top of page
検索

夜間中学その日その日 (714)

  • 夜間中学資料情報室 白井善吾
  • 2020年10月13日
  • 読了時間: 6分

 「夜間中学」に関する国会議論(その13-⑩)(2010年~2014年)

 戦後政治で、自民党政権が野党に転じた時期がある。一つは民主・社民・国民新党連立で鳩山由紀夫内閣が誕生した2009.9.16から、菅直人そして野田佳彦内閣の2012.12.24の期間だ。福島原発事故の対応を原発を推進してきた自民党ではなく原発推進に反対であった、菅・野田の連立内閣が対応をすることになった。

 夜間中学の対応もそれまでの内閣とは異なる答弁を見ることができる。照屋寛徳(社民)の質問に前原誠司大臣は「珊瑚舎スコーレへの財政支援ということも含めて、少し前進するように文部科学省と沖縄県と早急に相談をさせていただく」(2010.5.10)と答え、財政支援を決定している。

 民主党は議員立法で「学校教育の環境の整備の推進による教育の振興に関する法律案(略・教育環境整備法案)」を提出した(2009.3.25)。この法案は、第三条(学校教育の環境の整備の基本方針)の「七.学習する機会が失われた者がその希望するときに再び学習する機会が与えられるようにすること」が夜間中学開設の根拠を想定したものである。この法案は、参議院は通過、衆議院の解散で、その国会では成立を見なかった。

 政権交代が実現し、国会に「教育環境整備法案」が提出されるものと思っていたが、提出されなかった。その理由は明らかにされていない。

 守口夜間中学生徒会は、地域選出の村上史好(民主)議員事務所を訪問、夜間中学を訪問し、夜間中学生の意見を聞いていただきたいと要請した。直ちに訪問が実現、国会質問も実行していただいた(2011.04.06)。質問に答えて、「学習権を大切にしたい教育政策」応じ、髙木義明文科大臣は「学校教育法施行令第二十五条というところで、きっちり法的な根拠がある」と自民党政権時代の答弁を訂正する答弁を行なっている。

 *夜間中学その日その日(707)で紹介したが、鈴木勲初中局長は「25条の5号が夜間学級の根拠規定というふうには私どもは考えていない」「法的にはやはり問題があるということは行管庁の勧告の指摘するとおりだと思います」が文科省の公式見解であった(1983.05.13)。

 そもそもいま自分たちが夜間中学に来ることが出来たのは,先輩たちがとりくみを続けてきてくれたからだ。私たちの後輩に,学びやすい夜間中学であるために、いま私たちは何が出来るか?夜間中学生徒会に結集して考え、実行しよう。夜間中学生の顔は輝いていた。

 前川喜平さんも、初等中等教育局長として答弁している。

第174回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号 2010年5月10日

 *照屋寛徳(社民):「沖縄にはなぜ公立の夜間中学校はないんでしょうか」「NPO法人珊瑚舎スコーレ、夜間中学校への国の財政支援は、すぐれて沖縄の戦後処理の問題であり、復帰処理の問題なんです。国としてどのような財政支援を行えるのか、行っていこうとするのか」

 *高井美穂(文部科学大臣政務官):「どのようなことが我々にできるのか、目下いろいろと検討している最中」

第177回国会 衆議院 文部科学委員会 第6号 2011年4月6日

 *村上史好(民主):「教育環境整備法案という法律案が参議院で可決をされた」「七項では、「『学習する機会が失われた者がその希望するときに再び学習する機会が与えられるようにすること』そのように記載されている」「学習の機会を保障するという先ほどの観点からしても、もっと積極的にこの夜間中学校の問題にかかわっていく、取り組んでいくべきではないか」

 *鈴木(寛)副大臣:「これは学習権というものを大切にした教育政策をやりたいという我々の考え方の大変大事な要素の一つであることは言うまでもない」

 *高木義明(文科大臣):「中学校の夜間学級については、学校教育法施行令第二十五条というところで、きっちり法的な根拠がある」

第177回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号 2011年6月1日

 *照屋寛徳(社民):「今政府が行っているNPO法人珊瑚舎スコーレへの支援などを強化してもらいたいと思います」

第180回国会 衆議院 青少年問題に関する特別委員会 第5号 2012年8月6日

 *水谷修(参考人 花園大学客員教授):「今現にいる学校に通えなくて、夜間中学の方に何とか保護をしながら通わすしかない」

第180回国会 衆議院 文部科学委員会 第8号 2012年8月24日

*池坊保子(公明):「(夜間中学を)大臣は現状を把握していらっしゃるか」「全ての都道府県に、やはり公立の夜間中学があるべきではないか」

*平野博文(文科大臣):「着実に充実をしていかなきゃならない、こういうふうに思っておりますので、文科省としても支援をしてまいりたい」「私は前向きに検討をしていかなきゃならない」

