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夜間中学その日その日 (715)

  • 夜間中学資料情報室 白井善吾
  • 2020年10月20日
  • 読了時間: 11分

 「夜間中学」に関する国会議論(13-⑪)2015年~2016年

 議員立法で提案された、「教育機会確保法」の議論が最終段階を迎えた。時期である。形式卒業者の入学、国勢調査で小学校と中学校を分けて卒業してるか否かをたずねる方法に変更を求める議論。学齢の子どもが夜間中学はいることについて、それまで、木で鼻をくくった答弁を続けてきた大臣や官僚の答弁は、「昨日まであなたは何を言ってきたの?」と一人ひとり聞きたくなる変わりようの答弁が相次いだ時期でもある。一つが変わるとそれまで言ってきたことを「ころっと変え」て来る。真正面から答えず、“ご飯論法”がまかり通る。昨日まで見向きもしなかった方が、非常な関心を持っていたんだと答弁し始める。

 一例を挙げよう、「『中学校を卒業していない場合は就学を許可して差し支えない』との考え方を示してきましたが,一度中学校を卒業した者が再入学を希望した場合の考え方については明確に示していなかったところです」(2015.07.30付け文部科学省初等中等教育局初等中等教育企画課長が出した通知文)。それまで言ってきたことを、180度変更する。なかなか出来ないことだ。それをこのように言ってのける。この通知文を起案し加筆した人は誰なんだ?怒りの臨界が、いまの私だ。

 やはり重なってしまう。日本学術会議の新会員候補のうち6人を菅首相が任命しなかった問題だ。なぜ6人を拒否したのかが尋ねられているのに、「聖域なき行政改革」に話しをすり替えていく。首相は105人の名簿は見ていない、99人の名簿は見たといい。では誰が決めたのかと疑念がますます深まる。あとで官房長官が「105人の名簿は参考資料として添付した」釈明をする。依然「なぜ拒否?」の説明はない。質問する側に、いろいろと思わし、自己規制や政権への忖度の流れをつくるために、真正面から答えないのだ。

 文科大臣が就任すると委員会で所信表明演説を行なうが、馳浩文科大臣の時から「夜間中学についても触れるように変化してきた。同じ原稿を衆参委員会で読み上げている。

第189回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第1号 2015年3月10日

 *国重徹(公明):「下村大臣は、昨年の国会答弁におきまして、少なくとも各都道府県に一校は公立夜間中学校の設置を目指していきたいという旨の答弁があった」「(国勢調査)小学校卒と中学校卒を一まとめにした、一項目にした調査のやり方から、両者を別個に分ける調査の方法が考えられますが」

 *井波哲尚(総務省統計局長):「総合的に検討させていただきたい」

 *国重徹:「形式卒業者に対しても公立夜間中学校への門戸が開かれるようにすべきだと考えます」

 *下村博文(文科大臣):「ほとんど学校に通えないまま中学校を卒業した人が希望した場合に夜間中学校に入るということについては、教育委員会や夜間中学の関係者等の声も聞きながら、学習機会の拡大、充実の観点に立って、どのような対応が考えられるのか、これは早急に検討してまいります」

第189回国会 衆議院 文部科学委員会 第2号 2015年3月25日

 *下村博文(文科大臣)所信表明:「夜間中学校の設置促進にも取り組みます」

第189回国会 参議院 文教科学委員会 第2号 2015年3月26日

 *下村博文(文科大臣)所信表明:「夜間中学校の設置促進にも取り組みます」

第189回国会 衆議院 文部科学委員会 第10号 2015年5月20日

 *郡和子(民主):「中学校夜間学級の潜在的なニーズとも言える外国籍の子供、すなわち本国の中学校あるいは九年の教育課程を修了しておらず、かつ日本の中学校の学齢を超えている外国籍の子供がいるということになるわけなんですが、そうした子供たちが日

本に現在どれぐらいいるのか、把握しているか」

 *丹羽秀樹(文科副大臣):「夜間中学が外国籍生徒の高校入学のための選択肢として一定の役割を果たしていることは明らか」

 *小松親次郎(初等中等教育局長):「外国人児童生徒、お子さんにつきましては、学齢を超過している場合でも、希望に応じて就学することが可能となっております。保護者

の方に対する就学義務は課されておりませんけれども、希望に応じて、就学すること

は可能」

 *下村博文(文科大臣):「文部科学省として、フリースクールや、あるいは不登校の子供たちに対する、よりチャンス、可能性を提供できるような、もちろん学力も含めて、そのフォローアップをしっかりしてまいりたい」「不登校の子がそのまま中学を卒業して

