夜間中学その日その日 （981） 砦通信編集委員会

　　「夜間中学を増やそう、充実させよう！シンポジウムin　愛知」2024.07.21

　全国夜間中学校研究会と夜間中学等義務教育拡充議員連盟主催、自主夜間中学「はじめの一歩教室」後援でシンポジウムが　2024年7月6日、名古屋市で開かれた。会場周辺に私服のＳＰが立ち、飛行機に搭乗するときのような、物々しい入室チェックがあった。いつもの夜間中学関係者の集りの雰囲気ではなかった。あいにく新幹線がトラブルのため停まってしまい、参加できなくなった参加者が多かった。

　近畿夜間中学校生徒会連合会を代表して挨拶を行った会長は挨拶の冒頭、2021年から天王寺・文の里夜間中学の存続にとりくんだが、大阪市は廃校を強行してしまった。存続を訴え、全国を駆け巡った　故　門脇勝近畿夜間中学校生徒会連合会長の想いを受け継ぎ存続の闘いをとりくんでいくと決意を語った。

　続けて「83歳で、『堪忍やで戦争と貧乏でお前を学校に行かすことができなかった』といって母はなくなっていった。先生から、お前は迷惑や学校へ来るな、小学校から行きなおせと言われた。中学校にタッタ2か月しか行っていないのに、卒業証書が家の入口の戸に挟まっていた。生きていくためには文字は絶対に必要や。68歳でやっと夜間中学に入学できた」と語った。

　公立･自主の夜間中学生や卒業生5名が130名の参加者に想いを静かに語った。

小学三年生の時中国に帰ったが「日本で勉強したい」と22才の今、名古屋の自主夜間中学で学んでいる。そして「将来の夢を実現したい」と。

　岡山の自主夜間中学生は､難病でほとんど学校に行けなかった．病院の先生から自主夜間中学が有ることを教えてもらい「自分を変えたい、文字を読めるよう書けるようになりたいと」7年前、入学した。はじめ人数は少なかったが、10～80代の370名が勉強している。「人工透析を受け､毎日は学校に通えない。自分の足りないところを集中して勉強している。私のような人が勉強できる自主夜間中学は公立と両方必要だ。そしてボランティアで運営されている、自主夜間中学にもいろんな支援が必要だ」。

　尼崎で働いていたから､尼崎市民でなかったが、琴城分校に入学できた。80歳代の人も、外国籍の人たちも毎日楽しく学んでいる。先生たちはすごく苦労して毎日の勉強の準備をしてくださっている。「そんな夜間中学で学んで私は人生が変わった。楽しく学ぶことはすばらしいことだという感覚を体験した。愛知や名古屋にできる夜間中学、どこに住んでいても入学できるようにしてください」。

　7歳の時母が脳梗塞で倒れ、看病のため､学校に行くことができなかった。夜間中学生募集のポスターが掲示されていた。「あなたも、夜間中学に行かなあかんなあ」といいながら母は亡くなった。2015年10月、守口の夜間中学に行った。先生に手伝ってもらい、入学手続きに必要な､住民票をつくることから始まった。すると、小学四年生で除籍になっていることがわかった。生活保護の手続きも、一つが終わるとまた別の問題が起ってきた。「入居差別」も経験した。私は将来、夜間中学の先生になりたい。産経新聞が夜間中学の長期連載記事を『夜間中学はいま』という本にまとめ、出版していただいた。きょうの発表者もその記事で取り上げていただいていると紹介した。

　大阪市で許されないことが起っている。「学校を奪われることは、学ぶ権利を奪われること」。親の虐待で施設から学校に通い、支援学校の中等部、高等部を卒業した。しかし､私は中学校の勉強はできていない。夜間中学を卒業して定時制高校で勉強したいと思っているが、大阪府だけ、支援学校の高等部を卒業した人は高校を受けることができない。どうしてですか？勉強ができるようにしていただきたい。

　夜間中学拡充議員連盟の事務局長、笠 浩史・衆議院議員は一人一人の発表をどのように受けとめたか､国や文科省としての課題を丁寧に話した。大阪市の夜間中学の統廃合について､再検討するよう、大阪市の横山市長に議連の決議を手交した。しかし､止めることはできなかった．「私たち議連の力不足をお詫びしたい」と報告した。

　夜間中学で学んだこと、夜間中学の卒業生であることを誇りに思う気持ちがあふれる力強い発表であった。

　シンポジウムには国会議員、県会議員、市町村議員、多数の参加があった。発表者の思いを受け止め、学習者が主役となる、教員や関係者が夜間中学生に学ぶ、そんな夜間中学になっていくことを期待したい。