夜間中学その日その日 (877) 砦通信編集委員会
- journalistworld0
- 2023年3月23日
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近畿夜間中学校生徒会連合会『「すべての人に教育を」シンポジウム』
2023.03.23
「今日の集まりは誰からも強要されたものではない。生徒一人ひとりが声をあげ実現した。パネラーの方々に声を掛け、応えていただき、ボランティアで参加いただいた。生徒のみなさん、ご起立願いないでしょうか」主催する近畿夜間中学校生徒会連合会会長の呼びかけに応え、パネラーのみなさん「ありがとうございます」。夜間中学生の声と拍手が会場に響きわたった。
「(大阪)市内の学校は入学できないようにブロックして生徒を減らし、校舎が老朽化していると、大阪市教育委員会は、はじめから潰すことありきで進めている。府下の学校に市内の学校を断られた人が60何人もが通っている」「この集会を役員代表者会で提案したら、『やろう』『やったらええ』とまとまった。夜中生のみなさん、勉強して帰って下さい。社会参画をして、私たちの社会的地位をたかめていきましょう」生徒会長はこのように主催者挨拶を行った。

第1部シンポジウムは「学ぶ権利は基本的人権」をテーマに4人のパネリストが大阪市内の識字学級のとりくみや小中学校の実情の報告と議論を行なった。生きることと学ぶことは密接につながっていることを明らかにした。
第2部シンポジウムは「だれ一人取り残さない『学びのあかり』」をテーマに3人のパネリストが発表を行なった。
憲法25条で生きること(生存権)を保障することは国の社会的使命である。26条で学ぶこと(学習権)を保障することを明記している。憲法はこれ等を保障することを国に命令している。しかし、夜間中学が存在することは国がこれをやっていないことを証明し、国の責任を問うている。夜間中学は人権を保障する場で一人ひとり違った人生を背負った人を受け止める場所だ。義務教育確保法は理念と方針を表わしたもので、自治体関係者の努力に任されている。大阪市は生徒がいないからというのは全くおかしい。生徒を集めようと努力するのが自治体・大阪市ではないのか(前川喜平)。
香川県の高瀬夜間中学は、不登校特例校の夜間中学として学齢の夜間中学生は学校への送迎を保護者にお願いしている。体験入学中の一人は隣の徳島県から1時間半かけて登校している(城之内庸仁)。
京都市洛友中学は不登校特例校のこどもと、夕方5時に登校する夜間中学と毎日30分重ね合わせて交流の機会を設けている。両者に何か“化学変化”が起きないかと考えている。京都市では夜間中学を残すために不登校特例校をつくった。大阪市は夜間中学をなくすため、不登校特例校をつくろうとしている。大阪市は順序が逆だ(岡田敏之)。
不登校のこども、学校を回避するこども、学校には行かないという意志を持った確信的登校拒否のこどもを合せると35万人になる。「学校からのエクソダス」が起っている(大量のこどもが学校から出て行く)。自分たちの学校を問い直し、昼の学校が夜間中学に学ぶことが必要ではないか。
システムを学習者にあわせて変えていく、それをやっているのが夜間中学ではないか。昼の学校は夜間中学に学ぶべきではないか。夜間は夜間中学のとりくみを普遍化し、胸を張ってやっていこう。パネリストは夜間中学の存在意義をこのように語った。
意見交流の場では文の里・天王寺の夜間中学生、卒業生がマイクを持った。
「恥ずかしかった。3年前、入学した。自分だけかと思っていた、仲間がたくさんいた。そして学ぶことは権利なんだと、多くの仲間に出逢え、少しずつ自信が生まれてきた。今の場所で夜間中学が続いていけるよう闘っている」「いつもありがとう。たくさんの応援とこのような集まりを開かれたこと、廃校問題にどうかよい結果にたどりつくまで、がんばっていきたい」「ありがとう。私たちの力になってくれ、その気持ちが、うれしい。市教委へ手紙、チラシ配りを毎日行なっている。何度も話しあったが、市教委の先生は何を考えているかわからない。全国で夜間中学をつくる運動が進む中、何で大阪だけがなくそうとするのか。障がい者や、いろんな学びたい人がいる。通いやすい、天王寺・文の里を絶対に守るため、何をすればよいか、教えて下さい」
生徒会副会長が「近畿夜間中学50年 生徒会連合会宣言」を読み上げ、この日のシンポジウムを終えた。「・・・夜間中学生から『学びのあかり』を絶対にうばってはいけない。今も『夜間中学』にたどりつくことができない多くの仲間が、大阪にも、全国にも、世界にも、悩みながら苦しみながらいる」高らかに宣言した。

「すべての人に教育を」シンポジウム(2023.03.18)の開催にいたるはこびと内容に「夜間中学があった」とみた。
夜間中学生:「このままでは先輩に申し訳が立たない。私たちにできることがある」「夜間中学の主役は大阪市ではない、わたしたちだ」
夜間中学教職員:「夜間中学生の想いを受け止めて、逆風にあがない、どんな組み立てができるか」
大阪市の教育行政により、教員一人ひとりが、バラバラにされた現状下、夜間中学生の想いをうけとめ、夜間中学の教員は縁の下の力持ちとして、どのようにして、大阪市に夜間中学生の意志を伝えることができるかを考え抜いた。
髙野雅夫のいう、『夜間中学の主役は先生でない、夜間中学生だ。その生命線を握っているのは夜間中学の先生だ』。このことが確認できるこの日の集まりであった。近畿だけではなく、高知、香川、岡山、福島、全国各地から、250名を超える夜間中学生、関係者が駆けつけた。 (敬称略)
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