夜間中学その日その日 (514) Journalist World ジャーナリスト・ワールド
- アリ通信編集委員会
- 2017年10月20日
- 読了時間: 3分
特別展「夜間中学生展」 (1)
大阪人権博物館(リバティー大阪)で特別展「夜間中学生」展が2017.10.18始まった。午前10時開館である。9時過ぎ、NHKの取材スタッフがスタンバイ、扉が開くのを待ち受けている。9時30分、特別展のチラシを手にした一人の夜間中学卒業生が現れた。
私たちは時間より早く入館、オープニングの準備にはいった。
館長の挨拶を受け、スタッフの打ち合わせをおこなった。特別展示室の照明に浮かび上がった展示物は170点を超える。半世紀になる時間の展示物である。特別展がどのように受け取ってもらえるか、どんな出会いが生まれるか?複雑な心境である。
常設展示室に入る手前に、特別展示室が二つある。一つは若手弁護士が担当する、企画展「いまこそ知りたい!楽しく学ぼう日本国憲法展」。もう一つが「夜間中学生展」だ。まず11人の夜間中学生の顔写真が来館者を出迎える。
夜間中学卒業生6人が在学時代の先生といっしょにやってきた。在学時に作成した共同作品が展示されていることを確認した後、半世紀におよぶ時間を一つ一つ確かめるように、時間をかけ、展示を追っていった姿が印象的だ。近寄って説明を加える状況ではなかった。展示物と対話をしているのだ。3人の夜間中学生が書いた詩の前で立ち止まり、自分の人生と重ね合わせ、目頭を押さえているように私には思えた。
1枚の写真が訴える力も偉大だ。梅田の歩道橋で、夜間中学入学のために転職する。その勤め先に親子で挨拶にたずねる前に立ち寄り、本当に開校されるんですねと確かめる和服姿の母親と答える髙野雅夫さん。
「こんな学びの現場をあの人(安倍さん)にみてもらいたい。戦争のできる国へ突き進むあの人に」と70代の来館者が語ったのは印象的だ。

会期期間、来館者との出会いを報告していく。
まず、NHKがこの日、放送した内容を記しておく。
夜間中学の生徒たちの作品展
2017年10月18日 20:45~
不登校だった人や外国人の子どもたちなどに学びの場を保障するため、国がすべての都道府県に設立を求めている公立中学校の夜間学級、いわゆる「夜間中学」について広く知ってもらおうと、生徒たちの作品を集めた展示会が大阪で開かれています。
公立の「夜間中学」は、戦後の混乱期に義務教育を受けられなかった人たちのために設けられましたが、国は、不登校だった人や外国人の子どもたちなどに学びの場を保障するため、すべての都道府県に対して少なくとも1校は設立するよう求めています。
「夜間中学」の活動を広く知ってもらおうと、近畿にある夜間中学の生徒たちの作文や美術作品などおよそ170点を集めた展示会が18日から始まりました。
このうち大阪・守口市にある夜間中学の生徒たちの詩は、日本語の授業の中で、1人1人が短い言葉をつなぎ合わせて作ったということで、学ぶことへの熱い思いをつづっています。
また、生徒たちの文集を直接、読むことができるコーナーも設けられ、訪れた人たちはじっくりと読み込んでいました。
夜間中学の卒業生だという73歳の女性は、「仕事を退職してから夜間中学を知り、学びました。作品を見ていると思い出がいっぱい浮かびます」と話していました。
この展示会は、大阪・浪速区の大阪人権博物館で12月16日まで開かれています。