夜間中学その日その日 (594)
- 夜間中学資料情報室
- 2019年1月20日
- 読了時間: 3分
夜間中学を多くの人たちへ
夜間中学が存在することを入学を希望する人に、どのように伝えるか?広報の方法だ。守口夜間中学では、街頭でビラ配りし、手分けして、居住地の教育委員会や広報課を訪問し、話合いを持ち、行政担当者が夜間中学の理解を深められるよう、とりくみを続けている。もう30年近くなるであろう。「一枚のビラのおかげで入学できた」という「夜間中学いろは歌」がある。地域のFMラジオ局から、夜間中学生が出演し、自分自身の学ぶ喜びを語り、「私たちといっしょに勉強しませんか」と語りかけるとりくみも20年近くなる。
さまざまな方法で入学を希望する人に直接伝えることは重要だ。映画、テレビ、ラジオ、新聞記事、市の広報誌等から存在を知った。夜間中学に通っている知人から教えてもらった。子どもから夜間中学へ行くことを進められた。少ないものの、子どもが通っている学校の先生から進められたというのもあった。夜間中学が存在することを、夜間中学がどんな役割を持っているのかも多くの人たちに知らせることは、まわりまわって、入学希望者に届くことになる。
2018年の新聞報道記事は全国で355本(夜間中学資料情報室で)確認している。その変遷を図示しておく。

記事の中に「投書」欄に掲載された記事がある。4207本の71本(1.6%)が投書記事だ。2018年は7本と最多であった。
筆者は、夜間中学生本人、夜間中学教員が多い。県内を巡回する「夜間中学」の教室を開いている高知県では、その夜間中学に参加した人の投書が2本あった。一つを紹介する。
「夜間中学を体験して」 (2018.12.22 高知新聞)
12月4日、鏡野中学校が会場の第2回夜間中学(義務教育を受けられなかったり、学びたいと思う人などが学ぶ公立中学校の夜間学級)の体験学校に参加しました。
ノルウェーやミャンマーから日本に来て働いている人、職場に外国人を受け入れてくれている人など10人の参加がありました。
学級活動では「毎日の出席は難しいかもしれません」「今日は楽しく新しいことも学べました。学校ができたら参加したいです」など感想が出されました。私も映像などを通して夜間中学の現状や生徒さんの思いや願いも学び、学ぶ楽しさ、学ぶ仲間とのあったかい心の交流を感じました。
被差別部落にも識字学級があります。差別のため生活が苦しい面も多いなか、子どもたちは、親といっしょに働いたり炊事、洗濯、子守をして親を、家族を支える者も多くいました。そのため、学校に行きたくても行けず、読み書きにも不自由しました。それでも懸命に生きぬいてきました。
私は識字学級や識字運動との出合いとつながりの中で夜間中学に学び、夜間中学設立のために全国を巡り運動してこられた髙野雅夫さんとも出会い、つながることもできています。いろんな理由から中学校で学べなかった人、学び直しを希望する人、外国から日本に来られた人などがいます。その人たちの願いに応える夜間中学設立と継続した取り組みを応援しています。【沢田良文・高知市】
岩波の『世界』(2019-2)の読者談話室にも「全国に夜間中学の設置を」と題する投書文が掲載されている。筆者は津田孝(苫小牧市)さんだ。
「・・・『ナナカマド教室』という生涯学習の位置づけだが、時季限定の小学課程の『教室』が開かれ、昨年からは夜間教室もできた。公立のこの種の『教室』は恐らく道内では初めての試みであろう。しかし、本当に必要なのは学校教育としての夜間中学である。・・・」。
学びを必要と人たちに夜間中学を届けるとりくみは急がれる。私たちは2017年開催された、大阪人権博物館第72回特別展「夜間中学生」展の映像化を行っている。この普及にもとりくみたい。