夜間中学その日その日 （954） 砦通信編集委員会

　2023年　近畿夜間中学校　連合作品展　　　　　　2024.02.23

　新入生歓迎会、運動会、そして作品展が近畿夜間中学校の三大行事、夜間中学生が顔を合わせて生徒集会が開催される。2024年2月18日、大阪市立東生野夜間中学で開かれた。

　生徒集会では夜間中学生、卒業生13名が意見発表を行なった。

　「一緒に学んでいる仲間の刺激を受けて学ぶことが出来た。（不登校だった）当時の私から考えられない姿だ」「生徒会の夜間中学を守るために、先頭に立った文の里の畑副会長のこと忘れることが出来ない」「中学校になじめず卒業した。病気、絶望的な生活から、夜間中学に入学して、自分も役に立ちたいと生徒会役員に立候補した。天王寺・文の里のこと、時間がないが最後まで闘う。それは自分の夜間中学を守る事でもある」「文の里・天王寺の問題、仲間が大変な思いをしている。夜間中学は私の宝物。この学校を奪われてはならない」「（天王寺に残る）6人の生徒が九年間、天王寺で学べるように」「つぶされる学校があること、苦しくてたまらない。やっとの思いで学ぶ場所を見つけた。通っている私たちが声を出して守っていこう」「仲間が悲しむことがないよう、夜間中学で学ぶ仲間を増やし、学校を増やそう」「大阪市の教育委員会はどうして聞いてくれないのか」「天王寺・文の里夜間中学はなくさせない！がんばろう！がんばろう！」「人間に変えてくれた天王寺夜間中学を守るために、力を一つに教育委員会に訴え続けていく」

　天王寺生徒会長「皆さん夜間中学を守る応援ありがとう。命をかけて天王寺夜間中学を守る」。夜間中学で奪い返した、文字とコトバで意見発表を行なった。

　生徒集会の前に行なわれた、連合作品展の開会式には12人の来賓があった。代表して挨拶を行った、大阪府、大阪市の夜間中学担当者は夜間中学の統廃合について全く触れなかった。夜間中学生の意見発表とは対照的だ。

　門脇生徒会連合会長は「人間の心を持ちましょう。教育者が情けない。夜間中学にきてよかった。心から『先生』と呼べる人に出会えた。それまでは『先公』だった。しかし、やっぱり、『先公』がいる。あきれて、ものが云えん」。生徒会連合会長はこのような出だしの挨拶をはじめた。

　昨年5月、副会長に選ばれた畑芳孝（文の里）さんは文の里・天王寺の存続を求める生徒会の闘いの先頭に立つ一方で入退院を繰り返しておられた。6月27日、大阪市教育委員会議の傍聴に参加された。このあと、私たちは髙野雅夫さんと文の里夜間中学を訪れた。「わーっ、さっそく来てくれはったんですか」「この学校で学びたいんや」「他の場所には通えない仲間がいる。あきらめず、存続を訴えていく」と話されていた。このあと、8月17日、お亡くなりになった。

門脇会長はこの後、共に、闘いの先頭に立ってきた、畑さんの遺影を携え、行動されていた。

　この日、文の里の座席に畑さんの写真を置きたいと、教頭に申し出をしたところ、断わられた。そして上の挨拶につながる。

　「天王寺・文の里の夜間中学生で学びが続けられない仲間が30人も生まれている。学びたくて夜間中学に来た生徒が、同じ生徒に声がかけられない。天王寺や文の里に行っても生徒同士、会わせてくれない。文の里の坐席に畑さんの遺影がおけない。人間ですか？心ありますか？やっぱり『先公や』。遺影、置して欲しかった。今日1年間の各学校の成果を発表する作品展に参加されている生徒会の皆さんに不愉快にさせてしまい申し訳なく思うが、お許しいただきたい」。

　連合生徒会長の当然の申し入れをどうして断わるのか、会場にいた筆者は18回全夜中研大会の壇上で意見を述べた夜間中学生の姿と重なった。どうしてそんな判断になるのか、置き所のない雰囲気で集会が終わってしまった。何故なのか？是非説明していただきたい。

　作品展の会場を見て回った。工夫された作品や、光り輝く文字とコトバを捜して廻ったこれまでの私の鑑賞態度ではなかった。夜間中学の学びで生まれたさまざまな作品に申し訳なかった。訪れた家族がおばあちゃんの作品を見て夜間中学生と話し合っている場面に出会ったが、じっと会話に耳を傾けることは出来なかった。連合生徒会が作成している夜間中学生募集の統一ポスターを参加者が投票で決める展示もあった。

　この作品展もこの日の午後3時で終えてしまう。本当にもったいない。昨年大阪市教育委員会担当者に長期に作品を展示し夜間中学の周知をはかる場所として例えば大阪市役所一階ロビーはと提案した。「そうですね。いいですね。相談してみます」との返事はあったが、検討しているのだろうか。市役所一階ロビーでは展示の交代作業中で保育園の園児たちの作品展示の準備が保育園の先生たちの手で進められていた。是非実現していただきたい。