いるということに対して、もう一度勉強したいのであればぜひ勉強できるような機会を

つくるというのは、これは当然あるべき話だと思います」

 *畑野君枝(共産):「少なくとも就学援助に類する経済的支援が必要になってくる」

 *小松親次郎(初等中等教育局長):「各県最低一つの夜間中学を設置していくという考えに立って、まず、その設置市町村における就学援助の対応状況、それから未設置道県における検討状況、これらを把握いたしまして、どういう対応が必要か、できるか、これを検討してまいりたい」

第189回国会 衆議院 総務委員会 第16号 2015年5月26日

 *梅村さえこ(共産):「5月には、文部科学省で夜間中学の実態調査が初めて行われました。どのようなニーズがさらに明らかになったのか」

 *中岡司(文部科学省大臣官房審議官):「夜間中学の設置に関する一定のニーズが明らかになったものと考えております」「今後の夜間中学の役割といたしましては、不登校

等のためにほとんど学校に通えていないまま中学校を卒業した、いわゆる形式卒業者

の方々や、昼間の学校に通うことができない不登校生徒に教育の機会を提供していく

ことも期待されると考えております。

 *高市早苗(総務大臣):「32年の国勢調査に向けましては、私も、しっかりと文部科学省からの御要望も踏まえて注視をしてまいりたいと思っております。それから、

夜間中学に対しましては、私自身も非常に強い問題意識を持ってきた者の一人で

ございます」

第189回国会 衆議院 文部科学委員会 第14号 2015年6月3日

 *下村博文(文科大臣):「株式会社立であっても、今後とも、創意工夫をしながら、国民の皆さんに信頼されるようなそういう努力をぜひ日々していただきたいと思います」

 *平野博文(民主):株式会社というのはやはり営利ですから、利益が出てこなければ倒産ですから、それでは子供のためにならぬわけですから、それをやはりどうしていくんですかということをしっかり教育の場においては踏まえておかなきゃいけない」

第189回国会 参議院 文教科学委員会 第14号 2015年6月16日

 *柴田巧(維新):「今の決まりでは中学校を卒業した者は夜間中学に入れないということになっているわけで、ここが一つ大きなネックになっていると思っていますが、ここはひとつその面は見直しが必要なんではないか」

 *小松親次郎(初等中等教育局長):「端的にお答えをしたいと思いますが、従来、文部科学省では、通常就学すべき年齢を超えた方の中学校への受入れにつきましては、中学校を卒業していない場合は就学を許可して差し支えないという考え方を示してきたとこ

ろでございますが、卒業はしていても、今おっしゃられましたように、実質的に十分な

義務教育を受けられなかった方が希望した場合の学習機会の確保というのは、重要な課

題になっていると思います。このため、ほとんど学校に通えないまま中学校を卒業した

などの方が希望された場合に夜間中学に入学することについては、教育委員会や夜間中

学の関係者の皆様などの声もお聞きしながら、どのような基準なり考え方に基づいて行

うべきか、そういったことを含めまして、学習機会の拡大、充実の方向で積極的に検討

してまいりたいというふうに考えます」

 *下村博文(文科大臣):「フリースクール等に通う子供たちへの支援や夜間中学の設置促進等を通じた多様な教育機会の充実を図ることなどをすることにより、我が国の義務教育全体の質の向上を図りつつ、多様化、弾力化を推進してまいりたいと思います」

第190回国会 衆議院 文部科学委員会 第1号 2016年3月4日

 *馳浩(文科大臣)所信表明:「不登校となった子供たちが自信を持って学べる環境を整備するため、フリースクール等で学ぶ子供たちへの学習支援に取り組むとともに、夜

間中学の設置を促進します」

第190回国会 参議院 文教科学委員会 第1号 2016年3月8日

 *馳浩(文科大臣)

所信表明:「不登校となった子供たちが、自信を持って学べる環境を整備するため、フリースクール等で学ぶ子供たちへの学習支援に取り組むとともに、夜間中学の設置を促進します」

第190回国会 衆議院 文部科学委員会 第8号 2016年5月18日

 *吉田宣弘(公明):「夜間中学校を整備する重要な意義を有する法案でした。この法案は、本日、本委員会で採決され、あすの本会議に上程され、また採決される、そのようにお聞きをしておりましたが、そうはなりませんでした。残念でなりません」

