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夜間中学その日その日 (959)    砦通信編集委員会

   大阪市議会 教育こども委員会             2024.03.21

 

 2024年3月19日の大阪市議会常任委員会「教育こども委員会」には夜間中学関係で次の4件の陳情書の審査が行なわれた。

第66号:大阪市立天王寺中学校と大阪市立文の里中学校の夜間学級で学ぶ夜間中学生の教育を受ける権利を守るための陳情書

第69号:明日の大阪市の教育を創造するために、夜間中学の果たす役割をさらに進める大阪市の教育施策に拡充を求める陳情書

第70号:天王寺・文の里夜間中学の統合移転(廃校)に関する陳情書

第71号:天王寺・文の里の夜間中学中学生の教育を受ける権利を守るための陳情書。

 夜間中学卒業者の会は69号を提出、4度目の陳情書である。



 3/5に締め切られた陳情書に各会派で検討を加え、教育委員会事務局に質問を行ない、陳情書を審査する進め方だ。最初に教育長が「様々な意見をふまえ、再編を行ない、充実さす」との見解を表明した。続いて3会派から3名の委員が質問、討論を行なった。西徳人委員(公明)は45分の持ち時間で21回の一問一答で教育委員会事務局を質した。

 2027年3月までおこなうといっている、天王寺教室で夜間中学生の受け入れをすることは考えられないのかに対し、「受入れることは想定していない。生徒数が増えれば、全市で適切に対応する」「ニーズ調査で把握は必要で、広報に努力し、どんな調査をすればよいか検討していく」。

 心和中学夜間部の現在の受入れ状況についての質問に「天王寺から19名、文の里から10名、新たに25名の約60名。天王寺教室は6名」。

 学びを断念する人が20名あることについて、「両校で30名卒業があり、年度途中の退学もあり、例年通りで問題ない」。個別の状況について、教育委員会は把握していないのか?では「個別には聞いていないので答えられない」。

 これまで「統合で学びを断念することがないよう丁寧に対応する」との答弁を繰り返してきたにもかかわらず、学びの継続を断念する理由を把握せず、個人の問題に矮小化して切り捨てる姿勢をあらわにした。義務教育ならば中退の理由を明らかにし、把握する対応をするのが常識ではないのか?との考えで「これは防がなければ」と質問があったにもかかわらず、このような事務局の答弁姿勢は問題ではないだろうか。

 前回の教育こども委員会(2/19)で入学にあたって、在学中の学校移転について説明資料と「了解して入学した」という記録もない状態で「丁寧に説明した」とは云えないと指摘を受けた。今回も「日本語が理解出来ず、入学して、同級生から説明を受けてその意味がわかった」との入学生の実態を指摘されたが「丁寧な説明をした」を繰り返し、強弁した。

 統合移転を決めた教育委員会会議(2023/6/27)の議事録がまだ公表されていないので議事録の「未定稿」を基に、統合移転に疑問を呈する意見もあったことを紹介、教育委員に説明した会議の様子を質した。「(教育委員に)資料も示し、丁寧に説明を行ない、議論を行なっていただき、全員納得していただいた」と答えた。

 教育委員会議を傍聴した私たちはあれが「丁寧な説明と会議運営?」と大きな疑問をはさみたい。統合移転を決めた教育委員会議にもう一度再審議を行なうことが必要との議論の元になる「議事録」を9ヶ月が経過しても、公開していないことは意図的だと考える。そしていつの間にかそっと、ホームページで公開するのが今の大阪市の常套手段である。肝心の議論に反映させないやり方は民主主義に反する。議員も「教育委員会議で決まったとの一辺倒で、教育委員会事務局の体質を表わしている」と意見を述べた。

 希望する人には天王寺で学べるということは「誰一人取りこぼさない教育」を掲げる大阪市として行なってもいいのではと教育長に質した。「いろいろな背景をもった人が学ばれている。本人からの入学の申し出を受け、許可をし、(入学にあたってのやりとりの)書面はないが出来るだけのことはしてきた。統合移転をして、全体として充実していく」と答えた。

 途中入室した横山市長に市長答弁を求め、昨年10月、超党派の国会議員連盟の決議を受け2点の提言を受けた、市長の考えを質した。「再編にあたって、いろいろな声を受け、天王寺で学びの場を設け、来年度の募集に私のコメントも発表した」。大阪市の夜間中学政策についての質問には「これまで、設置市の中で最も多い4校の夜間中学を設けてきた。生徒数が減り、日本語指導の充実をはかるため、教育委員会が決定したことを(自分は)認めている」と答えた。

 4校から3校になることは通学エリアが減ることだ。義務教育未修了の方が全国最大の13000人を超える大阪市だ。二度までも学びを断念することを求める大阪市の施策について、毎回陳情書が出ている。多くの方々の想いを受け止めて再考すべきだと質した。

 学びの場が必要であるとの声を受け、在籍年数にかかわらず、天王寺でも学べるようにすべきではないか(荒木肇委員・自民)。の質問に対し、「(2022年」以降の入学者を天王寺で受けることができない」との事務局の答弁にたいし、冷たい残念な(教育委員会)事務局の姿勢だ。又、何故3時限授業の天王寺教室と4時限授業の心和中学と、何故3時間にするのだ?と糾した。「1時限の授業を延長する」と答えたが。教育条件の格差については答えなかった。

 太田勝己委員(自民くらし)は教育委員会に丁寧な対応を求め、夜間中学の応援団の一人としてひき続き質していくことを述べた。

 陳情書に対する各会派の態度は公明・くらしが採択を表明した。しかし、多数決により「継続審査」となった。




 教育や教育行政の基本原理は次の5つ、中立性、法律主義、地方分権、公共性と自律制しかし、しかし、大阪市立文の里・天王寺夜間中学の廃校を進める現在の教育委員会事務局には、夜間中学が大切にしてきた「学ぶ人に学ぶ」姿勢は微塵もなく、義務教育を十分受けることのできなかった人たちに、学びの場所をつくってあげますとの、夜間中学の存在する意味を考えることのできない教育行政の姿勢が一層明らかになった。

 舞台は回るが、夜間中学卒業者の会は今回のとりくみに学び、本来の夜間中学の姿を再生するため、ひき続きねばり強くとりくみを進めていく。

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