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夜間中学その日その日 (904)   白井善吾

  • journalistworld0
  • 2023年8月11日
  • 読了時間: 3分

  産経新聞大阪本社 夜間中学取材班『夜間中学はいま』出版 2023.08.11


 夜間中学現場の実践を積極的に発信しないと、この社会から夜間中学は忘れ去られてしまう。抹殺されてしまうという危機感を強く持った時期がある。その状況は今も少しも変わっていない。

 殺伐とした社会の出来事の報道がつづくとき、「ほっと心が解放される話題がないか」と夜間中学にきたと取材動機を率直に語られる関係者に数多くであった。取材を受ける夜間中学現場も、夜間中学の応援団として、ペンの力を期待して、取材を受ける。何度も通われ、夜間中学生も教員も、取材者の姿勢と心を探りながら、この人ならとみた時、光だけでなく、夜間中学現場の苦しみ、悩みも、語るようになる。

 それまで、私たち教員に語ったことがなかった、夜間中学にたどりつく半生を、夜間中学生が語っている場面もいくつか経験している。この人に託そうと考えたのかもしれない。自分が夜間中学に来ることができたのは、たまたま、テレビのスイッチを入れたとき夜間中学の番組だった。生まれてはじめて夜間中学がある事を知った。まだ夜間中学にたどり着けていない仲間たちが夜間中学を知り、学校に来るきっかけになることを願って取材を受けている。


 在職中のことだ。取材を受けるか否か、その判断を教育委員会がするから、決して個人の判断で受けないで下さい。あるとき職員打ち合わせでそんな連絡があった。橋下知事(当時)が夜間中学生にそれまであった、府の就学援助制度を打ち切る方針を明らかにして、夜間中学生徒会が就学援助、補食給食の府負担を継続する闘いに立ち上がっている時だった。夜間中学生は動いている、記者がその闘いを取材するのは報道の自由だ。取材カメラもまわっている。集会で夜間中学生のOOさんはこのように意見を言ったと記事が出る。そんなとき、ちょっと待って下さい。教育委員会の判断をもらいますから。という対応をしろということか。そんなことはできない。今日は夜間中学生徒会の行動で、大阪府庁で教育委員会に申し入れを行なっている。府議会の傍聴に参加している。ということを担当者に連絡すればよい。として応じなかったことがある。


しかし、記事になるのは「光」の部分が多かった。同じように取材を受けても、光が当たる夜間中学生とそうでない夜間中学生。「美談でほめ殺し」「夜間中学生がつぶされてしまう」ということも押さえておかねばならない。

産経新聞大阪本社 夜間中学取材班の取材姿勢は違った。長期取材、何度も通い、夜間中学生の24時間を頭に入れ、何より夜間中学生と人間関係を第一に、夜間中学生の自立を支援する取材姿勢に徹していただいたことお礼申し上げたい。



 『夜間中学生はいま』は2019.03.16~2020.01.18の27回と2021.07.12~2023.03.27の37回。併せて64回を数える。これ以外に「夜間中学はいま」と銘打った夜間中学関連記事もある。その中に、一人の夜間中学生の成長とそれを支えた夜間中学の学びの場がもつ力が明確に描かれた記録がある。これら記事を収録した『夜間中学はいま』が2023.9/1出版されると伺った。夜間中学の今が記録された現在の日本の教育が明らかになる。収録される写真が語る夜間中学生の主張も注目したい。

 取材現場でであった記者の方々から、文の里・天王寺夜間中学廃校を進めようとする動きに明確に反対運動が取り組めていない一部夜間中学教員の姿を指弾する怒りの声があった。  『夜間中学はいま』に登場する夜間中学生の姿とのあまりの落差に言葉がない。炎天下、集会に駆けつけた、現役教員は、夜間中学生や卒業生よりはるかに少ない。

 何かしようよ、できることがありますよ。


 
 
 

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