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心が凍る恐ろしさ。自衛隊米軍合同部隊創設、戦場に駆り出される日本。恐怖のアミテージ・レポート

  • 北口学
  • 2018年11月4日
  • 読了時間: 32分

 アメリカの帝国主義や追従する日本政府は恐ろしい計画を着々と進めているようです。一読くださればその恐ろしさは想像を絶する内容。辺野古や京都、いや、全日本の反戦平和反基地の闘いは、そのファシズムと変容したアメリカの策動や日本を巻き込む恐ろしいアメリカの真意を真正面から退治してゆく民衆の闘いが不可欠かと思えます。

 ここまで考えているのかとアメリカの貪欲さと自己中心主義に踏みにじられる日本。そのお先棒を担ぎ、嘘を並べ続ける自民党。公明党はどこまで追従して政権与党にしがみつくのでしょうか?「恥」と言う言葉を忘れてしまったのでしょうか?

 巨大な策謀に対する私たちの反戦平和反基地闘争は、さらに視野を広げ、壮大な敵と戦わねばならない厳しい未来がすぐそこにやって来ていると言わざるを得ません。

 どうかアメリカの中短期の日本をターゲットにした戦略をご一読くださいませ。

 防衛大学出身の高級防衛官僚は手を叩いて狂気乱舞し、反戦平和反基地闘争を鼻でせせら笑っている様が、忿怒と怒りを持って空想されます。

 本当に9条や海外派兵どころの騒ぎではありません。

 ぜひ、ご一読を!!!!

以下、転載です。

2018年10月                CSIS|戦略・国際研究センター

これまで以上に重要な

21世紀に向けて米日同盟を刷新する

共同所長              研究グループ参加者

リチャード・L・アーミテージ     カーラ・ブー     マシュー・グッドマン

ジョセフ・S・ナイ          ヴィクター・チャ   ケヴィン・ニーラ―

                   ザック・クーパー   シェイラ・スミス

                   ミッチェル・グリーン

【CSISについて】

 50年間以上、戦略・国際研究所(CSIS)は世界の最も偉大な政策挑戦者にとっての解決策を開発するために仕事をしてきた。今日、CSISの研究者たちは、より良い世界への道筋を政策決定者たちが描くのを助けるために、戦略的洞察と超党派的な政策的解決策を提供しつつある。

 CSISは、ワシントンDCに本部を置く非営利の団体である。このセンターの230人の常勤スタッフおよび会員の研究者の大きなネットワークは、調査と分析を行い、将来を見通し変化を予測する政策提言を展開している。

 冷戦の激化に際してデヴィッド・M・アブシャーとアーレー・バーク提督によって創設されたCSISは、世界における善なる力としてのアメリカの卓越性と豊かさを持続する方法を見出すことに貢献した。1962年以来、CSISは、防衛・安全保障、地域的安定、エネルギーと気候からグローバルな健康や経済的統合におよぶ超国家的な難問に焦点をあてた世界的に傑出した国際機関の一つとなってきた。

 トーマス・I・プリツカーは2015年11月にCSISの理事会議長に指名された。米国の元国防副長官のジョン・J・ヘイムリは2000年以来、センターの代表兼最高経営責任者(CEO)として働いてきた。

 CSISは、特定の政策的立場をとっていない。したがって、ここに示されたすべての見解は、筆者(たち)の見解としてのみ理解されるべきである。

©2018 すべての権利は戦略・国際研究所により保全される

謝辞 この報告書は、CSISへの一般的支援により可能となっている。いかなるスポンサーも、この報告

書に直接の関与をしていない。

戦略・国際研究所

1616 Rhode Island Avenue, NW

Washington, DC 20036

202‐887‐0200/www.csis.org

これまで以上に重要な

21世紀に向けて米日同盟を刷新する

 日本は、世界で最も重要な地域における最も有力な同盟国である。さらに、アメリカと日本の利害は、今日の主要な課題のほとんどに関して緊密に結び付いている。しかし、この同盟は大きな緊張とリスクに直面している。以前の時期とは対照的に、この同盟に反対する注目に値するような声はどちらの国にも存在しないが、同盟のそれぞれの国に別の進み方をより多く求める必要はなお存在している。ワシントンの一部の人びとは、日本に多く見られる対外政策と安全保障政策は日本の経済成長とアジアにおける安全保障にとって山積する難問に相応しているのかと疑問を呈している。合州国と日本は、平和と繁栄への増大しつつある脅威に対抗して同盟を強化するために力を合わせなければならない。

 われわれの同盟の強さは明白で、それゆえ両国における両当事者間の関係の管理者たちは、しかるべき信頼に値する。最近の5年間にわたって、この同盟は新たな防衛ガイドラインを結び、同盟の調整メカニズムを確立し、SM‐3ブロックⅡA弾道ミサイル迎撃ミサイルを共同で開発してきた。日本は国内の安全保障法制を改正し、集団的自衛権の行使を可能にし、その安全保障の備えを改善し、より積極的な地球的関与戦略を採用し、「環太平洋連携のための包括的進歩的協定」(CPTPP)を唱道することを含めて、インド洋・太平洋地域での一層目に見える指導的役割を果たしてきた。その間に、合州国はアジアに対する【兵力】再配置と、自由で開かれたインド洋・太平洋の追求を確約してきた。アメリカと日本の国家指導者たちは緊密な個人的結びつきを享受し、それは両国関係の安定装置として機能している。

