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夜間中学その日その日 (636)

  • 白井 善吾
  • 2019年9月1日
  • 読了時間: 3分

  夜間中学を学校教育法に位置づけること

『生きる 闘う 学ぶ』(解放出版社)に書かれている、「夜間中学を学校教育法に位置づけること」はどういうことか?そんな質問を受けた。

 教育法規に「夜間中学」「夜間学級」の語彙は見つからない。索引で調べても「二部授業」が類する語彙である。2016年12月14日に公布した「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」略して「教育機会確保法」のなかに「夜間その他特別な時間において授業を行う学校」として現れるのが唯一である。しかし「夜間中学」「夜間学級」の語彙は使っていない。

 「夜間中学」を教育法規に明記するとりくみは夜間中学のあゆみの中に見える。全国夜間中学校研究会の前身組織「全国中学校夜間教育研究協議会」が研究大会で文部省(当時)に「中学校夜間学級の法的措置に関する陳情書」提出を決定し、陳情したとりくみがある。1955年2月のことだ。

 その内容は学校教育法第25条の是正。同75条の追項を求めるものである。文部省がどう受け止めたのかは明らかでない。それどころか、1955年9月30日付けで、文部省など3省の事務次官通達、「義務教育諸学校における不就学および長期欠席児童生徒対策について」を発してきた。

 世間で「夜間中学」とよく間違えて認識されている「夜間定時制高校」がある。「高等学校には、全日制の課程のほか、定時制の課程を置くことができる。高等学校には、定時制の課程のみを置くことができる」と定時制の課程の文言が学校教育法に明記されている。そして、修業年限は、「定時制の課程及び通信制の課程については、3年以上」と明記している。

 府教委との交渉時、私たち夜間中学の追及をかわすため、「夜間中学は教育法規に位置づけられていない。従って、十分な予算措置と教育条件が確保できないんだ」と府教委の夜間中学担当者から言われ続けてきた。「そこまで府教委に言うんだったら、法律に明記することが先ではないか」と言っているのだ。

 学校教育法は全体で13章からなる。総則・義務教育・幼稚園・小学校・中学校・義務教育学校(5章の2)・高等学校・中等教育学校・特別支援教育・大学・高等専門学校・専修学校・雑則・罰則。この中で、義務教育学校、中等教育学校などはあとで追加されてきた「章」である。これまでに学校教育法は30回、追加・変更が加えられてきたという。変更は可能なのだ。しかし、夜間中学関係者はいつの間にか、先輩が努力した、学校教育法に変更を求める試案は「不可能」なことと勝手に思い込みをしてしまっていた。

 「夜間中学を学校教育法に位置づけること」という夜間中学関係者の今日的な主張は高等学校の章に、定時制が明記されているように、夜間中学を義務教育学校の章に位置づけ、修業年限も「9年以上」としてはということだ。

 実現を妨げる、難しい理屈があるのかもしれないが、「夜間中学を学校教育法に位置づけること」は教育機会確保法の組み立てではないと考える。

 全国夜間中学校研究会の事務局を担当いただいている方の報告を最近聞く機会があった。教育機会確保法は「不登校・いじめ等現在の教育の歪みを解決するために、学校教育法の特別法としてつくられた」「学校教育法を超えた存在」だと話されていた。

 私はそのように言う、根拠となる文書みたいなものをお教え願いたいと報告者にお願いしている。

 
 
 
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