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夜間中学その日その日 (886)   白井善吾

  • journalistworld0
  • 2023年5月7日
  • 読了時間: 4分

夜間中学の動向(1)               2023.05.08

 全国夜間中学校研究大会(68回)の大会記録誌が届いた。どんな内容が話されたのか、発言者の顔を思い浮かべながら、記録誌を読んでいる。大会二日目の領域別分科会(9:30~12:15)「増設・教育条件・啓発活動」の分科会を取り上げる。発言をテープ起こしし、収録されているので、記録文だけで考察を行っても受け取りに大きな誤りはないと考え、取り上げた。



 「三豊市立高瀬中学校夜間学級設置過程」の報告を受け、各地の状況の報告を加え、議論を展開する形で進められている。分科会は20人の発言と2人の夜間中学生の発言が記録されている。北九州市、京田辺市、豊中市、大阪市、札幌市、福岡市、岡山市、和歌山、守口市、愛知、相模原市、東京、大阪、近畿夜間中学校生徒会、基礎教育保障学会の発表であった。討議の柱を決め、議論を行い、まとめるという進め方でなく、各発言の中で報告と意見を述べるという方法をとられた。

 ・不登校状態であった学齢の子どもの夜間中学に入学をめぐって、本来の夜間中学生から力点が変わってしまう懸念。本末転倒になってはいけない。肝心要の夜間中学を忘れてはいけない。夜間中学生のことで四苦八苦しているところへ、その子どもたちに手を取られてではなく、夜間中学生も不登校の子どもも育っていくことが大切。学びの可能性を大人は閉じてはいけない。

 ・学齢不登校の子どもたちの進路保障にともない、「評価」について。子どもを競争の場面に立たせてしまうことから派生することの懸念。

 ・夜間中学の原則は国籍を問わず、基本的人権としての学ぶ権利、学ぶ機会の保障に拘っていくべきでは。

 ・夜間中学の開設に向けた検討委員会や協議会に自主夜間中学や学習者が参画すること。否定的な考え方で、耳を貸さず、教育行政のみで方針を出していくと考えていく方針のところと積極的に提言を受け入れ、共に議論を重ねる方法で立案を進めていくところがある。給食、就学援助、夜間中学に特別支援学級設置の方向性も生まれてきている。

 ・設置行政以外の学習者の受け入れについて。行政間で応分の負担の覚書を交わし、受け入れを行っていることについて。そのしわ寄せが出席数、修業年限の短縮など学習者に向かう。国や都道府県という広域行政が負担し、覚書をなくすべきではないか。

 ・最低一県一校の夜間中学の開設と生じる課題について。片道2時間を超える通学時間。高額な通学費用。学齢の子どもの登下校は原則、保護者の送迎(高瀬)。オンライン授業の試み(札幌)。

 ・夜間中学の入学について、例えば「高校卒」の人は入学できるか話題になった。「義務教育機会確保法第3条(基本理念)の四 義務教育の段階における普通教育に相当する教育を十分に受けていない者の意思を十分に尊重しつつ、その年齢又は国籍その他の置かれている事情にかかわりなく、その能力に応じた教育を受ける機会が確保されるようにするとともに、その者が、その教育を通じて、社会において自立的に生きる基礎を培い、豊かな人生を送ることができるよう、その教育水準の維持向上が図られるようにすること」とあり。教育を十分に受けていない、だから学びたいとの意志があれば入学できると、立法過程の議論を紹介した。

 ・「公立夜間中学と自主夜間中学が両輪のように」について、夜間中学は地域の社会福祉協議会や国際交流センターなどさまざまなところとつながり合って、二輪車でなく四輪で。近隣の夜間中学で連絡協議会を発足させ、とりくみの報告や課題を日常的に話しあって行くことも重要だし、急がれる。生徒会活動も重要だ。

 ・夜間中学がもっている“場の力”について、「いろんな世代の人が、いろんな生き方をしてきた方々がたくさん集まって、そういう多様な世界の中にいる人たちの中に若い人たちが、あるいは引きこもっていた若い人たちが入ってくると、みんなとても生き生きするんです」

 ・夜間中学生の発言。「学校にきたら、学校で勉強することは面白いと思わせてください。学びの場だけは奪わんといてほしい。学びたい時に学ぶ場所がある。そのために、走り続けます」。「昼の学校になぜ行けなくなったのか、夜間中学の先生は議論やっているんでしょうか」「晩の学校には来れるけど、昼の学校には来れないというのは、なぜなのか」「先生、ぼくらは夜間中学へ勉強しにきています。先生たちは何を学びに来ていますか?」

 ・夜間中学教員の発言。「昼の学校に勤めているとき、自分は教師に向いていない、辞めようかなと思っているとき、夜間中学に見学にいった。さらに、夜間中学で授業をさせてもらおうというとりくみに参加したことがきっかけで、夜間中学に転勤した。30~40代の世代の教員が(夜間中学の)この雰囲気を吸収して、気づいていくことが本当に大切だと感じています。昼に戻ったときに、何か活性剤となって、学ぶっていうことはどういう意味なのかということを巻き込んで考えていけるようなことができるんではないか」


 一つの分科会で話された内容はこのように多義に渡っている。どう受けとめ、次を展開するか。創造性が求められる。夜間中学の原点をおさえ、教員も夜間中学生も学習者として何を学んだか、何を実践しているかを持ち寄り次の夜間中学のあゆみにつながっていくと考える。

 
 
 

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