 それにもかかわらず、この同盟の将来は、今日、21世紀の他のいかなる時期よりも明確ではない。米日同盟は双方の国内的、対外的な諸難問によって悩まされている。ドナルド・トランプ大統領の商取引的な(transactional)「アメリカ第一」路線――保護主義政策――と米軍の前方展開の価値への疑問は、同盟に深刻なリスクをもたらしている。通商問題には、この同盟を30年前に行ったような方法で脅かす正当な(good)政治的、経済的な理由はないのに、それら(の路線や疑問)はそうしている。合州国と日本が20世紀の関税率で議論している間に、地域の安全保障と繁栄への21世紀の脅威――特に中国と北朝鮮――が増大しつつある。

 アジアで難問が山積しているので、歩みを止めることは後れをとることにほかならない。同盟国は共に前進し、アジアと世界中で一層大きな指導的役割を受け入れなければならない。結局のところ、合州国は、強く自信ある日本が必要である。そして日本は、約束を守る建設的な合州国を必要としている。われわれの願いは、この報告書が、現在から2030年にわたる野心的だが達成可能な議題を提示することによって、米日同盟を強化するのに役立つことである。

同盟の機会と難問

 米日同盟は、アメリカと日本の戦略だけでなく、北東アジア、より広いインド洋・太平洋、そして――北大西洋条約機構(NATO)とともに――全体としての国際システムにわたる安全保障と繁栄に固く結びついている。この同盟の成功は、次の4つの耐久力のある強さにテコ入れしながら共通の利益を擁護するという誓約に負ってきた。

 ・第1に、この同盟両国は、平和的で繁栄した地域的、国際的な秩序の構築で指導的な役割を果たした。戦争の灰燼から立ち上がり、合州国と日本は共に、より有益で耐久力のある戦後秩序を建設したが、現在それは8回目の10年期に入りつつある。

 ・第2に、この同盟両国は、人権と民主主義、自由市場、および法の支配の防護に関する諸価値を共有している。これらの基本的価値は、世界中の友人たちを惹きつけるとともに、われわれの国内システムを強化して、国内と海外での灯台(beacon)として機能してきた。

 ・第3に、合州国と日本は、世界最大で最も革新的な経済の二国である。この同盟は、三つの最大の国民経済の二つを一つに結び付けており、それは世界の国内総生産の約30%を占める。

 ・第4に、この同盟両国は、特に北東アジアにおいて堅固な軍事力を保持し続けている。これまで10年以上にわたって、合州国と日本は、この同盟が共有する利益への一連の脅威に対抗して抑止し防衛するために、強健な能力と関係性を発展させてきた。

 これらの耐久力のある強さは、合州国と日本の間に協力拡大の堅固な基礎を提供している。それにもかかわらず、この同盟はまた、上述の4つの強さのそれぞれを危険にさらす脅威となる、いくつかの深刻な難題に直面している。

 ・第1に、合州国と日本が創設を助けた国際秩序が危険な状態にある。外部的には、権威主義的な資本主義が代替的な統治モデルとして広がりつつある。内部的には、合州国の指導者たちが同盟と現存の地球的秩序の諸価値を疑問視しつつある。

 ・第2に、われわれの指導者たちはもはや、われわれが共有する諸価値に合致した発言をしてい

  ない。トランプ政権の諸同盟への商取引的な対処と、権威主義的な指導者たちへの無条件の関与は、人権や民主主義、自由な市場と貿易、法の支配を含む共有された諸価値を米国が支持するという大方の理解を危くしてきた。

 ・第3に、保護主義という妖怪が台頭しつつある。中国やその他の諸国は、アメリカと日本の技術革新を利用するため不公正な経済行為に依拠しつつある。その一方、トランプ大統領は、危険な保護主義政策を採用するため大衆迎合的な感情を利用しつつある。トランプ政権は、戦後の歴史で最も重商主義な合州国政府である。しかし日本は、その経済の自由化をさらに進めることができるだろう。

 ・第4に、軍事的な競争者がこの同盟の軍事的優位を縮めつつある。特に中国は、急速な軍事的現代化に取り組み、「グレーゾーン」作戦を採用してきたが、それは中国と合州国のギャップを縮め、この同盟に侵略を抑止し打ち負かす能力を見直すことを余儀なくさせてきた。

 これらは決して克服できない難問ではないが、合州国と日本による一層明確に表現された見解とより良く調整された政策対応を要求している。これは政治と経済の両分野において事実であり、そのどちらも、この同盟の支持者にとって難問を提起している。

変化しつつある政治的現実

 米日関係は、両国の国内政治によってぐらつくことはなかった。安倍首相の復活は、同盟の運用を安定させたけれども、より最近の米国の指導部の交替は日本の多くの人びとを不安にさせた。トランプ大統領の当選は、日本にとって試練の時代となることを示唆した。トランプ政権は、同盟の負担割合という同盟の古いテーマを再び持ち出し、米国の貿易赤字に焦点を当ててきたが、大統領はそれを経済的弱さの源とみている。加えてトランプ大統領は、アジアにおける米国の同盟国は自分自身を防衛するためにもっと多くをなすべきだと示唆し、米軍の前方展開の価値を疑問視することによって一躍有名になった。

