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夜間中学その日その日 (911)   白井善吾

  • journalistworld0
  • 2023年9月6日
  • 読了時間: 3分

  夜間中学取材班『夜間中学はいま』を読んで ①  2023.09.06

 産経新聞大阪本社 夜間中学取材班『夜間中学はいま』が届いた。郵便物を開ける私の顔を興味深げに見ていた小学3年生が、出てきた本の表紙を見て、「きれいな本やなあ」「夜間中学の本や」「マンガ?」と言った。

 頁をめくりながら、家族は「笑顔がすてきですね」「きれいな色使いですね」「すごい」そんな言葉で第一印象を表現した。「夜間中学の本が出版されますね」電話で友人が言っていましたがこの本ですね。家族の会話がはずんだ。




 取材が始まったとき、どの学校も取材させてもらうのは容易ではありませんでした。そんな感想を伺った。自分が夜間中学に通っていることを明らかにすることは夜間中学生の多くは抵抗がある。できることなら明らかにしたくない。しかし、夜間中学の学びを通して、同級生の姿、学ぶことの意義と喜びを確認した夜間中学生は自信を持って、堂々と姿を現す。懲りずに、夜間中学生と人間関係を築きながら頑張ってくださいと言ったものの、心配であった。夜間中学現場は刻一刻変化しているのだ。

 「先生そんなことも知らんとよう、今まで知った顔して教えてはりましたなぁ」。私も夜間中学生からよく云われた言葉だ。職業経験で身についた夜間中学生の説明は説得力があった。「たたら」製鉄の話になったとき、中国山地の山で砂鉄をとっていた経験を夜間中学生が話し出した。顔を赤らめ、言ったのが先の言葉だ。夜間中学生と教師、その立場が逆転をする授業の雰囲気は、何度思い返しても気持ちが高ぶる。収録された、夜間中学生の一瞬を捉えた表情はさまざまあったと思うが、こんな笑顔をされていたとは、想い出すことができない。

 長いためらいのあと、入学のため友だちに連れられ、校門をくぐった夜間中学生の一点を見つめた表情や足腰の痛みを抱え、手すりを握る手に力を込め、階段を登っていた表情は収録されていない。収録された夜間中学生の表情は多くは笑顔だ。しかし夜間中学生の24時間はそうではない。学校にいる4時間だけがこの表情なのかもしれない。


 写真「下段の水やりは始業前の日課」(100頁)の夜間中学生は、6月27日、第9回大阪市教育委員会議の傍聴に駆けつけた夜間中学生だ。しかし、8月17日お亡くなりになった。「先生ご苦労さんです」とお声かけいただいた。傍聴のあと直ぐ学校に戻って、早速、校長先生と話し込んでおられた。私たちが学校を訪問すると「先生も、来てくれはったんですか」といっていただいた。夜間中学卒業者の会が主催した、7月29日の「夜間中学報告学習会」では登壇して報告いただいた。生徒会長として、夜間中学の存続を求め、最期まで「この学校で学びたい」と訴えられた。多くの夜間中学生は健康な方は少ない。病気を背たろうて、学んでいるといっても過言でない。

 連写した写真の中からほんの一瞬の姿が捉えられているのかもしれない。その瞬間、夜間中学生の口から出ている言葉は何だろう?そんなことを考えながら本文を読んでいる。


 新聞連載の紙面の大きさに驚いたが、連載記事には加筆せず、編集されたと伺っている。表紙のイラストに描かれた人物は本文に登場する夜間中学生だという。題字は守口の夜間中学生の文字だそうだ。


 書店ルートにはのらない。〒番号、住所、名前、電話番号、冊子名、希望冊数を明記して、電子メールyachu@esankei.com で連絡すれば送ってもらえる。

価格は1,800円+送料200円。

 

 連載に登場した写真の展示展が企画されている。

 2023年9/27(水)~10/17(火) 大阪府立中央図書館一階展示コーナー

 
 
 

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