top of page
検索

夜間中学その日その日 (619)

  • アリ通信編集委員会
  • 2019年6月4日
  • 読了時間: 4分

「天王寺夜間中学創立50周年―未来への一歩-」

 天王寺夜間中学開設50年を記念する同窓会主催の集い「天王寺夜間中学創立50周年―未来への一歩-」が2019年6月2日、天王寺夜間中学で行われた。会場の体育館は卒業生、夜間中学生、夜間中学関係者、市民約200人が参加。近畿のみならず、高知、岡山から参加があった。会場の壁面には夜間中学開設運動を記録した大きなパネル写真をはじめ、天王寺夜間中学の活動を記した資料が展示され、熱心に見入る参加者があった。

 同窓会が数年間、会議を重ね、入念な準備と学校との折衝を重ねられ出来上がった手作りの「記念の集い」となった。

「天王寺夜間中学の50周年は大阪の夜間中学の50周年の先駆けです。夜間中学が50年続き、今日に至っているのは決してめでたいことではありません。15歳までの学齢期に義務教育を受け、生き生きと学校で学ぶことを保障し、生きる力を身につけるようにすることが行政の責任です」と集会主催文に記している。

 天王寺夜間中学が開設運動により開校の日を迎えたのは1969年6月5日。50年前のこの日、6月2日の「わらじ通信」を見てみよう。髙野さんは真っ先に向かったのは、大阪教職員組合。五島中執と打ち合わせのあと、大阪市教育委員会に向かっている。大阪市教組による教育委員会交渉に参加した後、天王寺夜間中学を訪れている。職場集会に参加、少しでも良い学習環境と条件で発足したいという思いからであろう。この集会に参加した髙野雅夫さんは関係者を前に改めて夜間中学開設運動の動機と目的を次のように語っている。

「この運動は〝空気をよこせ〟という人間の基本的権利の主張なのだ。教育権を奪われた人たちは生存権まで奪われていく現実の中でぼくたちは絶対泣き寝入りできない。すべての人たちに義務教育を受ける権利があるのだから、ぼくたちは〝空気をよこせ〟〝空気を奪うな〟と叫び続ける」と話している。この後、天王寺夜間中学専任教員ら6人と神戸丸山中学校訪問、夜間中学がおかれている西野分校の教員と交流を行い、夜間中学の授業を見学している。この3日後、開校を迎えるのだ。

 4月の開校式予定が大阪市内の教育汚職が明らかになり、4月が5月にそして6月にと、大幅に遅れていた。開校を待っている入学希望者の家々を訪ね歩くことも髙野さんは実行していた。

 母校の在校生に届く「わらじ通信」には「各地で夜間中学が廃止されていく歴史的事実の中でOB組織の必要性をいやというほど痛感―東京を発火点に全国のOB組織を作るべきだ。夜間中学の歴史の1頁を作ったぼくらも一人ひとりがみんな主役なのだ。やりたいことは山ほどある」(1969.05.15)と夜間中学同窓会や全国的なOB組織の立ち上げの必要性を記している。

 後に天王寺夜間中学1期生の倉橋健三さんが呼びかけ発足した「夜間中学を育てる会」は卒業生が夜間中学の活動に引き続き参加できる組織であった。

 「天王寺夜間中学開設50年を記念する」集会も、当初は開催が危ぶまれた。そんな状況下、同窓会が集まりを重ね、周到に準備頂いたことが「夜間中学の未来への一歩」につながる。髙野さんもあいさつの中で「オール関西が一体となって合同で集会を開くことは実現しなかった。文科省の掛け声の夜間中学になるのか、学習者の開設運動によってつくられた、オール関西の流れを受けた、夜間中学になるのか、分かれ目だ」と語っている。

 集会では6人の夜間中学生(現・元)が「夜間中学と私」について語った。会場からも手が上がり、発言は続いた。あきらめることなく、粘り強くとりくみ、一緒に学びあうことが大切であることが語られた。様々な妨害を跳ね返し、実現した集会が故、説得力があった。

 夜間中学校舎前の「夜間中学生の像」も5月28日から3日間、在校生、同窓生、が中心になって金城実さんと合同で修復作業が行われた。文の里夜間中学にある「オモニの像」も同時に行われた。

「『夜間中学生の像』は天王寺夜間中学の宝であり、夜間中学生のシンボルだ」。

 次は4名の元近畿夜間中学校生徒会会長が呼びかける「関西夜間中学運動50年に寄せる想いを語る集い」(2019年6月30日午後1時~ 大阪人権博物館 リバティーホール 入場無料)に引き継がれる。

 
 
 

Comments


Featued Posts 
Recent Posts 
Find Me On
  • Facebook Long Shadow
  • Twitter Long Shadow
  • YouTube Long Shadow
  • Instagram Long Shadow
Other Favotite PR Blogs
Serach By Tags

© 2023 by Make Some Noise. Proudly created with Wix.com

  • Facebook Clean Grey
  • Instagram Clean Grey
  • Twitter Clean Grey
  • YouTube Clean Grey
bottom of page