 これらの難問にもかかわらず、両国間の関係は前進する勢いを維持してきた。安倍首相は大統領に当選したトランプにいち早く手を差し伸べ、ニューヨークのトランプタワーで最初に、そのあとワシントンとマー・ア・ラゴ(フロリダにあるトランプの別荘)への訪問でも彼に会った。安倍・トランプの関係は、安全保障問題でひんぱんに連絡をとりあうことを可能にしてきたし、それは貿易についての主な懸念のいくつかを緩和させた。北朝鮮との交渉と二国間の貿易関係をめぐる議論は最近の一年半の多くの間、この同盟の注目を集めてきた。

 ピョンヤンが2017年に加速したミサイル発射は、トランプ大統領に合州国は日本を「100%」支持すると日本に確約する機会を与えた。安倍とトランプは、ともに北朝鮮に対する国連の制裁への国際的な支持を構築するため努力を惜しまず、「最大限の圧力」戦略を支持した。日本は同時に、弾道ミサイル防衛のための新たな大きな予算措置を発表した。より広範な地域の安全保障問題について、トランプ政権は東京の「自由で開かれたインド洋・太平洋」の概念を受入れ、拡大した。

 しかしながら貿易その他の経済問題は、さらに厄介なままである。トランプ大統領の「環太平洋パートナー(協定)」(TPP)からの離脱は、日本への打撃だった。自由貿易協定についての二国間対話は、当初はマイク・ペンス副大統領と麻生太郎副総理の下で組織されたが、両同盟国の経済的方向における鋭い違いが明白になってきた。国家安全保障を根拠に鉄鋼とアルミニウムに関税を課すというトランプ政権は、安倍内閣を驚かせ、二国間の政治的結束に緊張をもたらしてきた。「米日貿易協定」にむけて交渉するという2018年9月の声明は、両国間の貿易格差を処理したいという双方の前向きの姿勢を示す有望なものだった。しかし、これらの対話の行方がどうなるかは、この記述の時点では不明確なままである。

 最後に、負担の分かち合いについての過熱した言辞は、同盟の防衛についての議論の再燃を余儀なくさせている。日本は、それ自身の防衛支出と受入国支援(host nation support)への貢献との両方により、同盟の防衛能力に多大の貢献をしている。以前の推計は、日本政府が在日米軍の維持経費の約75%を支払っていることを示してきた。今年だけでも、日本政府は、とりわけ同盟関係の支出として、費用分担に1970億円(17億ドル)、米軍再編に2260億円(20億ドル)、自治体の各種支援に2660億円(24億ドル)の予算を組んだ。この同盟へのこれらの実際の重要な貢献は無視されるべきではない。

 それにもかかわらず、日本の防衛費を増やし、次の「中期防衛計画」と「国防計画の大綱」にそれを反映させることが重要であろう。中国の能力と野望の増大は、北朝鮮の核とミサイルの脅威とともに、日本が防衛のために国内総生産(GDP)の1%を超えて支出することを必要としよう。

 しかし結局、重要なのは予算の生数字よりも、この同盟への日本の貢献の有効性である。下手に使われる資金は、敵への抑止にも友人への励ましにもならない。もし日本の指導者たちが米国の信頼性により多くの懸念を持つようになるなら、彼らは能力への二重投資を余儀なくさせられるだろう。それは貴重な同盟の資産の浪費となろう。中国、北朝鮮、ロシアによる難問の山積の中で、この同盟にはそのような非効率の余裕はない。この文脈で、東京とワシントンの指導者たちが一連の共有された目標を明瞭に表現することが非常に重要である。

変化しつつある経済的現実

 ワシントンと東京は、経済に関して常に一致してきたわけではない。しかし近年は、経済的利害で劇的な一致がみられてきた。それは事実上の米日自由貿易協定、すなわちTPPの交渉成功に象徴される。合算すると、合州国と日本はその協定でカバーされる経済活動全体の約80%を占めた(represented)が、それはデジタル経済や国有企業のような核心分野で高度な基準を前進させるものだった。TPP交渉は、米日安全保障条約の第2条(*)の大望を実現するために、合州国と日本をこれまでになく緊密にさせた。しばしば忘れられるが、その条項は同盟両国に自由な諸制度を強化し、国際的な経済政策の衝突を除去し、経済的協働を促進することを求めている。第2条は、米日の経済協力を増強する枠組みと任務の両方を提供しており、自由な制度を強化し、経済協力を増強するというその要求は、時宜にかなっている。それゆえ、トランプ政権がTPPから手を引くことを選んだのは、ますます不幸なことである。経済的利害の一致を基礎にするには、合州国と日本は協力の代替手段を追求しなければならないだろう。

【訳注】 * 日米相互協力及び安全保障条約;第2条――「締約国は、その自由な諸制度を強化することにより、こ

れらの制度の基礎をなす原則の理解を促進することにより、並びに安定及び福祉の条件を助長することによって、平和的かつ友好的な国際関係の一層の発展に貢献する。締約国は、その国際的経済政策におけるくい違いを除くことに努め、また、両国の間の経済的協力を促進する。」

