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夜間中学その日その日 (987)   砦通信編集委員会

    第43回夜間中学増設運動全国交流集会   2024.08.29

 名古屋市 「ウイルあいち」で2024年8月24~25日、43回夜間中学増設運動全国交流集会が開催された。21団体から延べ200人の参加があった。「自主夜間中学と公立夜間中学の連携をどう築くか」をテーマに学習者の報告や発表を中心に据えた、熱い議論が展開された。

基調提案で連携の具体として、学習者の想いを大切にする夜間中学が重要であることを故・近畿夜間中学校生徒会連合会会長 門脇勝さんの行動をふりかえり提案があった。現地実行委員会事務局は「夜間中学の卒業は学習者が決める」。この意味は「夜間中学の中心は学習者の声」であると述べた。



 川口自主夜間中学から公立夜間中学との関わりについての報告では開校後、埼玉県・川口市教育委員会との話合いを行なっている。そこで随時入学、就学援助制度、県外からの入学について訴えてきている。一人一人の理解状態をくみ取っていない「一斉授業」や昼の学校教育の手法を夜間中学に当てはめる問題点、この夜間中学の一期卒業生が自主夜間中学のスタッフとして活動している報告があった。

 一方で公立・自主夜間中学の連携で新しくできた公立夜間中学の“硬直”した姿勢が浮彫りになった。学校に福祉の視点が大変弱い、ボランティアや通訳、スクールソウシャルワーカーの力を閉ざしているとの指摘があった。

 74歳になる夜間中学生は「勉強を通して、若い人、若くない人が同級生として話せる雰囲気が夜間中学にはある。授業や行事に生徒の声を届け、話合いをした。学校に生徒会の必要性を訴えたが、『反対』の考えのようだ。しかし夜間中学は夜間中学生や地域の声に耳を傾ける場ではないか。そして課題解決学習ができる場であり、自治活動を保障しないといけない。これからも夜間中学生徒会を結成する重要性を訴えていく」「今までの学校との様子があまりにも違い、先生方の苦労は分かるが、分からんかったら、私たち生徒に聞けばよいのに先生、空回りしている」と指摘した。

 公立の星友館中学と札幌遠友塾夜間中学が手を携え、学び合いながらとりくみを進めている。北海道は広い、全県一校ではダメだ。オンライン授業の実証検討を進めている。生徒の数だけ夜間中学が必要だ。

 43年間のあゆみととりくみを更に推進し、夜間中学運動の発展に寄与するため、事務局体制を充実し「(仮称)夜間中学増設運全国交流協議会」に再編する提案があった。提案を受け、実施検討を進めることになった。


 二日目、支援者・学習者の交流会ではまず、2024年5月開校した大阪府泉佐野市立佐野夜間中学から発表があった。ぞうりづくり、アルファ米、ハザードマップ、空港検疫所の職員を招いた授業、生徒会長が先生となって美術の授業で革細工の実習、昼の中学生との交流にとりくんだことの報告があった。一緒に駆けつけたネパール国籍の夜間中学生は「楽しい、困ったときは先生に聞く。自分のことも相手のことも、相手の立場に立って考えている」と報告した。

 発表を聞いた夜間中学生は「開校2ヶ月目に訪問して交流したが、とにかく明るい雰囲気、先生と生徒が友だちのように接しているのがうらやましかった。生徒会も活動していた。私とこもがんばろうと思った」。訪問した教員は「訪問した時出されたスリッパに“学びは力”と書いてあった。雰囲気が違った。明るい、開放的」と紹介した。

 さらに佐野夜間中学の教員は「夜間中学に学びの原点があると思った。生徒から学んだことを昼に還元していく。『つながりあう、批判しあう、わかり合う』を大切に、人権教育で学んできたSDGs(持続可能な開発目標)を実践している」と報告した。

 この後、学習者と支援者に別れ、話合いを進めた。

 夜間中学教員の移動(転勤)の問題が議論になった。2年間で移動していく。「発足時22人の先生がいま残っている先生はタッタ4人」。教育委員会は多くの先生に夜間中学を経験して欲しいと考えているのかも知らないがあまりにも短いのではないだろうか。

 夜間中学の修業年限と卒業が話題になった。修業年限と在籍年限は別で、中学校の修業年限は3年である。しかし、夜間中学生の場合、夜間の小学校がない中で、小学校で学べなかった人から中学3年を中退した人まで、夜間中学で学ぶことになる。その人たちに3年の修業年限を一律に当てはめることはできないという問題がある。それを一律に当てはめ、強制卒業を強行し、夜間中学生が誰も参加しない卒業式を行なった夜間中学があった。各夜間中学は夜間中学生の実態にあった夜間中学の卒業を追求して、いまに到っている。「学校の“当たり前”が当たり前でない学校」「学校のこれまでの当たり前を変えていく」これが夜間中学ではないか。

 学習者の話合いでは、いじめ、不登校を乗越え公立・自主夜間中学で学んだことを話し合った。夜間中学で学んだことをこの社会でどんな役割を果たすか重要ではないか。来年は89歳、来年も交流集会に参加したい。元気が湧き上がる集会になった。

 二つの映画、夜間中学の映画が遠友夜学校を開設した新渡戸稲造のドキュメンタリー映画『新渡戸の夢』(公開中)と春日夜間中学で学んだ西畑さんの『35年目のラブレター』(2025.3公開)が相次いで完成することの報告があった。

 現地実行委員会の「はじめの一歩教室」(愛知夜間中学を語る会)のみなさまには大変お世話になった。

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