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夜間中学その日その日 (645)

  • 白井 善吾
  • 2019年10月29日
  • 読了時間: 3分

パネル展「夜間中学はいま」

 産経新聞が夜間中学の連載「夜間中学はいま」の掲載を始めて2019.10.26で反響編も入れ16回を数える。紙面の半分(A3)を使って、漢字にはルビをうった記事で、親しみのある見出し、そして魅力的な写真が目に留まりやすい。近くの人が声をかけてきた。私が夜間中学に勤めていたことを知っている方であるが、「最近、新聞が夜間中学を取り上げるようになってきましたね。なぜなんでしょう」と。この知人は「夜間中学は夜間の高校のことですか」との質問が、夜間中学についての初めての質問であった。それから20年以上経過する。「毎日うんざりする事件の報道の中で、夜間中学に学ぶ人たちの記事を読むと、ホッとします」「いつの間にかいなくなった同級生も私たちの時代は何人かいる」「夜間中学はどこにありますか」…地域の人たちが一堂に会する集まりでも夜間中学のことが話題に上るようにもなった。新聞の力は大きい。

 見出しに用いられた、ハッとする言葉に注目される。それらを「生きる・闘う・学ぶ」で分類を試みた。

〇生きる

「勉強だけじゃない、生きることを学んだ」

「『消えた子ども』芽生えた選択 進学・就職の迷い ここに通えたから」

「『自分を変えたい』笑顔の一歩 自主夜間中学が後押し 働くという目標」

「病の身 切実に思う『学びたい』 支えは月2回の自主夜間中学 仲間が励まし」

「やり直せる この場所から いじめで引きこもり 弱み話せる仲間」

「妻の支えで今がある 思い伝えたい一心で学んだ」

「実感する 今が本当の自分」

〇闘う

「再び動き出した人生 同じ境遇の人の力に 学ぶことは生き延びること」

「ネパールの女子教育に光を 『故郷の村に学校を』学ぶ喜び伝えたい」

〇学ぶ

「頭に入った知識 他人にとられへん」

「『生きる力を支える言葉』大切に」

「ひたむきに学び 生きる姿勢変わった」

「おばあ 暮らしの体験から『ああ』納得‥新しい自分に出会えた」

 これら夜間中学生が発する言葉は「ハッ」とする、新鮮な響きを持ち、耳にした者の姿勢を問いただすコトバだ。そして自分の弱みを話しても、それを受け止め、自分の考えを率直に話し合える集団として、年齢差を超え、3世代が語り合う様子はうらやましい。どうしてこの雰囲気が醸しだされるのだろう?

 その一つの答えは点数学力、競争、評価とは無縁な「学び」が夜間中学に存在するからではないだろうか。成績で序列化し、人と人を引き裂くことと対極の「学び」が展開されているからではないだろうか。

 いま産経新聞が夜間中学の連載「夜間中学はいま」に掲載された写真を中心にパネル展「夜間中学はいま パネル展」が大阪府立中央図書館1階展示コーナー(2019.10.16~11.06)で開催されている。関係者の尽力に敬意を表したい。

 夜間中学生の一瞬の表情をとらえた写真が掲示されている。夜間中学生の横に座って、夜間中学生に説明をしている小学生。それに応えている夜間中学生の表情。すばらしい瞬間だ。

その中に夜間中学生のいろは歌の習字が掲示されている。

「留守番を遺影に頼み 夜中生」

「気がつけば 生徒が教師になっている」

「交流ですわった生徒 孫と同じ年」‥とつづく。

点数学力、競争を超越した夜間中学生の気概を感じ取るいろは歌だ。夜間中学生の横に座った子どもたちはそのメッセージに気づいたはずだ。

 
 
 
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