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夜間中学その日その日(885)  夜間中学卒業者の会通信

  • journalistworld0
  • 2023年5月1日
  • 読了時間: 5分

  「公開質問状」の回答を読んで           2023.05.01

 天王寺夜間中学同窓会、夜間中学卒業者の会は大阪市長、大阪市議会議員候補者に公開質問状を送付し、回答をお願いした。選挙期間中の忙しい中、20通の丁寧な回答をお寄せ頂いた。内訳は市会議員(17)、市長(2)、維新の会本部事務局(1)だ。

 公開質問冒頭の「天王寺夜間中学・文の里夜間中学廃校の大阪市教育委員会方針に(賛成・反対・その他)」については、市会候補者の結果は大阪市教育委員会方針に反対16.賛成1.その他1。市長候補者は 反対1.その他1。維新の会本部の回答はこの項の記述はなかった。



 唯一、「賛成」と記述のあった回答者の記述からすると「反対」なる。すると大阪市教育委員会の方針に賛成という候補者は「ゼロ」ということになる。維新の会本部が候補者に代わって回答という形は想定はしたが残念である。候補者一人ひとりの考えをうかがうことは叶わなかった。

 一つの回答書は夜間中学生の想いや主張に理解を示しながら、「浪速区に設置予定の不登校特例校への統合という教育委員会の判断を支持する」との記述があった。いろいろ言葉を並べるが、夜間中学や学習者の想いを最大限活かす方法を追求しようということにならない。最後は夜間中学生の想いとは正反対の施策に賛意を表する記述である。夜間中学生はわがままを言っているとしか受け取れないのか?それはなぜなのか?

 関係者で回答書を読み、考えを述べあった時、これは、夜間中学に関係する私たちも責任があるという意見があった。普段から、夜間中学の事、とりくんでいること、学習者の想いを伝えることなど、積極的にとりくんできただろうかという、意見であった。

 昼の学校であれば、学齢時ほとんどの人がその場を経験し、ある意味、問題点の共通認識はあるという前提で、いろいろと意見が交わされている。ところが、夜間中学という場を経験した人は圧倒的に少ない。

 夜間中学卒業生で市町村議会の議員は近畿圏で2名しか名前が浮かばない。大阪府教育委員会は府内11校の夜間中学の訪問を市町村教育委員会にも呼びかけ参観し、交流するとりくみを30年近く続けている。ゆっくりだけれど、夜間中学に対する認識は広がっていっていると考える。

 夜間中学のとりくみと夜間中学に対する理解を促す任務を持っているのは教育委員会の役割ではないのかという意見もあった。そのために学習者との接点を持ち、理解を深め、夜間中学の事を正しく伝えていく任務を持っているから、昨年の新入生歓迎会の集まりに出席した教育委員会担当者に、生徒会連合会の会長は「この方々は夜間中学を支援いただいている皆さんです」と紹介、夜間中学生も大きな拍手し応えた。

 教育委員会の人たちの夜間中学についての認識はどうだろう。一例を挙げよう。大阪市内の夜間中学は1996年まで、天王寺、文の里、昭和(*)、天満(旧菅南)の4校であった。天王寺、文の里、昭和はJRの天王寺、美章園、南田辺駅と一駅ごとにある夜間中学で、大きな大阪市内で、3校がなぜ接近してあるのか?と質問したが明確な答えは返ってこなかった。

 天王寺中学(1794名の在籍者のうち688名、38.4%)、文の里中学(2489名の1143名45.9%)が区域外通学者を受け入れていた(1968年)。それは「差別越境」だとの指摘を受け、大阪市教育委員会は実際に居住している校区に子どもたちを戻した。当然、生徒数が減り、空き教室が生まれた。同じころ、とり組まれていた夜間中学開設運動がその空き教室のあった中学校に設置された。先に書いた4校とも、区域外通学者を受け入れていた。この経緯について、担当者はご存じなかった。(*1997年、昭和は文の里に合併し、夜間中学生が多く居住していた生野区に東生野夜間中学が開校、夜間中学の偏在は一部緩和された)。

 夜間中学としては、50年前のことだからというわけにはいかない。現在、夜間中学の廃校問題が起る元は夜間中学の偏在にあると考える。天王寺中学の夜間学級の入っている校舎は“越境入学料”として「施設充実費名目の校納金が越境組保護者」(1968.9.18朝日新聞)から集めた資金を原資として建設された。老朽といいながら今日までそのままあるのは、建設の経緯が原因だと考える。


 回答書にあった、不登校特例校への統合について問題点を指摘しておく。

① 校舎の老朽化が進んでいるが、国の耐震基準の数値は0.74でクリアしていた。(2013年)。夜間中学生は建て替え、改修を1995年の阪神淡路大震災以後要求していたが、教育委員会はそのまま放置し何ら手立てを講じなかった。夜間中学生の在籍をとことん減らしきった時を見計らったかのように「国の補助制度上現地建て替え困難を」をいいはじめた。

② 不登校特例校は昼間部70人3クラス、夜間部60人4クラスを編成。12時45分から21時15分の勤務の中で天王寺、文の里に配置している教員で昼と夜を担当してもらおうと私たちに説明した。

2校の合計

 生徒数 学級数 校長 教頭 常勤教員 養護  計

2021年  75   6   1   2   11.5  2  16.5

2022年  63   6   1   2   11.5  2  16.5

昼間部+夜間部を併せた不登校特例校の場合

     130   7   1   1   14   1  17

 現在より0.5名加えて配置すれば現在の生徒数の2倍を担当してもらえるとの大阪市教委の考えである。

 しかし、大阪市教育委員会が見本としている京都市立洛友中学は、課題山積でとてもこの人員と回答文の云う「専門的な知見に優れた教員」でもってしても、課題解決には困難だとの報告もある。この手法は、“株式会社大阪”の考え方を如実に示している。


*京都の洛友中学は生徒数、大阪の1/4で下記の教員配置を行なっている。    

・生徒数:昼間部15名、夜間部19名

・教員配置:校長1名、教頭1名、(教諭+常勤講師)10名(昼間5・夜間5)、養護教諭1名、非常勤4名、事務職員1名、校務員1、スクールカウンセラー1、スクールソーシャルワーカー1、校務支援2、日本語指導1、学校司書1を配置。

・勤務時間(常勤の教員):昼間部、夜間部とも全て同じ時間帯で勤務している。

・定数:へき地校並みに手厚く配置されているが、きめ細やかな対応が必要であり、人員は不足している。学生ボランティア等も活用して対応している。

との報告だ。



 
 
 

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