top of page
検索

夜間中学その日その日 (688)

  • 夜間中学資料情報室 白井善吾
  • 2020年6月4日
  • 読了時間: 4分

産経新聞連載「夜間中学はいま」を読んで  (その7)

 産経新聞が連載した「夜間中学はいま」を読み直し、記事の中で語っている「ハッ」とするコトバを抜き書きした。半生の重みと、説得力のある語りである。夜間中学生が語った7回目は⑦「夜間中学の存在」について ⑧「夜間中学の学びについて」 ⑨「学齢時、未修了となった理由」について ⑩「学齢時不登校になった人が語るその心情」そして⑪「あなたにとって、夜間中学とは?」の項目を立てた。

 守口夜間中学では夜間中学生が書いた文章を収録した文集「まなび」を年1冊ずつ、発行している。夜間中学の教員になったとき、それを読みながら、「ハッ」とするコトバを抜き書きした。そのノートを「夜間中学生語録」と名付けた。同僚の一人が丁寧にその作業をやり、夜間中学の授業実践をされていたのを真似したのが始まりであった。私に染み付いた「常識」に夜間中学生が発するコトバは新鮮で強烈な影響をもたらした。連載に掲載された夜間中学生の語りは「語録」と共通するコトバが多くあった。

1.夜間中学生

⑦ 存在

・夜間中学は、山崎さんには「一本の命綱」だった。(連載④)

・「夜間中学に通えたから選択肢が生まれた。夜間中学と出合えたから今の私がいる。それは確かなこと」(連載④)

・「公立の夜間中学にいくことができたのは、自主夜間中学があったから。相談に乗ってくれる人や信頼できる人がいた。自主夜間中学に出合えてよかった」と笑顔をみせた(連載⑥)

・「一人前になれなかったことへの後悔や情けなさを感じながら、それでも希望を持って勉強する場所が岡山自主夜間中学校です」(連載⑧)

・「知らんこと習うんは、どれだけ楽しいことか。いろいろ教えてもらうと感動することが多いんです」(連載⑨)

⑧ まなび

・何枚も書き直し、30分かけて書き上げた。「その定期券で電車に乗ったときは、天下をとった気分でした」(連載⑤)

・かつて流した「悔し涙はしょっぱかった」、文字を学び流した「うれし涙は甘かった」と村上さんは言う(連載⑤)

・「その通りです。夜間中学は、読み書きができることの先にあるものを教えてくれました」(連載⑤)

・「月が水を運ぶ」-大和川の土手を歩いていると、河口付近で満潮の海水が逆流するのを目にする。「ああ、先生が話してたんは、このことなんやと実感しました」。あのときの驚きと感動は忘れられない。それは一つの記憶も呼び覚ます。「お母ちゃんは無学やったけど、ちゃんと潮の満ち引きを教えてくれてたんや」とうれしくなった(連載⑨)

・学校での学びは世界と自分がつながっていることを感じさせてくれた。(連載⑨)

・夜間中学での学びについて、おばあたちは「新しい自分に出会える」と話す。学ぶことで得られるのは、知識や技術だけではない。(連載⑭)

・「わからなかったことがいろいろわかるようになり、毎日が目からうろこです。ローマ字も読めるようになりました。空を見ても今日の雲は何だろうと考えるようになりました。わかることは感動することだと知りました」(震災編下)

⑨ 未修了になったわけ

・「学校に行くたび、先生にみんなの前で『給食代はもってきたか』といわれて。恥ずかしいし、つらいし、学校に行かなくなりました」(連載⑨)

・小学校入学と同時にいじめが始まった。次第にエスカレートし、ついに中学1年の夏、学校に行けなくなる(連載⑩)

・おとなしくて引っ込み思案の子どもだった。小学校でいじめの標的にされた。「ばい菌扱いされて『近づくな』と言われたり、ランドセルを廊下に蹴り出されたり、上靴を隠されたり…」(連載⑩)

・「貧乏なのに持っているはずがない。嘘つき」と言われ、廊下に立たされた。級友からはつばを吐かれ、「泥棒」と心ない言葉を投げつけられた。(連載⑫)

・先生は、他の生徒たちの前で「お前みたいな奴が社会に出て、まともに働けるはずがないやろ。勉強もろくにしてないのに」と暴言を吐いた(連載⑬)

⑩ 不登校になった人の心情

・「ずっと罪悪感がありました。それが一番苦しかった」。家からも出なかった。「どこで同級生と会うかわからない。怖くて出られませんでした」(連載⑩)

・「現実がつらいから、現実を見られない。引きこもりは現実からの避難でした」(連載⑩)

⑪ 夜間中学は

・夜間中学に来なければ何も知らないまま人生を終えたかもしれず、教師は「目のおいしゃさん」「だんだん目が見えるようにしてくれる」(連載⑪)

・「夜間中学はただ勉強するところではなく、自分を見つめ直し、成長させてくれる場。学ぶ喜びや人を信じることの大切さの感動を味わった。入学して本当によかった。もしここに来ていなかったら、何もわからないまま働いて死ぬだけの人生やった」(連載⑬)

・学校と縁遠い人生を送ってきたが、晩年にたどり着いた夜間中学でひたむきに学び続け、励まし合う友も得た。「生きる姿勢が変わった」という。(連載⑮)

・学び続けることが目標だ。その姿が孫たちの心に残ったらうれしいと思っていた鄭さんに、中学2年の孫が授業でこんな短歌を詠んでくれた。

 傘寿過ぎ 夜学に通う 我が祖母は 僕より一つ 先輩です   (震災編下)

・「私にとって夜間中学は、自分の価値と可能性を高めてくれる場所」(卒業編①)

                         (つづく)

 
 
 
Featued Posts 
Recent Posts 
Find Me On
  • Facebook Long Shadow
  • Twitter Long Shadow
  • YouTube Long Shadow
  • Instagram Long Shadow
Other Favotite PR Blogs
Serach By Tags

© 2023 by Make Some Noise. Proudly created with Wix.com

  • Facebook Clean Grey
  • Instagram Clean Grey
  • Twitter Clean Grey
  • YouTube Clean Grey
bottom of page