夜間中学その日その日 (808) 砦通信編集委員会
- journalistworld0
- 2022年2月14日
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改めて回答を求める 2022.02.14
4校ある大阪市立の夜間中学の内、文の里夜間中学と天王寺夜間中学を廃校にする計画を大阪市教育委員会が進めていることを私たち、夜間中学卒業者の会も知ることになり。近畿夜間中学校生徒会連合会、同窓会の廃止反対の行動に参加し、街頭署名活動をはじめ、さまざまなとりくみを進めている。
夜間中学のことを行政組織のどこよりも一番知っていなければならない、大阪市教育委員会が廃校の動きに対し、どのような役割を果たすのか、夜間中学卒業者の会は、昨年12月声明を発表し、夜間中学の社会的存在意義について見解を糾し、教育委員会にその回答を求めていた。
送られてきた回答書は杜撰なものと言わざるを得ない内容だ。存在意義には全くふれず、全文17行の内、国の動向に11行、府の内容が4行、私たちが知りたかった、大阪市教育委員会の内容がわずか2行。割合で言えば12%。その内容は「中学校夜間学級での学びの重要性を認識し、多様なニーズに合った教育を提供できるよう適正に検討してまいります」だけだ。最たるものは、生徒会連合会に出した回答書にも夜間中学卒業者の会のそれと同一のものを回答している。「学びの重要性」、「適正に検討」で煙に巻くのではなく、そう判断する具体的な理由ついて説明を伺い、改めて再回答を求めたいと考えている。

また、記事タイトルが「大阪市が夜間中学2校の統廃合計画を検討『学びの場をつぶさないで』生徒らの切実な声は届くのか」(「「週刊金曜日」1382号2022.01.28」に大阪市教育委員会担当者のコメントがある。「夜間中学が抱える課題を検討するなかでの計画の一つだが、具体的なことは何も決まっていない。今後会議を重ねて進めていくことになる」。
『世界』2022年3月号(2/8発売)は「維新の政治-『改革』の幻惑」の特集が掲載されている。そこでは文科省に先んじて教育委員会制度を変え、教育に政治が介入して生起している教育現場の状況が語られている。誰かをいつも悪者にして、学力テストや学校選択制により学校間競争、地域間競争を起こし、「競争統治」をおこない、そして統廃合と再編整備を進める。・・大阪「教育改革」で何が失われたかの特集だ。
まもなく2020国勢調査の結果が公表されるが、2010の国勢調査結果で未就学者(小学校を卒業していない人)数を見ると、大阪府が12,145人、うち、大阪市は4,982人といずれも全国最多だ。その割合はというと2.13‰。(大阪市より割合の大きい都市は小樽・八戸・花巻・那須塩原・宇都宮・足利・岸和田・堺・鳥取・飯塚・大牟田・諫早・佐世保・八代・霧島・鹿児島・那覇・浦添・沖縄・うるま)。東京23区をあわせても4,560人と大阪市より少ない。
10年ごとの国勢調査結果を見ても、同じ傾向だ。かつての大阪市は人権を大切に福祉施策も進み、暮らしやすい街であった。大阪に移り住む人たちが多かった。それ故、未就学者も多かったと夜間中学関係者の間では分析していた。
大阪の教育改悪で大阪が創設した、夜間中学の就学援助制度や補食給食を廃止し、夜間中学の入学希望者を「もっと日本語ができるようになってから来てください」と入学を断り、夜間中学の卒業を督促し、校門を閉じ、インターホンを押して夜間中学校舎にあがっていく等、大阪市の夜間中学は学びにくくなる事態が進行していると考えざるを得ない。
未就学者が多いのに、その原因を深く考えず、入学者が少ない傾向が続いている。だから統廃合して「経営」最優先の短絡思考のお先棒を教育委員会はになってはいけない。
夜間中学は、義務教育を保障されなかった人に義務教育を完全保障する場である。同時に、教員、教育関係者、子どもたち、社会人が夜間中学生から学ぶ大切な学びの場所である、夜間中学が持っている社会的に存在する意義を受け止め、市長部局に主張していく、その先頭に教育委員会は立っていただきたい。
夜間中学卒業者の会は、改めて、大阪市教育委員会に回答を求める。
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