 トランプ大統領の選挙での勝利を勢いづけた、中国という難問と経済的害悪に取り組むことの両方への解答の一部は、より健全で調整された地域的経済課題への共同の取り組みである。最近の経験は、米日の経済協力の力を示してきた。地域的な競争が強まり続けているので、この同盟の経済的な容量を強大にすることは、アメリカと日本の戦略的利益を確保するのに必須となろう。これは太平洋の両側でのハードワークを必要とするだろう。トランプ政権は、合州国と日本が貿易問題で争っていても、日本は経済的な対抗者ではないということを認識する必要がある。むしろ、日本はわれわれが共有する利益を推進するというアジアでの独立した指導的役割を果たす能力を持つ、価値と利益を共有する不可欠のパートナーである。その日本の経済的成功は、合州国に直接にも間接にも利益をもたらす。

 アメリカと日本の貿易と投資の利益は、大きく一致している。われわれの経済外交は、その共通の課題を反映し、増幅させるべきである。米国のTPPからの離脱は、ルールづくりと中国の経済的選択肢を形成するのに必要な市場のテコというワシントンと東京の双方の足場を弱めた。ワシントンにおけるTPPの政治は、直近の未来に好ましいものではない。そこでわれわれの疑問は、北京が貿易と投資に一連の別のルールを擁護し続けている時に、合州国と日本はいかに勢いを取り戻すことができるかということである。

 安倍首相は、合州国が貿易政策に関するそれ自身の方向を見出すまで地域的経済協定の指導者としての役を日本に振り当てることにより、重要な前進の歩みを行っている。その他のCPTPP参加国は、この協定の経済的効果は合州国抜きでは大きく減じることを理解しながら、日本のリーダーシップを歓迎している。これは合州国における現在の政治的環境のゆえに必要だが、しかし日本が、ルールに基づいた高い基準の自由な経済秩序を維持するだけでなく推進することを確保するための経済的重量を持つ、この地域の(米国以外の)唯一の国ゆえに適切でもある。これは、東京が、われわれの共通の課題を推進するという先進的な提案の意思を持ち、それが可能な地域的秩序の真に対等なパートナーと共同のリーダーになるためには、ワシントンの主導権を支持することを超えて動かなければならないことを意味する――たとえワシントンが短期的に支持しなくとも。

 合州国と日本はまた、中国の掠奪的な経済政策による開かれた地域システム全体への大きな難題に直面している。それには、ハイテク企業を支配し、地域全体にわたって中国の投資に基づいた「デジタル・シルクロード」を創設するという公言された戦略が含まれる。北京によるこれらの宣言が自立へのマニュアルであるにせよ、ないにせよ、事実は、合州国と日本、EUが、地球全体にわたる相対的に開かれたルールに基づいた投資環境を維持するための共通戦略を必要としているということである。

野心的な議題

 合州国と日本は、山積する国内的、対外的な難問に抗して、この同盟をいかに強化できるだろうか? この同盟は、一連の野心的な、特定の処理可能なイニシアティブを確認することから始め、次いでそれらを技術と緊急性に応じて実施に着手する必要がある。潜在的なイニシアティブを選び抜くうえで、この同盟は3つの緊急事に焦点をすえるべきである。すなわち、戦略的有効性、政治的持続性、そして資源的効率性である。

 われわれは、この同盟の全体的な目的が共通の利益を守ることであることを忘れてはならない。同盟の抑止力と戦闘の有効性を増強することは、中国、北朝鮮、ロシアによって開発され実施されている軍事的能力と高圧的な行動の隊形が増大しつつあるので最重要である。さらに、太平洋の両側からの国内的な政治的支持がなければ、合州国も日本も信頼できる同盟国ではなくなるだろう。それゆえ、政治的持続性は不可欠であり続けなければならない。最後に、ワシントンでも東京でも予算は限られているので、この同盟はまた、乏しい資源を最も効率的に使わなければならない。

 合州国と日本が、同盟の有効性、持続性、および効率性を強化するために当面の数年間になしうることは多い。われわれは具体的な10項目の提言を示すが、それはいくつかの範疇に集約される。二国間の経済的結びつきを強化するため、われわれは開かれた貿易・投資体制の再提起を勧告する。作戦の調整を深化させるため、結合された基地からの作戦と結合された合同機動部隊(combined joint task force)の創設、日本の統合作戦司令部の創設、および不測事態への対処計画の共同運用を勧告する。合同のテクノロジー開発を推進するため、防衛装備の共同開発とハイテクでの協力拡大を勧告する。地域のパートナー諸国との協力拡大のため、地域のインフラに資金を投入し、より広範な地域的経済戦略を立てることによる、三国間安全保障協力の再活性化を勧告する。勧告の各項目の概要は下記に記す。

 二国間の経済的結びつきを強化せよ

1)開かれた貿易と投資を再提起せよ

 米国のTPPからの離脱によってもたらされた制約を認識しつつ、日本と合州国はアジアの貿易自由化を推進することができるイニシアティブを確認し、高い期待値を設け、枢要な基準を再確認すべきである。日本は、米国の完全な参加という最終的な目標をもって、CPTPPを支持し続けるべきである。日本とアメリカの交渉者たちは、両国間で増加する部門別の貿易自由化を達成するために、TPPの議題(agenda)を用いるべきである。両国政府は、「企業・政府間協議」を設け、残った構造的問題に取り組む実際的な議題を設定するために、アメリカと日本の両方の首都からCEOたちと政府高官を一緒に参加させるべきである。合州国は、韓国、シンガポール、オーストラリアとの自由貿易協定を持っており、それはこれらの議論に情報をもたらし、将来の米日の貿易自由化に道筋を示すことに役立つ。