第190回国会 参議院 行政監視委員会 第2号 2016年5月25日

 *神本美恵子(民進):「不登校は本人の原因ではないということが明確にできるような姿勢を文科省としても持っていただきたい」

第190回国会 衆議院 本会議 第36号 2016年5月31日

 *佐藤茂樹(公明):「フリースクールなどの多様な教育の機会を確保するとともに夜間中

学への支援などを定めた教育機会確保法案について、民進党は法案の提出会派であるに

もかかわらず、参議院民進は、全会一致でないものは送られても処理できないとして、

共産が反対する法案は処理しない姿勢を示し、衆議院からの同法案の受け取りを事実上

拒否、今国会成立は不可能になったのであります」

第190回国会 参議院 文教科学委員会 第9号 2016年6月1日

 *末尾記載4 社民共産:「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確

保等に関する法律案の徹底審議に関する請願」など

第192回国会 衆議院 文部科学委員会 第1号 2016年10月14日

 *松野博一(文科大臣)所信表明:「いじめや不登校への対応、多様な学びの場における子供への学習支援、夜間中学の設置促進、学校施設の耐震化・老朽化対策などにしっか

りと取り組みます」

第192回国会 参議院 文教科学委員会 第1号 2016年10月18日

 *松野博一(文科大臣)所信表明:「いじめや不登校への対応、多様な学びの場における

子供への学習支援、夜間中学の設置促進、学校施設の耐震化・老朽化対策などにしっ

かりと取り組みます」

第192回国会 参議院 文教科学委員会 第3号 2016年11月10日

 *末尾記載 神本美恵子(民進):不登校部分を白紙撤回する請願

第192回国会 衆議院 文部科学委員会 第6号 2016年11月16日

 *河村健夫(自民・法案提案者):「義務教育は、社会において自立的に生きる基礎となるものであります。しかしながら、現在、約十二万人の学齢期の児童生徒が不登校の状態にあります。また、戦後の混乱期に学校に通えなかったこと等により、夜間その他特別な時間において授業を行う、いわゆる夜間中学における教育機会の提供を希望される方も多数いる」

第192回国会 衆議院 文部科学委員会 第7号 2016年11月18日

 *馳浩(自民):「夜間中学校においても学齢期の児童生徒も対象にしてもよいのではない

かと思いますが」

 *松野博一(文科大臣):「夜間中学については、義務教育未修了のまま学齢を超過した方々や、本国において義務教育を修了していない外国人等の就学機会の確保に重要な役割を果たすと考えております」

 *藤原誠(初等中等教育局長):「夜間中学において、本人の希望を尊重した上での学齢生徒の受け入れは当然可能と考えております」

 *富田茂之(公明・法案提案者):「本法案が成立することにより、不登校児童生徒への支援策のさらなる拡充や、夜間中学の設置促進が図られる」

 *吉田宣弘(公明):「不登校になるのは子供の責任ではない」

 *畑野君枝(共産):「全ての都道府県で協議会を設置すべきだと考えますが」

 *吉川元(社民):「民間の団体というのは、営利目的の団体というものも含まれるのでしょうか」

 *青山周平(自民・法案提案者):「株式会社だとか塾だとかそういったところが入るかということでありますが、一概に排除されるものではなく」

第192回国会 衆議院 本会議 第13号 2016年11月22日

*永岡桂子(自民)委員会審議報告:「議題となりました法律案につきまして、文部科学委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます」

第192回国会 参議院 文教科学委員会 第6号 2016年12月6日

 *河村健夫(自民)(議案提案者):「提出者を代表して、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます」

 *神本美恵子(民進):「当初、この法案は多様な教育機会確保ということでしたけれども、途中から普通教育に相当する教育機会の確保に内容に変わった」「ほとんどが、不登校の問題についてどのようにするかということが議論になった」「やはり強い懸念が幾つも出されております」「桜井智恵子大谷大学教授の先生においでいただきました」

 *笠浩史(民進党)(議案提案者):「本人が個々の状況に応じてこれらの施設等を通じた支援を受けられるよう、その環境整備や支援の充実を図るもの」

 *桜井智恵子大谷大学教授(参考人):「これ以上取組を上乗せすることではありません。むしろ減らすことです。余裕なしに安心な人間関係は生まれません」「学校教育が人々を分け続ける状況が続くと、均質化による無気力が広がり、物言わぬ無関心な市民が育ち、民主主義国家としては機能不全になっていくと思われます。 法案は通さず、学力調査を含む調査の問題性に気付くことを強くお勧めいたします」

 *吉良よし子(共産):「性格の違う施策を一つの法案に盛り込むのではなく、課題をそれぞれに検討すべきである」

 *木戸口英司(自由・社民):「本法案から夜間中学の部分を切り離して早期に成立させるべきであることを申し上げる」

第192回国会 参議院 本会議 第16号 2016年12月7日

 *赤池誠章(自民)委員会審議報告:「教育機会の確保の必要性と具体的施策の在り方、本法律案に対する当事者等の懸念とそれに対する対応策等について質疑」「成立」

 
 
 
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