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夜間中学その日その日 (462)     蟻通信編集委員会 Journalist Worldジャーナリスト ワールド

  • アリ通信編集委員会
  • 2016年8月23日
  • 読了時間: 6分

夜間中学の「まなび」を考える

夜間中学で学ぶ人たちは子どもの頃、学校に行くことができなかった。たとえ、入学して何年間かは学校に行くことはできても、卒業することができた人はいない(*)。

なぜ学校に行くことができなかったのか、その理由ははっきりしている。いま夜間中学で学んでいる人に共通して言えることは、貧しかったこと、いじめと差別と戦争だ。これらのため、学校どころではない暮らしを強いられ、今に至るまで学校に行くことができなかった。

また貧しかったこと、いじめを受け、差別されてきたことのため、大変な苦労を体験してきた。学校に行けなかったことがその苦労をさらに大きくした。こうしたことも共通していえることである。

このことは高齢の夜間中学生のみならず、多くの夜間中学生に共通していえる。そのような人たちが夜間中学で学んでいる。

(*)2015年7月文部科学省は形式的に卒業をした人たちの夜間中学入学を認める通達を出した。

あらためて、夜間中学でどのような学びを追求すればいいのかを考えよう。

夜間中学生が学んでいる学校は中学校である。しかし、13~15歳の子どもたちが学んでいる中学校と夜間中学生が学んでいる夜間中学とはその内容はまったく異なるものだと考える。

子どもたちはこれから大人になっていく。社会人として生きていくため、さまざまなちからをつけていかなければならない。そのために必要な勉強をしている。

これに対し多くの夜間中学生は大人であり、子どものように今から社会に出ていくという年齢でもない。仕事もし、結婚をして子育てもしてきた。人一倍、さまざまな経験も苦労もしてきた人たちだ。そうすると中学校といっても子どもたちが学ぶ中学校と過年齢の人たちが学ぶ夜間中学とでは当然、学びの目標も内容も異なるはずだ。

夜間中学の学びについて、50年近くの夜間中学の歩みの中で次の2点を確認してきている。

1点目は学習者自身が自分の想いや願いを持つこと。そしてそれを人に伝えたり、実現するためにはどのようにすればよいか考えたり、学習者自身の努力と共に、人と協力できるようになることだ。

学習者が夜間中学で学ぶまでの自分と、夜間中学で学び始めてからの自分を比べた時、なにも異ならない、同じだというはずはない。文字やコトバを少しずつでも自分のものにしていくなかで、今までとは違った自分を発見して「やっと人間らしくなった」「世の中が見えてきた」という言葉で表現している。

そうすると、今までの自分はどうであったのかを深く考え、学習者が生きてきた人生をふり返ることが重要だ。なぜ学校に行けなかったのか。なぜ読み書きができないため、思うような仕事に就くことができなかったのか。なぜ朝鮮人が日本の社会で苦労し、差別を受けてきたのか。なぜ中国残留孤児や婦人が存在するのか。さまざまな苦しみを味わいながら、どのようにそれを乗り越えてきたのか。

そのうえで、これから自分はどのように生きていくのかを、共に学んでいる仲間と互いに共通する願いは何であるかを夜間中学の学びを通して語りあい、それを実現できるような力を追求し獲得していくことが重要だ。

2点目は学習者自身のことがわかり、大切にすること。

学習者自身といってもいくつもの顔(じぶん)を持っている。夜間中学生という顔だけでなく、朝鮮人という顔も持っている。また日本人や中国人という顔も持っている。男や女という顔も持っている。学習者にはいろいろな「じぶん」がある。

さまざまなことを実現できるようにとりくむにしても、「じぶん」を大切にしたい。そのために、夜間中学生としての「じぶん」をはじめ、これら「じぶん」を見つめていきたい。

この実現のためにどんな学びが必要か、私たちは次の6点が夜間中学の学びの柱だと考えている。

  1. 話す力、聞く力、読む力、書く力をつけて、夜間中学生自身の考えや、願いを表現ができるようにする。

  2. 歴史を知る。

  3. 社会の出来事や問題を知る。

  4. 民族の自文化を知る。

  5. 生活を豊かにするための知識や技術を身につける。

  6. これらを実践、活動する場として生徒会活動も重要な学びだ。

まず1番目。夜間中学生は自身の胸のなかに想いや願いをいっぱいしまい込んでいる。それはいままで頑張ってきた自身の歴史であったり、夜間中学で学んだ喜びであったり、将来の夢であったり、実にさまざまである。

それをコトバでいい表わせるようになること、文字で書きあらわせるようになることが重要だ。

2点目、「じぶん」のことや夜間中学でともに学んでいる仲間のことをより深く知るために、歴史を知ることが大切だ。

学習者がなぜこのような暮らしをしてきたのか、なぜ日本に住んでいるのか、なぜ夜間中学で学んでいるのか等、このような事柄を考えることは重要だ。そしてその答えの多くは歴史の中に隠されている。

自身が生きてきた道のりは夜間中学でともに学んでいる仲間の道のりと通じ合っている。朝鮮人でいえば、日本で暮らしている、民族どうし互いに重なり合う暮らしを積み重ねてきた。これらを朝鮮と日本のくにや民族があゆんできた歴史と重ね合わせながらとらえかえす取組みだ。

3点目、新聞やテレビ、ラジオのニュースに見られるように、毎日、事件や事故が目や耳にとびこんでくる。それらの中で、しっかりと受け止めて考えたり注意を払わねばならないのはどれとどれなのか、見分ける力をつけることが重要だ。

また、私たちの暮らしが世の中のさまざまな問題とどのようにつながりあっているのかを知ることも重要だ。

4点目。夜間中学には、たくさんの国籍の夜間中学生が学んでいる。そして日本人の夜間中学生や教員がいる。たとえば、朝鮮人について考えると、日本に朝鮮人が数多く暮らしているといっても夜間中学のように一日のうちに何時間かは朝鮮人と日本人が一緒に生活しているようなところはそう多くはない。夜間中学は日本人と朝鮮人がともに理解を深めるようになる場だということができる。

そのために、歴史を学ぶことが重要であるが、もう一つ重要な側面がある。それは文化や習慣の違いや似ているところを知ることだ。このような事柄をよく知りあうことから互いの立場を認めあい、大切にしていこうとする態度が生まれてくると考える。

5点目。学習者は思うように読み書きができなかったために、いわれない苦労を重ねてきた。またそのために差別されたりしたこともあった。ようやく夜間中学で学べるようになった今、読み書きができないための不便をなくすことはもちろん、夜間中学で学んだことが毎日の暮らしに少しでも役立つような学びも重要だ。

そして6点目。安心して学べる学校を、楽しいと思える学校を作っていくこと、今日も来て友だちに会えてよかったと思える学校や教室を作っていくこと。このような事柄を夜間中学生自身の力で実現していく活動の中から学習者も教員も多くの大切なことを学ぶことができる。

これらの学びは学習者だけが追求するものではない。学習者と教員との共同作業を通して追求していくものだと考える。教え、教えられる立場は刻々と変わり、次の瞬間には学習者は教員に変化する。両者の相互作用によって展開していくものだと考える。

これらを柱とする夜間中学の学びを通して学習者自身を勇気づけ、胸を張って生きていくことの自己が実現していくのだと考える。また学習者、教員の共同作業を通して教員も変革し、夜間中学からの「かくめい」が広がっていくのだと考える。

 
 
 
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