top of page
検索

夜間中学その日その日 (654)

  • 夜間中学生歴史砦編集委員会
  • 2019年12月13日
  • 読了時間: 5分

第65回全国夜間中学校研究大会

 第65回全国夜間中学校研究大会が2019年12月6日(金)~7日(土)、神戸市総合教育センターを主会場に開催された。二日目の土曜には各夜間中学も授業がないので、時間に拘束されず、参加できるので近畿の夜間中学から夜間中学生も多数参加することができた。参加者は一日目295人、二日目540人であった。

 従前の組み立てを変え、夜間中学生の参加する全体会Cを二日目に配置し、夜間中学生の体験発表と「兵庫からの発信」と題する夜間中学の発足と今に至る夜間中学のあゆみをスライドと夜間中学生の群読で構成した内容は、斬新であった。

 会場の正面に兵庫県3校の夜間中学生が大会参加者と向き合い、近畿夜間中学校生徒会連合会の役員と識字教室「ひまわりの会」の識字生が会場から群読と詩の朗読、校歌を交え展開する内容であった。やり終えた、外国籍の夜間中学生の笑顔が印象的だ。

丸山中学西野分校の卒業生が作ったという「西野分校 損だら節」の群読が演じられた。

  1. 学校行かなきゃ それだけ損/勉強おくれて それだけ損/人よりおくれて それだけ損/損して損して 大損ね

  2. 学校休めば それだけ損/友に逢えなく それだけ損/友と話せず それだけ損/損して損して 大損よ

  3. 学校やめたら それだけ損/世間に背かれ それだけ損/社会に背かれ それだけ損/損して損して 大損よ

  4. 先生に聞かなきゃ それだけ損/先生に問わなきゃ それだけ損/先生と逢わなきゃ それだけ損/損して損して 大損さ

          玉本格著『忘れられない子どもたち』所収。

 「岐路に立つ夜間中学」(神戸新聞 1968.11.22)には、誰となく、いつとはなく歌われだした歌であると紹介されている。記事の見出しは「生活の重荷背負って〝でも…行かなきゃ損〟」とある。当時の夜間中学生の様子が浮かび上がる詩だ。

 いま学んでいる夜間中学がどのようにして生まれたか、「兵庫からの発信」にとりくんでいただいた夜間中学の学びは繰り返し繰り返しやっていただきたい学びだと考える。

 夜間中学の主役は学習者である夜間中学生である。その夜間中学生が参加でき、全国各地から、自主夜間中学関係者の参加の条件がよい、土・日の開催をとの要望はあるのだが、関東地区での開催は二日とも平日で、要望は実現されていない。納得できる理由はいまだ聞いていない。自主夜間中学関係者は勤務先の仕事を休み、手弁当の参加である。公立の夜間中学教員の都合だけで平日に設定することは再考する時期に来ているのではないか。

 筆者も他の避けがたい行事と重なることが多く、久しぶりの参加となった。しかし、手弁当で遠方から参加いただいている自主夜間中学の皆さんと顔を合わすと、本当に頭が下がる想いだ。また、夜間中学設置を検討している行政関係者の参加も多くあったようだ。

全夜中研大会のあゆみの中で忘れてはいけない出来事がある。それは1997年の第43回研究大会で文部省、関係自治体に出す要望書採択に当たり、その前文から「自主夜間中学」の文言を削除する意見が東京都夜間中学研究会の教員からあった。一カ所を残して削除した要望書を採択したことだ。このときも、筆者はのっぴきならない所用のため、大会に参加できなかった。この議論は、髙野雅夫さんが出した「17項目の公開質問」の1項目にあり、都夜中研と起草委員会は質問を受けている。自主夜間中学を全夜中研大会から排除する動きとなったのだ。公立の夜間中学だけが夜間中学ではない。

参加して考えたことを何点か記しておく。

 一つ目として、筆者が参加した分科会、全体会の討論で発言したのは夜間中学教員のOG・OBが圧倒的に多かった。現役の教員の発言は少なかった。現役の教員は大会を運営することに専念しなければならない現実があるのだ。教員一人ひとりの肩にかかる任務は多く、多種になるのだ。準備をし、運営に専念しながら、OG、OBの発表の機会のみにこの大会が終わったとしたら、問題ではないか。現役の先生たちの率直な気持ちを聞いてみたい。筆者が夜間中学の教員であったとき、ここまでではなかった。

 二つ目に、これまで夜間中学を一貫して冷遇視を続けてきた文部科学省がここに来て、担当者が「夜間中学をもっとつくっていきたい。文科省もがんばる。一緒にやっていこう」と報告を締めくくられても、そのまま受け取れない心情だ。多くの夜間中学入学希望者を切り捨て、形式中学卒業者の入学を認めてこなかった歴史を、入学を認めるとの文科省の一片の通達で「英断」だと評価することはできない。担当者の報告でも一言も触れていない。

 17回大会とつづく18回大会で出席した文部省の中島課長補佐に「ようやく勉強したいと思ったら法律が目の前に立ちふさがり私の道を邪魔する。もうがまんできない。負けるもんか!!」と訴え、形式中学卒業者の入学を認めるとの文部省の回答を引出したのは夜間中学生であった。

 三つ目に夜間中学の学習環境と条件の貧弱さがいっそう顕在化したことだ。大会を充実するために、夜間中学生の参加も重要だ。夜間中学の教員はその手立ても行うことで、大会議論に集中できないのだ。大会参加者に、夜間中学の授業公開も一日目にあった。その準備のため、大会の途中から学校に戻らなくてはいけない。東京都と大阪府の教員一人あたりの夜間中学生の数で比較すると 東京3.3人、大阪10.4人。国の基準を超えて都や府単費の教員を整えようとしても、財政基盤の違いがそのまま反映している。国の財政負担の方程式を変えないと、「最低一県一校の夜間中学を」はかけ声に終わってしまう。

 四点目として、連日、夜間中学の報道が新聞・テレビ・ラジオで取り上げられている。新聞報道の記事数を比べても昨年は366件、今年は429件(12/1現在・夜間中学資料情報室調べ)だ。しかし、既存の夜間中学には夜間中学生が増えることにはなっていない、逆に減少している。2013年と2019年の夜間中学生の人数は2098人に対し1742人となる。形式卒業者、横浜、川口の夜間中学生など、同じ条件で比較すると2098人に対し1460人になり638人減少している。これをどのように分析すればよいか。

 「夜間中学生歴史砦・夜間中学卒業者の会」の発足記念集会を

    2019年12月21日(土曜日)午後1時30分~

     東大阪市文化創造館 2階 創造支援室C 1

       (近鉄奈良線八戸ノ里駅下車 北へ徒歩5分)

で開催するが、「夜間中学生歴史砦・夜間中学卒業者の会」の果たす役割が確認できる第65回全国夜間中学校研究大会であった。

発足記念集会にみなさんの参加をいただきたい。

 
 
 
Featued Posts 
Recent Posts 
Find Me On
  • Facebook Long Shadow
  • Twitter Long Shadow
  • YouTube Long Shadow
  • Instagram Long Shadow
Other Favotite PR Blogs
Serach By Tags

© 2023 by Make Some Noise. Proudly created with Wix.com

  • Facebook Clean Grey
  • Instagram Clean Grey
  • Twitter Clean Grey
  • YouTube Clean Grey
bottom of page