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夜間中学その日その日 (831)   夜間中学資料情報室

  • journalistworld0
  • 2022年7月3日
  • 読了時間: 3分

2020国勢調査結果(5)「大阪市教育委員会は教育の立場から、国勢調査結果を分析し、見解を明らかにすべきではないか」    2022.07.04


 国勢調査は日本に住んでいるすべての人・世帯を対象として実施する統計調査で、住民票などの届け出に関係なく、すでに3ヶ月以上住んでいる、あるいはこれから3ヶ月以上住む人を対象に行なわれる。

 夜間中学生から質問があった。調査のためだけで、不利益なことはないとあるが、そうなんだろうか?そこで、日本語の学習とかねて、調査の目的と記入方法を授業で行なったことがある。当時は中国からの引揚げ帰国者が多く学んでいた。文化大革命の時、ほとんど勉強ができない、子ども時代を送ってきたと多くの帰国引揚げ者が語っていた。「私も大地の子、陸一心の妹・張玉花と同じです」そう語る夜間中学生もいた。前の調査の時は、日本に来たばかりの時で、書かなかったなぁと言った夜間中学生もいた。このように、国勢調査は回答者の認識に基づくもので、調査に回答していない人も相当数いると考えられる。分析に当たって注意を払っておかないといけない。

 2020国勢調査結果(4)では外国籍の義務教育未修了の人たちのことを書いたが、さらに続ける。

 1990年代はじめ、夜間中学に入学した、引揚げ帰国者の聞き取りをしているとき、家族に、学齢の子どもが一人あり、日本の小学校にも通学していないことが分かった。身体におもい障害を持った子どもで、祖母が開拓団として旧満州に行くころ、当時の日本では孫のような子どもは、学校には就学しないケースがほとんどで、帰国したときも到底学校に行けないものとの認識であった。祖母が、家で孫の面倒をみているという。教育委員会に連絡を取りすぐに、就学していただいた。姉たちが夜間中学に来なければそのままになっていたケースではなかったか。

 また、外国人登録や、手続きを受けた窓口が、家族構成を見て、学齢相当の子どもが認められると、教育委員会の就学担当と一緒に手続きを進める手法がとられていればこれは防げたと考えられる。祖母は、担当者から一切説明がなかったと語っていた。

 3月、次のような報道があった。

「文部科学省は25日、小中学校に通う年齢の外国籍の子どもの約1割にあたる1万3240人が、昨年5月1日時点で「不就学」やその可能性がある「就学不明」の状態だったと発表した」(2022.03.25毎日)。

 2021年5月1日現在、全国1741市町村の住民基本台帳で、調査した結果だ。国勢調査の結果に加え、義務教育未修了者が現在も生み出されている証左ではないか。


表1  国籍別義務教育未修了者










 国勢調査結果は義務教育未修了者が今尚つくられ続けていることの一つの側面を表わしたものと考えようとの警告ではないだろうか。教育委員会担当者はこの結果について早急に検討を加え、関係部局に誤った施策を打たないよう、説得力のある見解と施策を打ち出すことが急がれる。


 子どもたちの話しをじっくり聞き、その背景の分析と、解決の手立てに腐心する。その結果を教師集団で受けとめ、全体化する。こんなとりくみは時間もかかり、結果が現れるのはずっと後のこと。ひょっとしたら成果は見いだせない場合もある。その時、教育委員会は成果のみを求め、梯子を外す施策は厳禁である。


 
 
 

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