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夜間中学その日その日 (952)   砦通信編集委員会

大阪市教育委員会議55号議案「本市における中学校夜間学級の

再編にかかる方向性について」の再審議を求める重ねての陳情書 

                         2024.02.17

 夜間中学卒業者の会は2024年2月19日、開催される大阪市議会の教育こども委員会に以下の陳情書を提出している。初心に立ち返り大阪の教育を再生できる議論が行なわれることを期待したい。




〔陳情趣旨〕

 大阪市議会「教育こども委員会」で多田教育長は夜間中学の統廃合を進める理由として「生徒数の減少。日本語指導が必要な人が増え、その指導体制充実が必要。天王寺校舎の老朽化」をあげています。

 

 全国夜間中学校研究大会資料の統計(2023/9/10)の生徒数は文の里(26名)、天王寺(45名)です。全国44校の夜間中学で見ると、26名より少ない夜間中学は16校(36%)。45名より少ない学校は32校(73%)。大阪市教育委員会の物差しを適用すると32校の夜間中学は“廃校”ということになってしまいます。 全国の夜間中学関係者から大阪市の再編計画を夜間中学の実態をふまえないものと懸念の声が上がっています。また天王寺夜間中学は過去、入学希望者に、日本語が話せないことを理由に入学を断り、在籍6年を終える夜間中学生に学校長が面談を実施し、卒業を勧奨する方法で2003年には前年度より約100名減らすなど、自然減ではなく、人為減であることが指摘されています。

 

 日本語指導が必要な学習者の入学が増えたのは、すでに1980年代初めから始まっており、指導体制充実の切実な要望は今、生起したことではないのです。

 

 天王寺夜間中学について「2015年度末で閉鎖、大阪市教委が検討」(毎日2013/12/26)の報道があります。在校生や関係者のとりくみにより、1ヶ月後「天王寺夜間中、存続へ『耐震工事が必要』は勘違い 市教委『言い伝えで・・・』」(毎日2014/1/28)の報道があり、「市教委『確認不足としか言いようのないミス。ご迷惑をおかけし、反省する』」との教育委員会担当者のコメントも示されています。建物の改修工事の要求に対し、教育委員会は今日まで何ら対策を講ずることなく、統廃合を打ち出してきたのです。

 

 大阪市の夜間中学開設にあたって、忘れてはいけない「歴史」があります。大阪市には4校の夜間中学があります。天王寺・文の里・昭和(*)の3校はJR阪和線の一駅ごとに開設された夜間中学で、もう一校は大阪駅近くの菅南(現・天満)夜間中学で大阪市全体からみても、偏在していました。この4校に共通するのは「差別越境」が行なわれていた学校でした。区域外通学者が在籍生徒に占める割合は天王寺中学:658/1794=38.4%。文の里:1143/2489=45.9%。「越境は差別」である。是正を求める教育運動により、区域外通学者を居住地域の学校に戻した結果4校には、空き教室が生まれ、おりしも夜間中学開設運動がとりくまれた時期とも重なり、夜間中学がそこに開設された(『差別越境との闘い』森田長一郎編 明治図書22頁)のです。

(*)1997年、昭和は文の里に統合され、新たに東生野夜間中学が開校。

 この偏在は今問題になっている、天王寺・文の里夜間中学の統合移転の背景にあるのです。ところがこの「歴史」があることを認識し、心を痛めている教育行政担当者にはこの間、私たちは出会えていません。歴史を引き継ぐことはいかに難しいことであるかを痛感していますが、現在を担当している教職員、行政担当者はそれを100%受け継ぎ、今、明日を担っていかなくてはいけないと考えます。「天王寺のあの校舎がどうしてあそこに建っているのかを、ご存じですか?」と越境させた保護者に建設費用を負担させ出来た校舎であることを指摘し、文の里・天王寺夜間中学存続の街頭署名をされた方がありました。

 

 「教育こども委員会」(2023/12/7)に夜間中学卒業者の会が提出した陳情書では、超党派の国会議員による夜間中学等義務教育拡充議員連盟の総会で「大阪市立夜間中学の統廃合方針撤廃に向けた提言」を決定し、横山大阪市長に手交した提言書を受けとめ、教育委員会議で再審議を行なっていただきたい旨を記述しました。

 教育こども委員会(12/7)では、教育委員会事務局は「(各委員に)文書は届けている。その後の教育委員会議では委員からそんな意見は出なかったので、(各委員)は承認されてと考えている」との答弁でした。横山市長に手交された提言書は各委員の机上の資料として配られ、委員から意見が出なかったので、第9回教育委員会会議の「本市における中学校夜間学級の再編にかかる方向性について」、承認は変わらないとの主張でした。

 教育こども委員会(2023/9/22)の答弁に「天王寺中学校夜間学級のこれまでの取組や歴史については、本市といたしましても大切なことであると認識しております。これについて、天王寺中学校をどのような形として残していけるのかを検討してまいります」があるように、文の里と天王寺両夜間中学について、言及に差があるのはなぜでしょうか?

 耳をふさぎ、眼を閉じ、現実を視ようとせず、「あゆみ」を心にとめない現在の大阪市教育委員会事務局の取り扱いに私たちは怒りを禁じえません。

 

 

〔陳情項目〕

 教育の政治的中立性、継続性、安定性の確保という、初心に立ち戻り、夜間中学等義務教育拡充議員連盟の提言をご理解いただき、大阪の明日の教育を考え、禍根を残さないためにも、教育委員会議で今一度、審議を尽くすよう、おとりはからいください。

                         2024年2月1日

 

陳情者  夜間中学卒業者の会  共同代表 

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