 作戦の調整を進化せよ

 2)共同の基地から作戦を行え

 第二次世界大戦ののち、米国と日本の軍隊(およびその構成部隊)は日本の別々の基地から作戦を行った。日本にある唯一の基地が合同および共同の両方を兼ねており――三沢空軍基地――、米空軍、陸軍、海軍と日本の航空自衛隊とを受け入れている。別個の基地からの作戦は、戦闘を制約するものであり、また政治的な負担である。この同盟にはもはや余裕がないというのは贅沢である。日本の港湾や飛行場の数は限られているので、別々の基地を使用することは同盟軍の柔軟性を制限している。さらに、別々の基地を運用することは非効率であり、施設と能力の二重投資を余儀なくさせ、われわれが増進しようとしている合同および共同の戦闘への道を危うくさせている。おそらく最も重要なのは、別個の基地の運用は、潜在的な(両軍の)分離という問題(wedge issue)を引き起こすので、政治的な脆弱性をもたらすことである。

 これらすべての理由から、この同盟は、同盟の基地の合同および共同での使用に向けて進むべきである。これは同盟の戦闘の有効性、政治的持続性、および資源の効率性を最大化するだろう。最初の一歩として、両政府は既存の連結した基地から、いかに法律的および運用上の難問を克服するかの教訓を研究すべきである。最終的には、すべての在日米軍は、日本の旗の下の基地から作戦を行うべきである。民間の港湾と飛行場へのアクセスはまた、不測の事態において必要となろう。これらの措置は、この同盟が戦闘能力を最大化し、負担の分かち合いの懸念に取り組む一方で、受け入れ側の住民の負担を最小化するために努力しているということを伝えることになろう。

 3)結合した合同機動部隊を創設せよ

 合州国と日本が結合された作戦にもっと力点を置くなら、この同盟の現在の司令部構造は刷新される必要がある。大きな不測の事態において、現状の司令部の関係は最小に見積もっても複雑になるだろう。米国側では、インド洋・太平洋司令部の司令官は、戦闘を指揮するだけでなく、ワシントンとの関係も処理し、同盟軍とも連絡をとりあうなど、さまざまな機能を果たすことになろう。これは、世界の人口と海域の半分以上の範囲に責任を持つ司令官にとって大きな負担である。もし合州国と日本が危機においてより有効に共に作戦を行うべきなら、結合された合同の機動部隊を西太平洋に創設すべきである。

 結合された合同機動部隊は、台湾や南シナ海、東シナ海に対する中国のありうる不測の事態に集中的に対処(focus)できるだろう。そのような結合された合同機動部隊は、枢要な同盟国、特に日本を含むべきであり、そこで米国の同盟国やパートナー国との調整を発展させることが必要となろう。危機におけるそのような司令部の立ち上げは困難であろうから、結合された合同機動部隊には常勤のスタッフと日常的な訓練、演習の職責を含むべきである。この地域は多様な領域にわたる作戦が必要であり、結合された合同機動部隊の司令官は任期に応じて交替すべきである。このような組織は、日本の司令官に不測の事態における明確な【米軍と】同等の任務(counterparts)を割り当て、情報の上下往復などによる命令伝達の無用な停滞(service stovepipes)の除去に役立つだろう。

4)日本の合同作戦司令部を創設せよ

 まさに合衆国が、その指揮命令と統制の編制を刷新する必要があるように、日本もまたそうである。日本の現在の指揮系統は、日本の自衛隊の幹部指揮官たちに大きな負担を課している。現在のところ、幹部指揮官たちは、戦闘指揮官と防衛責任者を兼ねて従事している。これらの任務を分割することは、特に大きな不測の事態の間には日本軍の作戦上の有効性を増すだろう。それゆえ、日本は幹部指揮官の責任の一部を下位の指揮官に委ねるべきである。

 日本の軍隊には、さらに多くの注目すべき点がある。それで米軍の戦闘指揮の構造は、日本にとってのモデルとしては良いものではない。そうではなく、われわれは、オーストラリアのより効率化された指揮構造が良く適合するだろうと信じている。オーストラリアは合同作戦司令部を設置してきたが、それは合同作戦の指揮官を務める三つ星(中将)の司令官が率いるものである。この司令官は、軍事作戦のすべてと軍の訓練・準備態勢にも責任を持っている。このようなモデルは、日本の指揮官たちにとって、将来の作戦を実施するための軍の維持管理と準備態勢を確保する必要を伴う、早いテンポの日替わりの作戦の要請という緊張に対処するのに役立つだろう。それゆえ、日本の指導者たちは、オーストラリアの構造をモデルにし、しかし日本特有の作戦上、法律上、歴史的、および文化的な特徴を考慮して修正した自らの合同作戦司令部を創設すべきである。アメリカと日本の指導者たちは、このような指揮が米軍およびその進化した指揮構造とともに緊密に動くことが可能になるよう確保するため、共に作業すべきである。

