夜間中学その日その日 (896) 砦通信編集委員会
- journalistworld0
- 2023年7月9日
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「文の里・天王寺夜間中学の存続を」求める闘い 記録(1) 2023.07.10
「大阪市教委 天王寺夜間中学 8年度末まで 統廃合計画変更、特例校分校に 文の里は今年度末廃止」(2023.06.20 産経新聞夕刊)第一面に掲載された記事で事態が動いたことを突然、知ることとなった。
夜間中学卒業者の会は話し合いの督促に毎月、大阪市教委担当者を訪問していた。その都度、「去年の夏から、状況は動いていません。どうするか、決めてもらわないと私たちも困るんです。6月議会もとりあげていないし、このまま9月まで、夏休みです」「6月議会の対応に追われているので、6/9の議会が終わってからにさせてください」と担当者は答えた。
読者から、そのまま時間が過ぎるのを待っていたのか、なんとのんきな、とのそしりは免れない。
この記事を6/20の昼過ぎ、Web版で内容を知ったとき、教育委員会が明らかにする前に「マスコミに情報を流し、どんな反応か見定めてから」舞台に登場する。今回もそのやり方か。卑怯ではと真っ先に思った。
この報道を受け、取材した別の記者に、市教委担当者は「これまで進展がなく、話せることはなかった」「まだ決まっていません。現在市教委で話しあっている最中です」(人民新聞2023.06.23)と答えている。夜間中学生に「計画中です」「まだ決まっていません」と返事してきたのと全く同じやり方ではないか。、
産経6/20夕刊の記事は取材を重ね、裏付けをとり、図面までつけた、解説記事である。誰がその情報を流したのだろう?
2021年「11月に計画が明らかになると両校の生徒たちは『高齢で足が悪い生徒や家族を介護しながら通っている生徒、仕事を終えてから急いで登校する生徒もおり、場所が変わると通えなくなる人が出る。大切な学びの場を奪わないでほしい』などと強く反発。卒業生や近畿夜間中学校生徒会連合会などとともに、署名活動やシンポジウムなどで存続を訴えてきた」と夜間中学生の取組を書いたあと、文の里を廃校にする理由を「両校での実施は教員確保の面などから困難として、多くの鉄道路線が乗り入れる大規模ターミナル駅の天王寺駅近くに立地し、生徒数も文の里より多い天王寺の校舎で授業を続けることにした。文の里の生徒も希望すれば天王寺に通える」「市教委は『天王寺』の名称を残す意向で、特例校の分校(分室)と位置付けることから『心和中学校天王寺分校(分室)』などの案が検討される」と市教委の夜間中学担当者でないと答えられない内容が記事になっている。
記事の前文で「天王寺について市教委が令和8年度末までに通えるように計画を変更する方針を固めたことが20日、わかった」と書き、判明したその日の夕刊に記載する運びになっている。
5月の教育委員会議で、非公開で議論した内容が情報公開の請求によって情報を得、記事にされたのかも。「分校」を用いていることは新聞社に申し入れをしたと、担当者は私たちに説明した。
夜間中学卒業者の会は、「文の里・天王寺夜間中学の存続を」を追求していく。その上で多くの疑問点がある。まず、2校の夜間中学になぜ、差別と分断を持ち込むのかという点だ。記事には不登校特例校、天王寺そして文の里に配置する教員を確保する予算がないことを「両校での実施は教員確保の面などから困難として」あげ、天王寺が文の里より便利なところに立地している。生徒数が多いを理由に挙げている。そして恩着せがましく、「文の里の生徒も希望すれば天王寺に通える」と述べている。行政の都合で、あっちへ、こっちへ動かす。私たち夜間中学生は「ものではない。にんげんだ」と発言していた。この指摘は当然だ。
夜間中学生の「在籍できる原則上限期間(6年)」という記述だ。夜間中学生は本人の意向が大きいが、1年で卒業する人もある。修業年限は、小学校6年、中学校3年、合せた「9年を最長としましょう」。この約束を大阪市教育委員会も入った夜間中学設置7市と大阪府教育委員会そして大阪府教育委員会と部落解放府民共闘会議が修業年限を取り決めた(94年2月22日合意)。今回の大阪市の主張は完全な約束違反である。市教委担当者に申し入れを行なった(2023.07.05)。
小出しにせず、市教委が考えている夜間中学の全体像を夜間中学生に明らかにすべきではないか。2024年4月、文の里の夜間中学生は不登校特例校と天王寺に移動。教員体制は天王寺夜間中学に何人、年度が進むにつれ、夜間中学生を不登校特例校夜間部にシフトしていく、そして2026年3月、完全にゼロにする。天王寺に夜間の職員室は置くのか?教員はどこに勤務するのか。2校を移動しながら授業をおこなうのか?・・などなど。

天王寺、文の里、近畿夜間中学校生徒会連名で発表した「生徒会緊急声明」(2023.07.04)は「『学びのセイフティーネット』として、たとえ小規模化して少人数であっても、現在、夜間中学校で学んでいる生徒と合わせて、これから『天王寺』や『文の里』の夜間中学校で学びたいという人たちの『学ぶ権利』や『学ぶ場』を『基本的人権』として絶対に保障すべきです」と主張している。
大阪市教育委員会は 夜間中学生の生きる権利と学ぶ権利を奪ってはいけない!
*心和(しんわ)中学は2024.4開校をきめている不登校特例校の校名
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