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夜間中学その日その日 (934)   砦通信編集委員会

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  • 2023年12月10日
  • 読了時間: 5分

 第69回全国夜間中学校研究大会(2)          2023.12.10

 

 夜間中学に在職時、関東と関西で交互に研究大会が開催されていた。関西の大会は金、土曜開催で 教職員、夜間中学生が全員で参加し、意見交流を深めることが出来た。天理で開催した大会では天理教の詰所に宿泊し、生徒会は夜遅くまで交流会を開催した。月曜日は代休となった。

 なぜか、関東の大会では木・金の平日開催だ。休日開催が始まったのは1986年の32回大会(墨田区)である。ところが40回大会を最後に、平日開催に戻してしまった。夜間中学生と共に夜間中学を考えることが重要だとの考えに基づいている。教職員だけの研究大会ではない。夜間中学関係者や自主夜間中学関係者が参加できる夜間中学を追求しようとの関係者の想いの反映である。

 69回の大会でも北海道から南は九州からの関係者と共に、2日目の12/2(土曜)、近畿の各夜間中学や自主夜間中学から学習者の参加があり、会場は500名の参加者で奈良の夜間中学生の舞台発表に参加することが出来た。学習者が参加でき、勉強できる全夜中研大会は大切にしていただきたい。

 夜間中学生が舞台に上がり、奈良の夜間中学のあゆみと歴史を解き明かしていく今回の企画は夜間中学生だけでなく、初めて参加された夜間中学関係者にとって優れた学習の機会を提供していただいたと考えている。

 1日目の夜、夜間中学の学校公開がプログラムされていた。筆者が参加した畝傍夜間中学の学校公開は授業公開と畝傍夜間中学特別講師・前川喜平さんの公開授業「民主主義って何ですか」、そして参加者交流と高密度の学習の機会となった。夜間中学生徒会・教職員を中心に教育委員会、橿原市行政そして「橿原に夜間中学を作り育てる会」が大きな力を生みだしている、夜間中学という地域の教育資源の役割を見ることができた(別の号に詳述予定)。



 

 夜間中学卒業者の会は「砦」14号、を用意して、大会に参加してよかったと考えている。(その日その日931)の続きを掲載する。69回大会資料統計を加味して加筆した。

 私たちはどのように分析すればいいのか

 夜間中学生数・・2015年の30校1818名(*)で、2022年では1155名と663名減少!               

 夜間中学の学びを希求する人たちに、直接でなくても、学びたいと想っている人の関係者に夜間中学の新聞などの報道は伝わっているのだろうか。

 近畿夜間中学校連絡協議会(近夜中協)が夜間中学生に「夜間中学入学に直接的につながった情報」について聞き取り調査(2018.6)を行なっている。322の回答の内、「人からの紹介」224(70%)、「ビラ・ポスター」25(7.8%)、「広報」24(7.5%)、「夜間中学等の行事」11(3.4%)、「ホームページ」8(2.5%)、「テレビ・ラジオ・映画」「新聞・書籍」各7(2.2%)、「その他」16(5%)。

 圧倒的に多い「紹介」も紹介者が夜間中学で学べることを知った情報源を考えると「ビラ・ポスター・広報」は重要だ。

 これまでも指摘しているように、2015年は文科省が、形式中学校卒の人たちの入学を認める文書を出した年度で、この年の夜間中学は30校、生徒数1818名であった。2022年は40校、1702名である。単純比較でなく、2015年と同じ条件で比較すると、2015年の30校は、2022年では1155名と663名生徒数が減少している。

 前年比較を並べると、2015年(0)、16年(-19名)、17年(-67)、18年(-201)、19年(-42)、20年(-210)、21年(-73)、22年(-51)、23年(?)とその減少傾向は続いている。なぜなのか?全国夜間中学校研究会はどのように分析されているんだろう?

 2023度の夜間中学統計では、川崎市立西中原中学と横浜市立蒔田中学が統計資料に入っていない。西中原中学は他の報告で19名の在籍であることが読み取れる。2015年の31校には蒔田中学は入っていないので比較検討には問題がない。

 2023年の生徒数は1367名で前年度比(+212)とプラスに転じた。

 

 

提言・・「夜間中学白書」づくりを全国夜間中学研究会でとりくむこと

 2015年以降、日本の教育全体でとりくむべき課題が、何もかも、夜間中学に託されているという感が私たちにはぬぐいきれない。大阪市のある行政担当者は「不登校、多言語の母語、さまざまな教育課題と向き合い努力いただいた、そのノウハウを発揮いただきたい」と述べ昼も夜も担当することを求めるだけで、教育条件の改善をする努力を放棄している。

 夜間中学は万能ではない。夜間中学現場はもっと怒らないとという思いがする。夜間中学のとりくみや課題を普遍化し、夜間中学教育全体の継続を考えるためにも、教員の配置に一工夫も二工夫も求められる。社会の理解と支援を得るためにも、「夜間中学の授業実践記録集」「夜間中学がめざすもの」「夜間中学の役割」「夜間中学が今在ることの意味」を明らかにする、「夜間中学の白書」づくりを打ち出すことが必要だと考える。

 2005年12月、第51回全夜中研大会実行委員会は公立・自主夜間中学生が記した手記をまとめ『夜間中学生―133人からのメッセージ-』(東方出版)を出版、世に問うたとりくみがある。

 国や文科省も夜間中学を地方自治体の義務だとせず、国立大学付属夜間中学として開設し、教員をめざす人たちに開かれた学びの場として位置づけられないだろうか。




 私たちは「形式中学卒」という用語を用い、夜間中学入学を訴えてきた。文科省は「既卒者」という用語を用いて、「形式中学卒」と「実質中学卒」が存在してしまう自己矛盾を回避している。文科省は口が裂けても「形式中学校卒」を用いないはずだ。そこで考えついた用語が「既卒者」である。ところが、全国夜間中学校研究会(全夜中研)のほうも「既卒者」「学び直し」の用語を抵抗なく使ってしまっている。「義務教育制度」の中味をどう考えるかという大きな問題、思想性が背景にある。全夜中研の立ち位置から議論を深める必要を痛感する。(つづく)

 
 
 

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