夜間中学その日その日 (953) 砦通信編集委員会
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- 2024年2月20日
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2024年2・3月大阪市会 教育こども委員会 2024.02.20
2024年2・3月市会(2024.02.19)では文の里・天王寺夜間中学の存続を求める陳情書が3件提出され、審査が行なわれた。
陳情第 12号 大阪市教育委員会会議55号議案「本市における中学校夜間学級の再編にかかる方向性について」の再審議を求める重ねての陳情書。
陳情第 15号 大阪市内の夜間中学に関する陳情書。
陳情第 22号 令和6年度に開校する大阪市立心和中学校で学ぶことになる、夜間中学生の学びを守るための陳情書。

夜間中学卒業者の会は昨年6月27日、教育委員会議で教育委員会事務局が教育委員に行なった説明には重大な瑕疵があり、誤った説明を行なっている。教育委員会議で再度審議を行なう陳情書を提出した。
入学制限と卒業勧奨を行なうことにより、生徒数を人為的に減少させながら、自然減の説明を行なっていること。
入学にあたり、入学生に途中で学校を転校するする可能性があり、そのことの了解をしてもらって入学していると説明しているが、入学生はその意味が十分理解出来ない(日本語の理解力の)人たちがあるにもかかわらず、「口頭で丁寧に説明をし、了解してもらっている」と教育委員に説明をしている。通訳を入れ説明をしたと説明しているが、全員には行なっていない。説明の文もなく口頭での説明で、入学後、級友から聞き、その意味がわかったが、「了解してもらっている」とはほど遠い実態である。途中で転校となると、とても通えない夜間中学生の実態がある。
夜間中学の在籍は最長9年と約束したにもかかわらず、6年に値切る施策を大阪市は行なおうとしている等記述し、陳情書を提出した。
この日の教育こども委員会では西徳人委員(公明)が教育委員会事務局担当者に18回の一問一答で討論を行った。教育長4回、指導部長6回、中学校課長8回、合わせて18回の答弁を求めた。
「貴重な天王寺の学舎をここで途中から通えなくするというのはいかがなものか、この天王寺教室を引き続き分校とした扱いで継続できないのか」
「(途中で転校することの)説明するのに何もなしで、口頭で説明、しかも個別ですよね。この個別に説明せよというのは、これは誰の指示でなさったんですか。当時、天王寺中学校の校長であった大西部長、これは誰の指示で、どういう口頭で、こうなったんですか」
「(一般社会では)重要事項説明書というのがあって、後でこういう説明を受けましたという署名まであると思うんですけど、この後、入学してから転校になるかわからないのは重要事項だと思いますが、その説明が資料もなしに、全員にきちっと了解してもらった、というのが、一体何をもって確認されたんですか」
「昨年の6月の教育会議でね。これを前提に新しい所に行ってもらうという決定というのは、いかにも理不尽ではないかと思うんですけれども、その決定について教育長まだ方針は変わりませんか」
「先ほどのことは、私は手続き上の不備だと思います」「教育委員会議で今一度再考ということはないんでしょうか」
「生徒のことを思いやってると言いながら、一方で一度決めたことは変えないと、さまざまな視点が指摘された上で、そういった意味ではやっぱり生徒の方のことをもう一度考えてほしい」
「(天王寺教室は毎日3時限、心和は毎日4時限授業)心和中学校行けば4時間受けられるけれども、残れば3時間で、減らされますよ、というふうな理解しかできないんですけれども、これは教育機会の均等ということから言っても問題ではありませんか」
(教育長の将来入学希望者が増えた時、適切に対応するとの答弁に対し)「当然その対象者の方も年齢を重ねてくれれば当然寿命も来るでしょう。それを待つかのような対応ではやっぱり困ると思います。今この時にしっかり学びの場を保障する、これは教育委員会としての使命ではないかと思います」
西徳人委員はこのように陳情書の声に寄り添い、議論を展開していただいた。
西委員の問いかけに対し真正面で受けとめ、納得できる説明は答弁に立った三人からはなかった。『心和中学校夜間学級天王寺教室におきましても、心和中学校の一学級として個に応じた十分な学びを受けられるように進めてまいります』言葉だけの、確信のない自信のない、弱々しい答弁ではなかったか。一体誰が文の里・天王寺夜間中学の廃校の施策を考えたのか。
同時に審査のあった陳情第 28号 「大阪市特別顧問による不当な支配に服する教育行政の抜本的な改善を求める陳情書」は大阪市教育委員会が発した文書訓告の取り消しを求めて闘っている久保敬元校長が提出した陳情書である。各会派から議論と意見表明があった。
直接指示・命令できない立場であるはずの大森不二雄特別顧問が、指示・命令していることの問題を追及。地教行法改正でも、教育委員会は、行政から独立した機関としての性格は変わっていないことを確認し、教育委員会が「不当な支配」に屈している問題が議論になった。夜間中学廃校に通底する問題点が現れていた。
夜間中学の陳情書は公明、自民くらしの二会派が採択を表明した。
委員長が「陳情第12号、15号及び22号の3件を一括として問題とし、起立により採決いたします。ただいま問題といたしました陳情書3件についてはいずれも引き続き審査することに賛成の方はご起立願います」と宣すると会議中、全く発言しなかった、後ろテーブルに座る維新会派の委員が全員立ち上がり、「多数であります。よって委員長発議のとおり決しました」。二時間近い会議の議論をどのように聞かれたのだろう。
夜間中学生の想いや願いを実現する次の闘いが始まった。
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