夜間中学その日その日 (799) 砦通信編集委員会
- journalistworld0
- 2021年12月19日
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夜間中学開設に託した想いを、今こそ いかそう! 2021.12.20
天王寺、文の里夜間中学を廃校にするという動きに対し、2校の生徒会、近畿夜間中学校生徒会連合会は反対の声をあげ、その撤回と、廃校どころか、校舎の建て替え、教育環境の改善を求め、この大阪にさらに夜間中学の増設を求める闘いに立ち上がっている。また、夜間中学同窓会もその内容の説明を求め、学校に出向き、疑問点を示し、さらに納得のいく説明を求め、とりくみを進めている。夜間中学卒業者の会も夜間中学生のとりくみに参加し、状況をつかみ、声明(2021.11.13)を発表していが、回答書は現在、受け取っていない(2021.12.17)。

夜間中学のあゆみを見たとき、夜間中学開設の市民運動により開校した夜間中学のとりくみは、義務教育を行なう、学校教育の場にありながら、法の定めを大きく乗越える実践の場として機能してきている。修業年限は昼と同じ期間では運営できないこと、学習内容も、学習指導要領には束縛されない内容で実践を行なっていることなどが一例だ。(これらは遅まきながら、2017.3.31文科省も追認し、認める通知を出している。)
このことは一朝一夕にできたことではない。多くの夜間中学生が涙を流した、犠牲の上にある。一例を挙げよう。形式卒業者の夜間中学入学を求める夜間中学生のとりくみだ。「卒業証書を2枚発行することはできない」と答える文部省、地方教育行政にたいし、入学を認めるよう、2年越しで全国夜間中学校研究大会の席で回答を求めた。天王寺夜間中学講堂で開かれた18回大会で長い議論のあと、夜間中学生は次のように問いただした、「先生方は生徒の味方か?文部省や教育委員会どちらの見方か?」と。そして「生徒の味方である」との回答を確認して、文部省担当者の入学を認める回答のあと、同席していた大阪府教育委員会、大阪市教育委員会、校長から「入学を認める」との回答をとっていった(『チャリップ』991ページ)。
昼の義務教育の物差しでは測れないことを、夜間中学では実行しなくてはいけないのだ。それを実行しないと夜間中学として機能していかないのだ。昼でできないことを夜では実行できる。この矛盾を内に持って夜間中学は歩んできたといってもよい。教育委員会から言われたことをそのまま夜間中学で実行しようとすると、夜間中学は存在できなくなる。夜間中学生の願いと、実態からはっきり、できないことはできないと夜間中学生の立場に立って、教育行政にものを言っていくことができるか否かが今、改めて問われている。
2013年から2014年にかけて、天王寺夜間中学を廃校にしようとする教育委員会の策動は夜間中学生徒会のとりくみによって、実施できなくなった。
「平成25年12月に『天王寺中学校夜間学級で使用している校舎は平成27年度末に耐震工事期限を迎え、そのままでは校舎を使用することができなくなります』。とお伝えしました。しかしながら、その耐震性については、より望ましいとしている本市の基準には到達していませんでしたが、文部科学省が定めた学校としての耐震基準は満たされていました。したがいまして、現在夜間学級で使用している校舎は、当面平成28年度以降も継続して使用できることが判明いたしました。誤った情報で皆様方にご心配をおかけしましたことをお詫びし、訂正いたします」(大阪市教育委員会 2014年1月29日。ルビうちの夜間中学生にあてた文書)。


夜間中学卒業者の会と天王寺夜間中学管理職の先生との面談(2021年12月14日)では、教育委員会から「正式な文書は一切なく、口頭の説明」で夜間中学に伝えてきた。教育委員会から夜間中学生に説明と夜間中学生から意見を聴くために来校があったという。「2024年4月、特例校は開校する」「その時に天王寺が無くなることはなんとしても、止めたい」「天王寺をなくさないという夜間中学生、教員の意見を校長として教育委員会に伝えていく」「みなさまのお力もいただきたい」「来週から、市教委の担当者が、夜間中学生一人ひとりと面談して、意見を聞き取っていく」「今後も、夜間中学卒業者の会との話合いの機会を持つ」おおよそ、こんな内容であった。
最近読んだ記事に、アイヒマンの刑事裁判法廷での発言のことが記載されていた。ナチスドイツの幹部だったアイヒマンがホロコーストという自ら侵した罪に全く無自覚で「ヒトラー総統の命令をひたすら忠実に従っただけ」との主張を繰り返していたとあった。
行政から言われたことをそのまま伝え、それを実行する。これだけでは夜間中学は存在できないのだ。夜間中学生、教職員集団、同窓会、PTA(夜間中学卒業者の会・夜間中学校のとりくみを支援する会など)の考えを行政に積極的に伝えていく、その積み上げにより、今回の廃校策動を断念さすことができる。行政担当者は、自信を持って夜間中学の存続を施策立案者に働きかける。その役割を実行されたい。
2021年12月18日、13:00からJR 天王寺駅周辺で、近畿夜間中学校生徒会連合会は、文の里、天王寺の夜間中学生と街頭署名活動を取組む。
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