 5)結合した不測事態の計画立案を実施せよ

 もし合州国と日本が侵略行為に迅速に対応するつもりなら、事前の対処計画と選択肢を持つ必要があろう。結合した作戦には、結合した計画立案がますます必要になろう。いくつかの結合した計画立案がすでに行われているが、それはあまりに臨時的なものである。中国はしばしば、既成事実戦術をあてにするが、それは政策決定の緩慢なサイクルにつけこむものである。それゆえ、同盟の政策決定のスピードの改善は不可欠である。指揮官たちは、ある種の作戦では政治的指導者たちによる高度な調整を余儀なくされても、敏速に行動する必要があろう。さらに、このような事前の計画立案は、米日の防衛軍によってだけでなく、日本の海上保安庁(Japan Coast Guard)を含むさまざまな法執行当局とともにも行われるべきである。

 結合した計画立案は、長い間、ヨーロッパとアジアの両方での他の米国の同盟の特徴である。たとえば、米国と韓国の軍は、北朝鮮による【軍事行動の】段階的拡大を抑止し対処する挑発対抗計画を共に開発してきた。事前の計画立案と調整は、北朝鮮の冒険主義を制約するのに役立ってきた。さらに、段階的拡大の行動はより大きな同盟の調整をもたらすと示すことによって、結合した計画立案は攻撃の意欲をそぐのに役立つ。特に東シナ海で増大する難問に直面して、この追加的な抑止は不可欠である。加えて、この同盟は、米軍がいわゆる「グレーゾーン」事態に早期に関与させられることを考慮すべきである。その事態には、大規模紛争のレベル以下で起こる侵略が含まれる。この措置は、それが米日安全保障条約の第5条の武力攻撃という敷居を越えるかどうかにかかわらず、いかなる侵略もより重大な同盟の協力の引き金になるということを明確にするだろう。それゆえ、この同盟は、関連の法律の制限に準拠しつつ、結合された計画立案の一層の構造化に取り組むべきである。協力を深化させるため、日本は、自衛隊の将校をインド洋・太平洋司令部の計画立案スタッフを含む関連の米軍部隊にはめ込むべきである。

合同のテクノロジー開発を推進せよ

 6)防衛装備を共同開発せよ

 合州国と日本は、共通の【装備】能力の必要性に焦点を当てて、合同の研究・開発の拡大を継続すべきである。最近のSM‐3ブロックⅡA弾道ミサイル迎撃兵器のようなシステムの合同の共同開発は、共通の能力を満たすために両国の専門知識にテコ入れするこの同盟の力量を示してきた。合同の研究・開発の作業を拡大し続けることは、同盟の防衛支出の効率と有効性の両方を増大させるだろう。中国の軍事力の急速な現代化に直面して、この同盟は合同の脅威評価を行い、より先進的なシステムを取得し続け、斬新な作戦概念を開発しなければならない。

 合州国と日本は、さまざまな領域の専門知識という異なった分野から利益を得ることができる。陸では、この同盟は新しい先端的なレーダー、費用対効果のより高いミサイル防衛、より長距離の対艦ミサイルを合同で開発することに目を向けるべきである。空では、新しい戦闘機や長期滞空型海洋状況把握用プラットフォーム(long-endurance maritime domain awareness platforms **)の開発作業を続けるべきである。海では、将来の海上戦闘艦の設計を共有し、水中システムのための畜電池テクノロジーで協力し、新たな水陸両用車両に関して共同で作業すべきである。宇宙では、宇宙状況把握能力(space situational awareness capability ***)の改善を追求し、宇宙の構造物の弾力性を拡大すべきである。これらはまさに、合州国と日本が協力に期待すべき分野である。これらの方針に沿った合同の作業は、米日両政府および双方の防衛産業基盤の継続的な緊密さを示すことになろう。

 【訳注】 ** 長期滞空型海洋状況把握用プラットフォーム――各種のレーダーなどを用いて海洋の状況(船舶の

       位置、気象情報など)の情報を収集するための航空機や車両、艦艇など、レーダーや火砲などを搭載するベースとなる装備(=プラットフォーム)。海洋状況把握(Maritime Domain Awareness MDA)用のレーダーを搭載し、数十時間の継続飛行が可能な無人航空機などを指す。

*** 宇宙状況把握能力――地上や宇宙に設置されたレーダーや望遠鏡などを用いて宇宙空間の人工衛星やスペース・デブリ(地球の周りを浮遊する人工物の破片、宇宙ゴミ)等の位置などの情報を収集する能力。<国会図書館調査立法考査局・外交防衛調査室・課の資料より>

 7)ハイテクでの協力を拡大せよ

 合州国と日本は、各種のハイテクの課題についての調整を改善すべきである。それらには情報共有、サイバー、宇宙、人工知能が含まれる。これらの分野での同盟の指導性は、両国経済の未来と継続的な安全保障にとって不可欠である。合州国は――政府と民間部門の両方で――これらの分野のそれぞれで推進しつつある。しかし、もしこの同盟がテクノロジー開発の努力を結びつけて一緒に作業をしないなら、日本がいくつかの分野で後れをとることになりうるリスクがある。

 長期にわたる一層深い協力の一つの機会は、合州国、イギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドによる「5つの目」(Five Eyes)の情報共有ネットワークに日本を入れることである。

