夜間中学その日その日 (940) 砦通信編集委員会
- journalistworld0
- 2024年1月5日
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大阪市教育委員に送付した再審議を求める文書 2024.01.06
議連が総会で決議をあげ、提言書を大阪市長に手交したにもかかわらず、その文書が来たことも、市会に陳情書が出ていることも、「文書を見せ、教育委員から何も発言がなかったので『承認いただいた』として」取り扱う教育委員会事務局の姿勢を糾し、次回教育委員会議で再審議を行なう意見表明を訴える以下の文書を各教育委員に届けた。

大阪市会・教育こども委員会(2023年12月7日)で天王寺・文の里夜間中学の存続を求める陳情書3件が審議され、公明党、自民くらし会派から「採択」の意見があったものの、多数決により「継続審議」の審査結果となりました。
夜間中学卒業者の会が提出した陳情書の趣旨と経過は以下の通りです。近畿夜間中学校生徒会連合会は、夜間中学等義務教育拡充議員連盟と全国夜間中学校研究会が衆議院議員会館で開催された「全国に夜間中学を!さらなる開設と充実を!!国会院内集会」(2023.10.11)に参加し、文の里・天王寺夜間中学の存続を訴えました。これを受け、超党派の夜間中学等義務教育拡充議員連盟は総会(2023.10.31)で「大阪市立夜間中学の統廃合方針撤廃に向けた提言」を決定し、上京中の横山大阪市長に手交されました。
その内容は1. 夜間中学統廃合方針の抜本的見直し 2. 広報機能の強化も踏まえた積極的なニーズの掘り起こしを提言されています。
1では「天王寺や文の里の夜間学級を必要とされる方がいる限り、これらの方々のかけがえのない学びの場を廃止すべきではない。『誰一人取り残されない教育の推進』を掲げる大阪市においては、夜間中学での学びを求める関係者の切実な声を真摯に受け止め、統廃合の方針を抜本的に見直すこと」。
2では「大阪市は、夜間学級の生徒数が減っていることなどを統廃合の理由としてあげているが、大阪市の義務教育未修了者は13,633人と指定都市のうち最多であること等を踏まえれば、夜間中学を必要としている方は大阪市内に多く存在しているはずであり、ニーズの掘り起こしが不十分と言わざるを得ない。夜間中学に関する広報を強化し、夜間中学を必要とする方のみならず、その周りにいる支援者や関係者に対しても働きかけを行うなど、積極的にニーズの掘り起こしを行うこと」と指摘、大阪市の真摯な対応を求めています。
横山市長に手交した、超党派の国会議員連盟の提言は大阪市教育委員会議(2023.6.27)の 55号議案「本市における中学校夜間学級の再編にかかる方向性について」の再審議を求めるものだと私たちは考えています。
12月7日の教育こども委員会でも西崎委員(公明)は「6月27日の教育委員会議は理解しているが、議連の文書にもある、必要とする人たちのかけがえのない学びの場を廃止すべきでない、抜本的に見直しを受けて、教育委員会議で再審議の声が上がっている。各教育委員にその声が届いているのか?」との質問に対し、教育委員会事務局は「(各委員に)文書は届けている。その後の教育委員会議ではそんな意見は出なかったので、(各委員)は認識されてと考えている」と答弁しました。
教育委員会事務局は「提言」を受けとめ、教育委員会議で説明し、再審議をはかるべきだと考えるのですが、上のような答弁でした。西崎委員も「6/27以降に、市長に議連の提言があった。改めて教育委員会議で議論を尽くして判断をしてほしい」「ニーズ調査の結果を見て存続するかどうか検討してもいいのではないか」と意見を述べ、答弁を求めましたが、多田教育長は「令和6年4月、計画通り進める」と答えました。
本年12月1~2日にかけて奈良県で開催された全国夜間中学研究大会の研究資料によれば、大阪市教育委員会事務局が天王寺・文の里夜間中学の統廃合の主たる理由としてあげている両校の生徒数の現況(天王寺は在籍45名、今年度入学20名、文の里は在籍26名、今年度入学13名)は、全国44校中でも天王寺は上位11番目、文の里も上から数えて23番目で決して少ない生徒数ではありません。生徒数を理由に今回の大阪市のように統廃合するというなら大阪以外の全国夜間中学は、札幌と天理の2校以外はすべて統廃合の対象になってしまい、超党派の夜間中学拡充議員連盟の危機感も当然と言わなければなりません。
さらに、大阪市教育委員会事務局は各教育委員の皆さんに十分説明を尽くしたとは到底思えず、2022年度大阪市内在住の夜間中学生328名中の140名(実に43%)が大阪府下7校(特に東大阪に50名、守口に45名)に通学しているという(その逆は23名)大阪府下と大阪市内の夜間中学のアンバランスの状況の説明、つまり大阪府全体の中でこの問題は考える必要があるという観点が大阪市教育委員会事務局には完全に欠落していると言わざるを得ません。このような教育委員会の審議の運営をしながら「委員から意見がなかった。承認されている」との多田教育長の説明は大きな問題を惹起するものと私たちは考えます。
改めて、1月以降の教育委員会議で再審議いただくことをお願い申し上げます。
2023年12月26日
夜間中学卒業者の会
共同代表 金喜子・金夏子・水本浩典・林二郎
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