夜間中学その日その日 (1049) 夜間中学資料情報室
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第44回夜間中学増設運動全国交流集会(山口) その1 2025.09.13
第44回夜間中学増設運動全国交流集会(山口)が2025年9月6日~7日、山口市のKDDI維新ホールで開催された。全国各地の自主夜間中学、公立夜間中学、夜間中学支援運動組織など30から約100名(スタッフ86名・学習者13名・その他)が参加いただいた。準備手配も地元山口の自主夜間中学宇部校、防府校、山口県人教・同和教育研究協議会も皆様に大変お世話いただいた。
事前に各組織の「活動の現状、取組、特色」「成果、課題、今後の展望」を記した報告書が提出されており、それらに目を通して参加するように担当者から連絡があった。
報告書に見える記述で一つは公立と自主夜間中学の連携が進んでいるところとして、名古屋の「はじめの一歩教室」となごやか夜間中学。札幌遠友塾と星友館夜間中学。いいあす京都と洛友夜間中学。北九州の自主夜間中学とひまわり夜間中学。自主夜間中学福岡よみかき教室と福岡きぼう夜間中学に記述があった。
札幌遠友塾から5名のスタッフが学習サポ-ターとして、1名が非常勤講師として星友館に参加している。星友館夜間中学の学校運営協議会の構成員として遠友塾代表や「つくる会」代表らに加え2名の生徒代表幹事が学校運営に参画している。
二つ目に自主夜間中学の財政の課題が記述されていた。会場使用料の捻出からボランティアで参加するスッタフの交通費も捻出できない状態が課題だと。その中で全国交流集会への交通費、宿泊費、参加費など大きな負担になったと思う。三つ目に自主夜間中学の取り組みを継承し託していく後継者が見つからないことをあげられていた。
関西世話人の石打さんから主題提起の初めに、お亡くなりになった3人に黙とうを全員で行った。近畿夜間中学校生徒会連合会の会長、副会長をされ天王寺・文の里夜間中学統廃合反対運動の先頭に立たれていた「学ぶことは権利、基本的人権だ。教育難民をつくるな」と主張し東奔西走された門脇勝さん(東大阪意岐部夜間中学)。「この学校が好き、ここで安心して学びたい。大阪市の夜中廃止計画は筋が通っていません」と畑芳孝さん。そして髙野雅夫さんだ。全国交流集会に参加いただいた方々を次々と失ってしまった。

髙野さんの公の場の最後の発言で「・・・世界に誇る夜間中学をつぶしてはならない。必ず日本の歴史を切り拓いていく、天王寺中学の出発の原点はここにあると思います。夜間中学の原点は、この天王寺夜間中学にあるのです。必ず守ってください。2年後に新築される校舎の中に、必ず天王寺夜間中学の歴史を、証拠を、証言を残しておいてほしい」と想いを述べられている。全国から100人が集まる、夜間中学増設運動全国交流集会が開催できるのも、1969年の夜間中学開設の市民運動により生まれた、大阪市立天王寺夜間中学の開校に源があるのだ。
防府(2022.4~)宇部(2023.4~)で取り組みが始まった山口自主夜間中学は地元に少しずつ浸透し、支援が生まれてきている報告があった。二日目午後の話し合いで、北九州の自主夜間中学に下関から通っていた何人もの在日朝鮮人の学習者の報告があった。15歳以上の人口が22万4千人の下関市には1561名の義務教育未修了者がお住まいだ。山口県同教の担当者から今後の取り組みについて報告があった。教育研究者からいろんな選択肢を提供し、個別最適の教育について論究があったが深めたい内容だ。
都市部の公立夜間中学に勤務していた教員が島根県大田市で自主夜間中学を開校された。その方は「本当の学びが追求できる自主夜間中学のフトコロの深さ」と表現された。また、行きたくても通うことのできない地方では通学には送迎が必須になってくる課題も報告された。
「福岡読み書き教室」「夜間中学を育てる会・福岡」が福岡市教育委員会や福岡県教育委員会と話し合っている内容の中に「筑豊地区で県立夜間中学設置を求める協議」の報告があった。1969年、天王寺の開校を実現して、次に髙野さんが向かうところは産炭地・筑豊の夜間中学開設運動であった。筑豊に向かうべく、いったん東京に戻った髙野さんを東京に留まらせたのは、江戸川区に夜間中学と日本語学級をつくる開設運動であった。1971年4月江戸川区立小松川2中夜間中学開校を実現させた。次は「筑豊だった」が髙野さんの口癖であった。何としても実現していただきたい。
「夜間中学ができたものの、昼の学校とちっとも変わらない公立夜間中学」との指摘があった。
*夜間中学が学びの多様化学校の申請をおこなった…三豊市立高瀬夜間中学、大牟田市立宅峰中学の2校。
*夜間中学と学びの多様化学校の併設…三重県立みえ四葉が咲中学、京都市立洛友夜間中学、大阪市立心和中学、宮崎市立ひなた中学の4校。
*昼の在籍校から学籍は移さず夜間中学への受け入れ…群馬県立みらい共創夜間中学、石川県立あすなろ夜間中学、名古屋市立なごやか夜間中学、愛知県立とよはし夜間中学、和歌山市立あけぼの夜間中学、佐世保市立祇園夜間中学。(新聞報道から)。
交流集会でも学齢の子どもたちのほうに傾斜がかかり、夜間中学生の除籍を在籍生の70%も行っている学校の例の報告があった。(つづく)
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