日本はすでに、これらの国と強い関係を持っているが、同時に、ミサイル防衛、対潜水艦戦、宇宙からの画像化の情報共有は重要な前進を見せるだろう。日本は、「5つの目」への加入を現実的に可能なものにするのに必要とされる【情報の】安全な保護措置を採用するため敏速に動くべきである。もう一つの潜在的な機会は、サイバー・セキュリティである。それは2020年の東京オリンピックに向けて不可欠となろう。米政府と米国の民間部門は、この分野で協力を拡大するため日本の機関や企業とより緊密に取り組むべきである。同じことが宇宙や人工知能のような他の分野でも言える。それらは、より大きな同盟の調整と協力を要するような経済と軍事両面での競争が増大しつつある分野である。

 地域的パートナーとの協力を拡大せよ

 8)三国安全保障協力を再活性化せよ

 合州国と日本は、北朝鮮はその核兵器と弾道ミサイルその他の大量破壊兵器のすべてを永久かつ不可逆的に放棄すべきだという目標を共有している。最近の合州国および韓国との首脳外交にもかかわらず、北朝鮮の核兵器と弾道ミサイル群(spectrum)は同盟三か国の安全保障への現存の脅威であり続けている。合州国と北朝鮮、あるいは南北両国の間の将来の対話の方向にかかわらず、ワシントンと東京、ソウルの間の積極的で定期的な政府最高位級の三国政策調整は、一層有効な外交を確保し、同盟三か国すべての利益を守ることになろう。ピョンヤンは、これら同盟三国を分断しようとしており、われわれは同盟三国が外交的に強力で軍事的に有力であることを示す努力をすべきである。

 不測の事態によりよく備えるためには、日本と韓国の二国間防衛協力は、情報共有の改善と軍事装備の整備・供与(servicing)に焦点を当てるべきである。それらはまた、それぞれの国の合州国との二国間同盟を強化するものである。これら同盟三国は、北朝鮮の核兵器と弾道ミサイルおよび【それらの】拡散の脅威に対抗するため、三か国による演習を拡大すべきである。最も重要なことは、もし北朝鮮との交渉が、ありうる平和協定を含む未知の領域に入るとしても、合州国と日本と韓国は団結した態勢を維持し、いかなる同盟の中核的な実体も犠牲にしないことが不可欠である。演習と軍隊のプレゼンス、ミサイル防衛は、北からの立証不能で不十分な非核化の約束との取引のチップにすべきではない。つまるところ、それは合州国と日本、韓国をより安全にすることがないからである。

 9)地域的なインフラ基金を立ち上げよ

 合州国と日本にとって、おそらく地域の最大の難問は、インド洋・太平洋地域全域にわたる中国の政治的、経済的な影響力の増大である。とりわけ中国の「一帯一路」イニシアティブは、特に東南アジア、インド洋、太平洋諸島の小国に対する北京の多大な影響の手段(leverage)であることを証明しつつある。事実は、アジアがインフラストラクチュアへの非常に多くの投資を必要としており、ビジネスはその性質上、競争である。しかし、競争は開かれた、ルールに基づいたものでなければならない。地域のインフラへの中国の投資はしばしば歓迎されているが、しかしそれが生み出しつつある――時にはそれを用いている――高圧的な政治的、経済的なテコは歓迎されていない。

米日同盟は、それが魅力的な代替案を提示できるということを示さなければならない。開かれた社会――機能している立法機関、良好な統治、そして自由な報道――に対するアメリカと日本の支援は、この地域の諸国が開かれた非高圧的な環境条件でのインフラ投資を選択する自由があることを確実にするのに役立つだろう。そうすることにおいて合州国と日本は、中国の投資の範囲あるいは規模――1兆ドルから8兆ドルと多様に宣伝されている――と張り合おうとすべきではない。結局のところ、同盟国のこの地域への対外直接投資は相当なものだが、それは主に民間企業と商業的論理によって運用されており、中国のやり方には部分的にしか当てはまらない。

 最大の効果を及ぼすには、合州国と日本は、この地域で最も魅力的なプロジェクトやパートナーたちに投資することを選択すべきである。地域で活動する人びとは投資を求めている。しかし、彼らはまた、借金の罠や腐敗、強制を回避することも望んでいる。それゆえ、高い基準の投資、国内労働者の雇用、社会的・環境的な保護措置、開かれた政府調達の実施、そして投資に見合った確実な利益に対するこの同盟の約束は魅力的であり続けるだろう。この同盟は、―-世界銀行やアジア開発銀行(ADB)、アジア太平洋経済協力(APEC)のような――現存の多国間の機関を利用し、そこに投資することによって、これらの高い基準を推進すべきである。それらの機関では、合州国と日本は【投資額に比して】不釣り合いな影響力しか保有していない。この価値を示すための一つの選択肢は、インフラと能力形成のための地域的基金を立ち上げることであろう。それは合州国や日本、その他の国に、インド洋・太平洋地域全体にわたるそれぞれの投資をより良く調整し目標を定めることを可能にするであろう。このような試みにおいてカギとなるパートナーには、とりわけオーストラリア、韓国、インド、ニュージーランドが含まれるべきだろう。

