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『琉球独立は可能か』(解放出版社)を刊行

  • 川瀬俊治
  • 2018年3月16日
  • 読了時間: 2分

彫刻家の金城実さん、経済学者の松島泰勝さんの対談集『琉球独立は可能か』(解放出版社)を刊行した。これまで那覇、大阪で憲法学者(高良鉄美さん)、弁護士(丹羽雅雄さん)をそれぞれパネラーに招いたシンポを開いた。いずれの会場も多くの人びとが参加し、「琉球」独立への関心の深さを示した。

 情念をぶつけて作品を創ってきた金城さんは1970年の「コザ蜂起」に衝撃を受けて彫刻家を目指した。学知を深めることに邁進する松島さんは、島嶼経済研究から太平洋地域の島々の独立の歴史を知り、独立の新たな視点を打ち出した。2人の独立へのアプローチは対象的でもある。

金城さんは自己の弱さを問い、克復することが島(浜比嘉島)育ちからひきずってきたパトスである。さらに直面したのはヤマトゥでの30年以上にも及ぶ生活だ。生半可な弱さへの問いではない。沖繩に帰り、その弱さに向きあう。天皇制を問うことを避ける弱さに突きあたる。大阪のシンポで以下のように発言している。「沖繩で靖国訴訟を起こそうとした時、名うての反天皇制論者は「原告にはなれない」と拒否され、裁判の事務局を担ったのはヤマトンチューばかりだった。天皇制をどう克服するかが独立の最大の課題だ」。独立の課題は天皇制を乗り越えられるかどうかにかかる、という。学知とは対極の視点は、対談の中で、「わたしは教育により差別が克服されると思ったことは一度もない」とも語っていることでも明らかだ。

 松島さんは。1996年8月28日に最高裁は大田昌秀知事(当時)が訴えた米軍基地問題をめぐる代理署名の上告を全面的に退けたことの衝撃を語る。もう日本の法律のもとでは「琉球の主張しは聞き入れられない」。96年の衝撃は解消されない。翁長雄志知事が国を相手取った裁判で敗訴した。根幹はどこにあるのか。1897年の琉球併合から続く沖縄差別にある。グアム、パラオに外務省の在外領事館専門官として計3年間滞在した体験が独立を学知的に深めることになる。「人口2万のパラオが。アメリカの信托統治領から94年に平和的に独立したが、血生臭い方法ではない独立の方法があることを知った。国連の諸制度が味方になってくれる」と沖繩のシンポで語っている。

 松島さんの沖繩の植民地支配に対する分析は説得力を持つ。どうか本書を手にとりお読みいただきたい。また金城さんの沖縄戦体験は後世に伝えたい戦争の残酷さを伝える。本書の構成は緻密に考えた。お2人の思いはわたしが可能な限り本書で盛り込まれていると確信している。

 
 
 
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