夜間中学その日その日(879) 夜間中学卒業者の会通信
- journalistworld0
- 2023年3月30日
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「公開質問状」を提出した私たちの想い 2023.03.30
70代の女性二人が選挙ポスター掲示板を見つめながら話している。知事候補のところから移動して大阪市長候補の掲示板に、渋滞で信号待ちをしてる間も、話しが続いている。どんな話題だろう?「教育」のことが話題になっただろうか?
指定市長選の告示翌日の朝刊、大阪市内版の報道記事は横山(維新):北野(無所属)両新人候補の第一声を報じている。見出し「経済底上げ次世代への投資」(横山)/「女性の活躍こそ成長戦略」(北野)。字数はどちらも492字。IR・カジノなどの活字の中に「教育」は両者1回のみ。「(カジノで)すったお金でこどもや孫たちの教育や福祉と云われても」(北野)と「大阪に住めば家庭の経済状況によらず子どもたちが等しく教育のチャンスを得ることができる環境をつくりたい」(横山)。と「教育」については多くは語られていない。さまざまな争点がある中で、自分とは異なる考えであっても、最後は一人に決めざるをえない、これが選挙だ。最大の判断基準を「教育」にする有権者は少ないのではないかと考える。
2008年以降、大阪の教育とりわけ夜間中学の学習条件・環境の大きな変化を考えたとき、「教育」を判断基準の一つに高めるために、とりくみをしないと大きな大きな禍根を残すと考えた。2021年10月、大阪市教育委員会が文の里・天王寺夜間中学の廃校計画を表明し、その存続を求め、行動している夜間中学生をはじめとする関係者は計画の中止を有権者に訴えることが重要だと考えた。
大阪市教育委員会は廃校の理由の一つに「生徒数の減少」をあげている。日本語が理解できない人の入学を断り、入学制限を行なう一方、卒業勧奨を強力に行ない、天王寺夜間中学では1年間に100名近く生徒数を減らしながら、まるで自然減であるかのように説明した。2022年には大阪市内在住の夜間中学生328名の41.1% 135人が府下の夜間中学に通学せざるを得ない状態にしながら、文の里・天王寺夜間中学の廃校計画を進めている。義務教育を受けることのできなかった人たちの学習権保障のために力を尽くす任務を持った組織が教育委員会で、政治の干渉から独立した組織であったはずだ。
全体のことを考えず、わがらのことのみで算盤をはじく、これでは、夜間中学生から、“株式会社 大阪市”と声が上がるのは当然ではないか。
夜間中学は義務教育を受けることができなかった人たちの学習権を保障する場だけではなく、夜間中学に学ぶ人たちから、小・中・高・大学生・社会人のみならず教育関係者が学ぶ場所でもあることを実感している。
「天王寺夜間中学同窓会」と夜間中学で「学んだ」ひとたちや夜間中学に関係する市民で組織された「夜間中学卒業者の会」は2023大阪市長・大阪市会議員選挙に立候補されている候補者に以下の公開質問状を届け、お考えをうかがいたいと考えた。候補者の宛先は公示日以降でないと分からないとの選挙管理委員会の返事であったので、遅い発送となる。投函を前に、公開質問状の内容を広く市民に公開する。

公開質問状
大阪市教育委員会・教育長は一昨年以来、市議会教育子ども委員会で大阪市内天王寺地域の中学校夜間学級2校を廃校にして、2024年4月浪速区に設置予定の「不登校特例校」に夜間学級を併設すると表明しています。また、自ら「在校生や卒業生の意見も踏まえて検討する」としながら、5万筆に及ぶ生徒会・同窓会の反対署名を顧みることなく、先に「令和5年度当初予算」に夜間学級統廃合を含む「特例校設置予算」案を公表しました。
2022年5月公表された「2020年国勢調査」結果で、大阪市の夜間中学対象者は、未就学と答えた3348人と最終学歴を小学校と答えた1万0285人とを合わせて1万3633人と、全国20の指定都市のなかで最も厳しい数字となっています。大阪市内在住の夜間中学生が4割を超えて大阪府下の夜間中学に通わざるを得ない状況に拍車をかけ、大阪市教委自身が認めている交通の便が良い天王寺地域から夜間中学をなくして空白地域とする今回の夜間中学2校の廃校計画について、以下三点について大阪市長候補者としてのお考えをお尋ねいたします。
質問項目
①大阪市民のうち、1万3633人が義務教育未修了者です。これは、憲法に保障された学習権を享受できなかった人たちがなおこれだけ多く存在し、大阪市は重大な人権問題を抱えていることをあらわしています。わたしたちは、天王寺夜間中学、文の里夜間中学を廃校するどころか、市内他区での夜間中学の開設が必要だと考えています。あなたの考えをお聞かせください。
②大阪市立夜間中学2校の廃校に反対する5万人の夜間中学生などの署名の受け止めについてお考えを聞かせてください。
③2022年4月の札幌、福岡をはじめ近年全国に拡大する夜間中学に関する国や文部科学省方針に逆行する大阪市教育委員会の大阪市立夜間中学を減らす方針についてお考えを聞かせてください。
以上の三点について、4月5日までに回答をお寄せください。

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