 10)より広範な地域的経済戦略を立案せよ

 【トランプ氏が大統領に当選した】2016年11月の選挙は、合州国あるいは日本の持続的な経済的利益を変化させず、ワシントンと東京の間の商業的、金融的な集中制の動因となってきた力強い基礎的な流れを変えることもなかった。米国がTPPに署名しなかったことは、米日合同での経済的な国政運営に重大な後退をもたらしてきたが、それはこの協定の基盤となる論理を消し去ることなく、一層の協力の扉を閉ざしもしなかった。日本と合州国は、東南アジアにおける支配的な投資国であり続けており、そこではアメリカの民間投資だけで中国のそれより約3倍も大きい。貿易、投資、開発、金融サービスにおける現在のリーダーシップにテコ入れすることは、われわれが共有する地域的な利益を守るために枢要であろう。これは、われわれの経済的およびビジネス界の指導者たちが短期的な二国間貿易赤字について狭い視野で見るよりも、むしろ議論すべき長期的な種類のものである。合州国と日本は経済問題の95%で合意しているが、われわれは差異の議論に時間の95%を費やしている。

 米日安全保障条約第2条を満たすには、次のいくつかの基本的な疑問に答えるという、新たな、再び想像力を働かせた二国間の経済対話が必要になろう。すなわち、機能上の意味で(例えば、インターネット・ガバナンスのような新たな経済の特徴における)、あるいは制度的な文脈の中で(例えば、ADBやその他の市場性に基づいた開発メカニズムの支援)、あるいは国対国のベースで(例えば、ミャンマーあるいはベトナムにおいて)、合州国と日本が効果的な協力を追求している分野はどれか? 未開発または期待外れの協力メカニズムはどこか? ワシントンと東京がまずいやり方をしているのはどこか? TPPからの米国の撤退は、ワシントンと東京が、共有された戦略的利益の部門での比較的な経済的優位性を用いるという生産的な方法を一層積極的に追求することを余儀なくさせている。われわれの資産と再び想像力を働かせた方法の調整のために不可欠な検証――公的および民間の両部門を含む――は、われわれとわれわれの地域的パートナーたちが望む共有の未来を確実にするため、長い道のりを歩むことになろう。

 より効果的な協力とは実際には何を意味するだろうか? 第1に、共有された優先課題を危うくするような混乱は避けるべきである。経済的利益は時には異なるが、われわれはそれらの差異を狭め、われわれの市場を傷つけることなくリスクを軽減することができる。そうする際に、市場アクセス問題は国家安全保障の問題として誤って断定されるべきではない。

 第2に、東京とワシントンは、最良の実行策を用いた強力な投資と金融制度を通じた地域開発を支援する願望を共有している。これらは、われわれの民間部門の投資や二国間援助、あるいは特にADBやAPECのような投資機関の基本的な役割の代用品にはならない。

 第3に、両政府は、貿易の伸長への地域的、地球的な障害物に焦点を当てる必要がある。これらには、国有企業の存続やそれらが作り出す市場の歪み、われわれの二つの革新的経済を推進してきた知的財産への不適切な保護【措置】、そして新しい経済の企業が価値を増大させ創造することができるような開かれた適応性のある政策が含まれる。二国間で、またAPECやG20のような地域的、地球的な機関を通じて取り組みながら、両政府が優先的に取り組むべきは、①デジタル通商へのルールの強化、②国有企業に対する規律へのアプローチの共有、③知的財産保護のための意欲的な新しい基準、④問題を抱えてきた部門における世界貿易機関(WTO)と合致した市場開放、である。

 最後に第4に、合州国と日本は、遠距離電気通信(telecommunication)のインフラを支配しハイテク投資における相互性を否定するという中国の戦略に直面して、開かれたインド洋・太平洋【地域】を維持する戦略を調整する必要がある。中国の掠奪的なテクノロジー政策に関する米・日・EUの通商閣僚【会議】を設置するという日本による最初の動きは、好ましい象徴的な前進だが、この3つの有力グループには共通の戦略がなく、合州国と日本はその議論を始める最良の位置にある。合州国と日本はまた、国家安全保障上の懸念を生じさせている中国の投資家による機微なテクノロジーの獲得に関する情報共有を強化するため、EUのパートナー諸国、オーストラリア、その他の同盟国とともに取り組むことができる。

結論

合州国は日本以上に良好な同盟国を持っていないし、今日、この同盟はこれまで以上に重要である。この同盟の多くの強み――それには共有された価値、健全な民主主義、革新的な経済、地政学的な影響力、堅固な軍事能力が含まれる――により、米日同盟はしばしば地域の平和と安全保障の礎石と呼ばれている。しかし、この同盟に亀裂が見え始めている。次の10年間に向けて米日同盟を刷新するには、確固とした決定と持続的な実行が必要となろう。この同盟が追求する平和で繁栄した地域的、国際的な秩序の環境を維持するには、合州国と日本がオーストラリア、韓国、インド、ASEAN諸国その他を含む地域の中核的なパートナー諸国と一層緊密に取り組むことが必要となろう。ここに概観された議題は、この同盟――と世界――を21世紀の残りの期間のためにより良く準備させるために現在なすべき重要な作業の基礎となるであろう。          ■

       【日本語訳にあたって】

 ・日米安保条約第2条の条文と、一般にはなじみのない軍事装備の説明には【訳注】を入れた。

 ・文中の(   )内の英単語は、原文での用語であり、日本語訳との対比のために入れた。

 ・文中の【   】は、文意が分かりやすいように加えたもの。

2018年10月26日/つくしたけひこ

 
 
 
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