top of page
検索

夜間中学その日その日 (653)

  • 白井 善吾
  • 2019年12月3日
  • 読了時間: 4分

  第71回全国人権・同和教育研究大会

 71回を迎える全国人権・同和教育研究大会(三重)をのぞいた。全夜中研大会の開催時期と近いこともあり、全夜中研大会の日程を決めるとき、二つが重ならないように、留意していた。というのも、夜間中学に関する報告や議論が全国人権・同和教育研究大会でも展開されるため、夜間中学関係者が多数参加するからである。

 第56回全同教大会(大阪)では大会前日、夜間の時間帯に特別分科会が守口夜間中学を会場に行われた(2004.11.26)。公開授業のあと守口夜間中学生が発表を行い、200人の参加者に「夜間中学の学び」の重要性と夜間中学の開設を訴え意見交流を行った。

 夜間中学生の心からの発表に応える形で参加者から多くの発言がつづいた。感想文も多数寄せられた。その中に次のような文章があった。

 「私の母は部落差別によって、文字をうばわれました。私がそのことに気付いたのは、母が病床についてからでした。病床について、簡単な計算と文字の書き取りのテストがあったそうです。二名ずつ一緒に、母の前の人はすべて計算し文字も書いたそうです。母は文字が書けないことも伝えられず「わすれた」とすべて答えたそうです!!結局老人性認知症と誤診され寝たきりになりました。文字が書けないことで(部落差別によって)差別は心も体もうばいます。今自分が部落問題について学びだし、母のことを誇りに思えるようになりました。夜間中学のみなさんと同じような年代です。母と重なり涙が止りませんでした。ぜひがんばってほしいと思いました。母のような差別の犠牲者がいなくなるように私も声を大にしていっていきたいとおもいます」

 このとりくみが契機となり、鳥取、島根から高校生、中学生の夜間中学の訪問交流が始まり今につづいている。

 もう一つは第68回全国人権・同和教育研究大会(2016.11.26、夜間)の分科会会場、大阪市立文の里中学で学習会「これからの夜間中学を考える-“行政管理庁:夜間中学早期廃止勧告”  50年を迎えた今、私たちは-」を私たちは開催した。証言映画「夜間中学生」上映と、この証言映画制作を決意した 髙野雅夫さんに聞くのプログラムで行った。夜間中学関係者のみならず、他の分科会会場から駆けつける参加者も含め、全国各地から120名の参加があった。

 71回の大会資料集に掲載された、夜間中学に関する記述も研究課題や基調の中に多く見つけることができる。研究課題には次のように記述されている。

「・・『教育機会確保法』の制定により全国の都道府県夜間中学校設置を求めるとりくみが進められています。文科省もようやく全都道府県に夜間中学校を設置する方針を固めました。現代社会の中で少数ではあっても学ぶ機会を奪われてきた人たちの存在を忘れてはなりません。今後、公立夜間中学校を必要とする人の掘り起こしを進めるとともに、ニーズを整理することが必要です。また識字学級・教室を成人基礎教育との関連の中で実践していくことも大切な視点です」この前文につづいて「③識字学級、夜間中学校、定時制、通信制高校、日本語教室などのネットワークづくりを進め、さまざまな状況の中で学びを奪われている子どもやおとなの存在を明らかにし、学びをとりもどす運動を進めましょう」。

 夜間中学に関する報告として「今が青春パート2」(和歌山県人教 岩橋夜間学校)と「対話の中で学ぶ場-日本語学習広場『かみやんど』の歩み」(滋賀県人教)が目に留まった。

 和歌山の報告は「先生は言います『学校へ行ったら、みんなとお話しできるし、みんなでやる勉強はもっと楽しいよ。楽しい学校生活が送れるよ』と。わたしもそう思います。みんなでしっかりと声を上げて行きたいと思います。『早く夜間中学校をつくってみんなで通いたい』と。死ぬまでがんばります」と報告した。

 滋賀の報告は『きそう学び』から『ひたる学び』の見出しで次のように報告した。「『かみやんど』に集う人たちの学びは日本語だけを学んでいるのではありません。文字を読むこと、話すことはいっしょに生きている誰かとつながること、体験を言葉にすることは自分の行き先を見つけることです。ここでの学びには競い合いがありません。学んでいる仲間の中に浸っているうちに気づくと話せている、読めている、理解しているという学びです」。

 国や政府が考える学校を「超越した学び」がうかがえる主張だ。

「再び注目 夜間中学~再教育、外国人教育新たな学びの場に~」 今村 啓一 解説委員長(NHKテレビ「くらし☆解説」2019.12.03)の放送があった。今春、開校した夜間中学の授業の映像が流れた。黒板にはたくさんの文字が書かれ、殷・周・・の文字があった。その授業に参加している学習者の顔が映ったが、笑顔ではなかった。昼のカリキュラムの流用を克服した、『きそう学び』から『ひたる学び』への転換にいつ到達できるのか。

 全国人権・同和教育研究大会でも公立夜間中学から報告があって、議論が深められたらと考える。これからに期待したい。

 
 
 
Featued Posts 
Recent Posts 
Find Me On
  • Facebook Long Shadow
  • Twitter Long Shadow
  • YouTube Long Shadow
  • Instagram Long Shadow
Other Favotite PR Blogs
Serach By Tags

© 2023 by Make Some Noise. Proudly created with Wix.com

  • Facebook Clean Grey
  • Instagram Clean Grey
  • Twitter Clean Grey
  • YouTube Clean Grey
bottom of page