第183回国会 参議院 文教科学委員会 第3号 2013年3月21日

 *山本博司(公明):「夜間中学の方々、夜間中学を各県に一校設置をしてほしいという要望も出ているわけですけれども、こうした点に関していかがでしょうか」

 *下村博文(文科大臣):「文部科学省としては、今後とも中学校の夜間学級への、夜間学校への着実な支援を行うことによって、その教育の充実に努めてまいります」

第183回国会 衆議院 文部科学委員会 第2号 2013年3月27日

 *中野洋昌(公明):「(夜間中学は)国として、こういう就学の場がもっと設置されるように支援をすべきではないかと考えるんですけれども、大臣の御見解を伺いたい」

 *下村博文(文科大臣):「今後とも、中学校夜間学級への支援を着実に行うことによって、義務教育未終了者の学びのニーズに応えてまいります」

第185回国会 衆議院 文部科学委員会 第6号 2013年11月27日

 *宮本岳志(共産):「今日夜間中学が果たしている役割について、大臣の御認識」「夜間中学のこういった新たな役割にも照らして、やはり各県一校、例えば定時制高校に併設するというような案」

 *下村博文(文科大臣):「中学校夜間学級では、外国人を含め、不登校などさまざまな理由により義務教育未終了のまま学齢を超過した方々の学習ニーズに対応しており、このような方々に対しても教育の機会を提供する、これは大変重要なことであるというふうに認識」

 *前川喜平(初等中等教育局長):「中学校の夜間学級、これは学校教育法施行令の25条の第5号の二部授業として行えるわけでございますけれども、これを設置するかどうかにつきましても、市町村の教育委員会がそれぞれの市町村の状況を勘案して判断するということとされている」

第185回国会 参議院 外交防衛委員会 第9号 2013年11月28日

 *尾上 浩二(特定非営利活動法人DPI(障害者インターナショナル日本会議事務局長):「25年入所施設に入所されていた方が、学校に行けなくて、夜間中学に行きたい、学びたい、そういう思いを持って50にして施設を出ようと思ったとき」

第186回国会 衆議院 文部科学委員会 第19号 2014年5月21日

 *笠浩史(民主):「広報というものをどのようにしていくのかということについて文科省としてのお考えは」

 *下村博文(文科大臣):「調査をしながら、未就学者が学べるような環境づくりのために、国としてもしっかりバックアップをしてまいりたい」

 *前川喜平(初等中等教育局長):「国、都道府県、市町村が連携し、どういった方法で広報を充実させていくことができるか、関係者の意見も伺いながら、十分検討してまいりたい」

第187回国会 衆議院 文部科学委員会 第2号 2014年10月17日

 *浮島智子(公明):「全都道府県に一校以上の義務教育の未修了者が学べる場として、公立の夜間中学校の開設、これを早急に実現をするべきだ」

 *下村博文(文科大臣):「少なくとも各都道府県に一つは夜間中学が設置されるよう、その設置を促進していきたいと考えております」

第187回国会 参議院 文教科学委員会 第3号 2014年10月28日

 *神本美恵子(民主):「夜間中学のニーズ、課題も踏まえて、最低でも各県に一校という、その目標は目標で私はいいと思うんですけれども、取組をしていただきたい」

 *下村博文(文科大臣):「各都道府県に少なくとも一校は夜間中学が設置されるよう取り組んでもらいたいと思いますが、現在、複数の夜間中学が設置されている都道府県におきましては、これは設置数を減らす必要は全くないわけであります」

 
 
 
Featued Posts 
Recent Posts 
Find Me On
  • Facebook Long Shadow
  • Twitter Long Shadow
  • YouTube Long Shadow
  • Instagram Long Shadow
Other Favotite PR Blogs
Serach By Tags

© 2023 by Make Some Noise. Proudly created with Wix.com

  • Facebook Clean Grey
  • Instagram Clean Grey
  • Twitter Clean Grey
  • YouTube Clean Grey
bottom of page