や市長部局の遅れた認識を糾すためにも、夜間中学のとりくみや課題を普遍化し、社会の理解と支援を得るために、「夜間中学の授業実践記録集」「夜間中学がめざすもの」「夜間中学の役割」「夜間中学が今在ることの意味」を明らかにする、「夜間中学の白書」づくりを打ち出すことが必要だと考える。

 2005年12月、第51回全夜中研大会実行委員会は全国の公立・自主夜間中学生が記した手記をまとめ『夜間中学生―133人からのメッセージ-』(東方出版)を出版、世に問うたとりくみがある。これも一つの「夜間中学白書」だと考える。

 国や文科省も夜間中学を地方自治体の義務だとせず、国として出来ることがないんだろうか?例えば、国立大学教育学部付属夜間中学として開設し、教員をめざす人たちに開かれた学びの場として「夜間中学の学び」を普遍化する研究実践と位置づけるとりくみを「国の義務」とする方向は考えられないだろうか。

 私たちは「形式中学卒」という用語を用い、学齢時に、義務教育を完全保障できなかった人たちの夜間中学入学を訴えてきた。文科省は口が裂けても「形式中学校卒」の語彙は用いないはずだ。用いるとなると「形式中学卒」と「実質中学卒」の存在を認める、自己矛盾に陥ってしまう。それを回避するため、「既卒者」という用語を考えついたと私たちは考えている。ところが、全夜中研のほうもいつの間にか「既卒者」「学び直し」の用語を抵抗なく使ってしまっている。

 全夜中研大会の大会主題である「夜間中学校の実態から教育のあり方を問いかえし、義務教育未修了の人たちの学ぶ権利を保障しよう」を追究すると、「学び直し」をしなければならない人たちを生みだしている、教育を社会を問いかえす。そして「義務教育制度」の中味をどう考えるかという大きな問題、思想性が背景にある。全夜中研の立ち位置から議論を深める必要を痛感する。

 さまざまな課題にとりくみ、その考え方や方針を打ち出すためにも、全国夜間中学校研究会の事務局体制強化の発言もあったがその通りだ。強化を実現するためにも、「白書づくり」が急がれる。

 
 
 

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